今回発覚したのは東京・杉並区の河北健診クリニック。14年と15年に企業健診として受けた分と、今年1月に区で実施した肺がん検診で、画像に腫瘤の影が映っていながら「異常なし」と診断された。
少し前に報道された東京慈恵医大や千葉大などでがんの見落としは、CT画像をチェックした放射線科医が、がんの可能性を指摘していながら、その報告書を受け取った主治医が報告書を十分確認せずの、がん見落としでした。
だが、今回の見落としは、これらと違う。河北健診クリニックでは、内科医と放射線科医が胸部X線検査の結果をダブルチェックしてた。14年の企業健診では内科医が「要精密検査」と診断した一方、放射線科医は乳頭が写っていると思って「異常なし」にした。判断が分かれたのに、より専門性が高いという理由で、放射線科医の意見が優先されたんです。要するに、放射線科医の方がアホ。
意見が割れるケースは決して珍しくない。そういう時は、どちらかを優先するのではなく、リスクを考慮して念のため精密検査に回すべきなんですね。
こんなことがあったので、14年9月以降にこのクリニックで検査を受けた9424人の画像をもう一度見直したらしい。すると、「異常なし」から、44人が「要精密検査」になったそうだ。でも、再度見直したのは偉い、とほめておこう。