giornale di musica

「吾沙鷺百式」主宰 ギター弾きのまつもとあきら

ほんのひととき

2006-05-24 | Notes
ファイル整理してたら以前ウェブサイトに載せてたエッセイが出てきました。読んだことある人もいるかも知れませんが、新しい知り合いもできたし、mixi始めてからブログ読んでくれる方も増えたのであらためて載せてみます。ご感想もらえたら嬉しいです☆普段の記事よりちょっと長めでごめんね。


- ほんのひととき -

まだ実家に居た頃の話
ある日実家のマンションの一階で
管理人さんとこのオセロというネコが遊んでて
オセロの手元には生まれたばかりくらいの
小さな小さな仔猫がいました

最初はじゃれてるように見えましたが
見てるとどうも様子がおかしいのです
よく見るとオセロは仔猫をくわえたり
たたいたりひっかいたりしてます

私はその仔猫を手ですくい上げました
仔猫はあちこちキズ付いて弱ってました
私の人差し指ほどもない小さい身体を
仔猫は震わせて私の指にしがみつきました

オセロはオスの飼い猫なので
どうやら仔猫を認識できないらしいのです
なのでおもちゃ代わりにしてしまったよう

その日は平日のお昼すぎだったので
ほどなくマンションに住んでいる
おくさま方が集まってきます

「うまれてすぐの仔猫やね
どうしたんこの子?えらい弱ってるやん」

私が状況を説明するとおくさまの一人が
「あたしお医者さんとこ連れて行くわ
でもこれだけ弱ってたらよう生きるかわからんなあ」
といって仔猫を引き取っていきました

そこには管理人さんも立ち会ってたのですが
後日管理人さんから、その仔猫が
結局亡くなったということを聞きました


引き取られていくまでの十数分くらいだったか
私の手の上でその仔猫は
ずっと身体を震わせしがみついてました

仔猫は指先にしっかり力を入れて
精一杯掴まっていました
その仔猫の胸元が私の指の腹の辺りに
くっついてたのですが

小さく小刻みに動いてた胸の鼓動も
しっかり伝わって感じられました

指先の力も、胸元の鼓動も
けして、はかなく弱々しくではなく
精一杯生きようとするこの子の
命の力強さが感じ取れました

私の指先に強く残されたその感触は
仔猫がそこに生きていたという
証しに思えてなりません

命っていうものははっきり目に見えたり
触れたりできるものではないのですが
手の上で感じてる小さな仔猫の
指先の力、胸元の鼓動、震える体の体温

今ここに命が存在しているっていうのは
こういうことなんだって
たしかに感じた気がしました


もう2年以上前の話ですが
私の指先には今でもその仔猫が
しっかりしがみついてた感触が
はっきりと記憶されています


today's tune [ 手品師の帽子 ] カオリーニョ藤原と彼のボサノムーチョ

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
仔猫 (Mariko)
2006-05-25 10:09:27
切ない話ですね;;

頑張って生きようとするその仔猫は、

あきらさんの腕に抱かれて、

きっと安心したんだと思います。

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う~ (きく)
2006-05-25 21:58:43
悲しい話ですが、命について考えさせられます。



私も先日、ネット上で、捨て猫や犬を処分されるレポートを読んでしまい、永遠と大泣きしてました。

みんな感情を持って生きてるのに。

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感想ありがとー☆ (あきら@guitar)
2006-05-26 07:19:46
★Marikoさん★

体を震わせて指先をぎゅーってね。

そのぎゅーってのが。。。ね。

腕っていうよりほんとに指先だったのね。すんごくちっちゃくて。



★きくさん★

命って実感として感じることって意外と少ないのかも。命が大事とかかけがえのないとか、言葉で言うのは簡単だけど、実感として感じる経験ってほんとに大事だと思います。



動物を捨てるとか処分するとか、そういう話はつらいね。なんとかうまいことできないものかなって思うけどね。

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今できること (きく)
2006-05-28 08:50:19
何かな~って考えています。

とりあえずは、街角で動物愛護の募金活動を見かけたら活動内容を確認して募金をする、とかぐらいだけど、その意識が少しでも可愛そうな動物達を救ってくれることを信じるしかないですよね。

悲しい現実です。
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★きくさん★ (あきら@guitar)
2006-05-28 22:26:52
ほんと考え出すと大きな問題だからね。

自分ひとりで出来ることなんて小さなことなんだよね。。。



とりあえず、縁あって自分とこにやってきた子は思いっきり幸せにしてあげよっ。おにゃんきいハカセはすんごく幸せそうだよね☆
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