giornale di musica

「吾沙鷺百式」主宰 ギター弾きのまつもとあきら

高槻ジャズストリートにおけるチップの話

2015-05-06 | Notes

すみません、長文です。
興味ある方だけ読んで頂ければ。

「高槻ジャズストリートにおけるチップの話」
について、ごくごく個人的な見解として書きます。

この場で議論は致しませんので、
異論がある方はここではなくご自身の投稿でお書き頂ければと思います。
(書いたよ、と知らせて頂ければ拝読します)

チップをお願いしたときに
払うのを拒否されるお客さんがいたという話を読みました。

こういう話自体はその記事に限らずある話なので、
その記事に特定せずこのテーマ全般として書きますが、

どういう形でお願いし、どう拒否されたのかは
現場を見てないのでわかりませんが、
ちょっと気になったのが、
「客はチップを払うのが当然だ」
という意見が多かったこと。

私はこれには賛同しません。


私はジャズストリートのような演奏は、
いわゆる「ストリートでの演奏」だと認識しています。
高槻は、知らない人の演奏を通りすがりに聴きに来る人たちで
あれだけの会場がどこも満員になるんです。

パンフレットには表紙に全会場入場無料と書いてあり、
演奏者にチップのご協力を、というのは見当たらないです。
(どっかに書いてるかも知れませんが)
説明会でも「お客様が不愉快になるようなチップの集め方はしないように」
と言われます。
したがって前提としてはチップは必須ではありません。

それにも関わらずチップボックスを持って周れば
相当の割合の人が自ら進んでチップを出してくれます。
そんなのは高槻しか知りません。それが民度の高さだと思う。


チップ入れてくれない人がいたら、
私は、それはフライドプライド以上の演奏が出来てないからだと考えてます。
そうでなければ入れてくれない人に構ってるヒマないくらい
チップ入るよ高槻なら。

「金額の問題ではなく、対価が発生するのがプロの証明」
というのは正論なんですが、それなら
チップボックスを前に首振るってことは
演奏内容でプロフェッショナルだと認識してもらえなかっただけ。
ほんまに心からプロの演奏はやっぱりすごいな!
と思ってそんな態度取る人はいても少数でしょう。

と考えます。ミュージシャンとしての考え方として、ね。

全会場入場無料の前提で見知らぬミュージシャンを見に来て
演奏に心が動かなかった人に、
理屈で「プロが演奏してるんだから出すのが当然だろ」
と言っても通じません。

そういう人がいてもそれは演奏者の力不足と考えればいい。
演奏が良かった分だけ気持ちよく払ってくれる人は増えていきます。
増えていけばそういう習慣がなかった人たちも
「演奏良かったし景気よく払ったほうがいいな」となっていくわけで。


プロって言っても
ゲストはともかく一般枠に自分でエントリーしてる方の人たちは
無名のローカルマイナーリーガーですから。

高槻ジャズの看板でお客さん集まってもらってる立場で
「チップ入れてくれない人はおかしい」とは言えないなあ。

無名のマイナーリーガーが、
あれだけたくさんの見ず知らずの人に聴いてもらえる機会が
他にどれだけあるんでしょうか。
その環境は自分の力で作れるんでしょうか。
見ず知らずの自分の演奏に偶然立ち止まって聴いてくれた人に
「チップ払わない態度」を問える立場なんでしょうか。

それ以上のミュージシャンであるなら、
実行委員がゲストで呼んでくれるでしょうね。

私はこの環境の全てに感謝、
至らないことは自分の力量が全て。
と考えています。


と書きましたが、そんな無名の私でも、
軽く会場一周してもらうだけで
時給にしたら多分水商売のお姉ちゃんよりたくさん入りますよ。
毎年の平均でそうですから、高槻ジャズのリスナーは太っ腹やと思ってます。

 

例えば仙台で9月にやってる定禅寺ストリートジャズというイベントがあります。
ここも規模では国内トップレベルです。
ですが、
・参加バンドは運営協力料が必要(一人2000円)。
・会場やピアノの割り振りは委員会が決める。
・生ピアノは有料(グランド8000円、アップライト5000円)
・ピアノが無い会場はエレピを各自で用意。
・演奏時間は30分か40分(委員会が決める)。転換は10分。
・駐車場は各自で手配。
・ステージ及びその周辺での物品の販売は一切禁止
(2015年募集要項より) 

あとこれ東北どこ行っても聞く有名な話なんだけど、
プロのバンドほどエントリー通らないってね。
それは、機材でもめたりチップでもめたりってことが
過去にあったからではないかという話も聞きます。
まあこれはウワサ程度の話としてですが。

実際会場で演奏者がチップを集める習慣もないですよ。
(チップ集めが禁止だったかどうかは定かでないですが)

これと比べてもらえれば、
高槻が如何にミュージシャンに配慮が高いかはわかると思いますよ。


んと、何がいいたいかっていうと、
「プロが演奏してるんだからタダと思うな」
という主張をしてしまうと、
「あれだけ仕事してる実行委員はそれなりの報酬もらっても当然だ」
となるだろうし、
「高槻ジャズという看板であれだけ客集まるんだから、
演奏者は会場費や機材使用料を負担しても当然だ」
となるだろう。

高槻ジャズストリートのようなイベントは
そういう理屈を持ち出してしまうと
ぜったい成り立たないと思うんです。

「実行委員のみなさまが無償でもあれだけやりがいを持って開催してくれる」
「プロの演奏者も多くが報酬にこだわらず一般枠で熱い演奏してくれる」
だからこそ、高槻に集まる人たちの民度の高さが生まれるのではないかと思ってる。
他所でそこまでイベントの民度が育ってるところは他に知りません。

高槻ジャズは運営もリスナーも
ミュージシャンに日本一好意的だと思ってます。
であるからこそ、一部のリスナーに首振られることを批難し
「プロが演奏してるんだからタダと思うな」を、
無名のミュージシャンが声高に言い出すと
それが壊れてしまうんじゃないかと懸念してるわけです。

一部の人の態度への批難ではなく、
じゃあどうしたらより全体の民度が上がっていくか、
地域に気持ちよくチップを払ってもらえる習慣を広げていけるか、
を考えていくべきじゃないのかな。

ミュージシャンはパフォーマンスをより向上させること。
ゲストよりこっちの方が良かったといわせるくらいの演奏を
やってみせることを考えたらいいんです。

みんなで作り上げる楽しい街のイベントには、
イベントがいかに成功するかが第一。
そのためにはそれぞれの理屈を通すのは後回し。
バランスと協力、ですよ。


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2 コメント

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全く、同感です。 (ユッケジャン)
2015-05-07 22:00:01
私は、リスナーとしての参加ですが、チップについては「お金が無いときはゴメンね、その代わりある時は弾むから」って感じで観に行っています。そもそもチップを強要するのであれば、汗水垂らしてステージを設置して当日も全てのセッティング、雑用してくれるボランティアスタッフに収益の半分渡す義務が発生するのでは?(勿論運営費として)と思います。
全部タダで用意して貰って「なんでチップ払わんの?」なんてどの口で言えるんでしょうか?

高槻JSの本当の主役は、自分の時間と労力を他人が楽しむ為に捧げられるボランティアスタッフの皆様だと思っています。
ボランティア無しにこの規模の無料イベントはあり得ない。
返信する
ユッケジャンさま (あきら@管理人)
2015-05-09 00:44:14
仰るとおりですね。
イベント自体は非営利な運営で成り立っているもの、支えてるのは無償で携わってくれているボランティアのみなさま。
その視点があるかどうかでしょうね。
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