へなちょこな詩 その１３

僕は、中学時代

担任の女性教師、Y先生の車に乗っけられ

理由も告げられないまま、３０分ほど車に揺られた

そして、日本家屋の豪邸に到着

入って行くと、中庭を左手に臨む

大きな廊下が真っすぐに伸びていた

Y先生は僕に言った

この廊下を歩いて行ってね

僕は言われるまま、真っすぐ歩いて行った

すると、オジサンが待っていてくれた

通された部屋には、デスクがあり

オジサンはデスクチェアーに

僕は、その傍の椅子に腰かけた

オジサンは、ゆっくりと話し始めた

学校は楽しい？

科目は何が好き？

どんなテレビ見るの？

・・・・・・・・・・

僕は、Y先生の車の中で

ずっと考えていた

何なんだろう？

そして、この家に着いてからも

なんで、こんなとこに連れてこられたんだろう？

このオジサンは、誰なんだろう？

だけど、ふと、前の晩のことを思い出した

そう言えば、母が言ってた

自閉症のわけないでしょっーーーまったくぅーー

確か、そんなこと言ってた

ってことは、僕は自閉症だと疑われてるんだ

このオジサンは、それを診察する医者なんだ

僕はそう確信した

確信すると同時に、めっちゃムカついてきた

なんで、僕が自閉症なんだ

確かに、普段、あんまり、しゃべらないけど

僕は自閉症なんかじゃない

もう僕のプライドが許さなかった

そして爆発した

そのオジサンの問いかけに

僕は、関を切ったように、しゃべり始めた

ぺらぺらぺらぺら、これでもかと言うくらい

ぺらぺらぺらぺら、しゃべりまくってやった

ザ・ベストテンのことやら

先週のランキングのことやら

ピンクレディーのことやら

サウスポーのことやら

ぺらぺらぺらぺら、しゃべりまくってやった

どんなもんだいって感じで、

僕は、どや顔してたに違いない

Y先生の疑いは間違いだった

だけど、半分は当たっていたのかもしれない

僕は４年前の秋

〇〇〇〇〇〇症候群と診断された


宮尾昌亜