NECの連結子会社NECエンジニアリング株式会社(以下NECE社)において、2002年3月から2005年12月までの期間にわたり架空取引が行われていたことが判明。
以下、同社プレスリリースの要約。その後にコメント。
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■NECE社の架空取引について
昨年12月末、NECE社従業員がその所属する部門において架空の仕入れと架空の売上
を計上していたことが判明。親・NECでは直ちに社内で調査対応チームを編成。
外部の弁護士、会計士へ調査を依頼し、今般その内容が明らかになったと。
この架空取引は、実際に取引の対象となる物の移動があるかのように見せかけて、
仕入先、NECE社、販売先の3者間で取引を循環させていたもので(日経によると4年間で200回)、
2002年3月の取引を発端に2005年12月までこれを繰り返し実施。
NECE社は、仕入先、販売先から確証を入手していたこと、社内での手続きに必要な
書類をこの従業員が偽造して取り揃えていたこと、売上の入金が販売先から
予定通り行われていたこと等から、昨年12月まで架空であることが認識できなかった。
■架空取引による影響額
売上高 営業利益
2002年3月期 1億円 1億円
2003年3月期 16億円 5億円
2004年3月期 46億円 13億円
2005年3月期 167億円 40億円
2006年3月期 133億円 34億円
合計 363億円 93億円
NECは監査法人と協議の上、2002年3月期までさかのぼって連結財務諸表を訂正すると。
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(コメント)
①NECEの事業セグメントにおける位置づけは、決算短信によりますと、
「ネットワークソリューション事業のソフトウエア会社」ということになります。
この事業の営業利益をヒストリカルに追いますと、こうなります。
2002年3月期 534億円
2003年3月期 343億円
2004年3月期 679億円
2005年3月期 265億円
2006年3月期 500億円(会社計画)
5期単純合計で2,321億円ですので、粉飾された利益は4%に過ぎませんし、
全社で見ればもっとその割合は小さくなります。
単独犯ということでもあり、NECに対する投資判断が大きく変わることは
ないのかなと思います。
②では何故かくも長きにわたって粉飾できたのか?
それは門外漢の私に分かるわけがありませんが、05年3月期の有報の
「関係会社の状況」にあった当社に関する注記を見てみますと、
こんな記載がありました。
『日本電気エンジニアリング㈱は、
平成16年4月1日に日本電気鉄道通信エンジニアリング㈱を吸収合併し、
また平成17年4月1日に日本電気インフォメーションテクノロジー㈱から
営業の全部を譲受けました。
なお、同社は、同日付でNECエンジニアリング㈱に商号変更しました。』
ちょうど粉飾利益が2桁に増えた直後から,立て続けにグループ再編があって、
経理・財務、そして監査の重点が合併やら営業譲受やらの会計処理の方へ移って
いたのかもしれませんね。
でも何故昨年12月に発見できたのでしょうか?
米国会計基準採用会社なので、SOX法対策に向けた内部統制チェック強化の過程で
浮かび上がったのでしょうか?
内部告発なのでしょうか?
その辺の経緯を知りたいですね。
③しかし、粉飾は雪ダルマ式に増えるといいますが、その典型ですね。
06年3月期は減少しているように見えますが、昨年12月までの3四半期
ベースに過ぎないと思います。
同じペースで第4四半期も架空利益を計上したら、
45億円になっていたはずですから(34億円÷3×4=45.3億円)。
それとも架空取引額を増やしていかないとバレる仕組みだったのでしょうか。
時間があればもう少し調べてみたいですね。このカラクリを。
以下、同社プレスリリースの要約。その後にコメント。
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■NECE社の架空取引について
昨年12月末、NECE社従業員がその所属する部門において架空の仕入れと架空の売上
を計上していたことが判明。親・NECでは直ちに社内で調査対応チームを編成。
外部の弁護士、会計士へ調査を依頼し、今般その内容が明らかになったと。
この架空取引は、実際に取引の対象となる物の移動があるかのように見せかけて、
仕入先、NECE社、販売先の3者間で取引を循環させていたもので(日経によると4年間で200回)、
2002年3月の取引を発端に2005年12月までこれを繰り返し実施。
NECE社は、仕入先、販売先から確証を入手していたこと、社内での手続きに必要な
書類をこの従業員が偽造して取り揃えていたこと、売上の入金が販売先から
予定通り行われていたこと等から、昨年12月まで架空であることが認識できなかった。
■架空取引による影響額
売上高 営業利益
2002年3月期 1億円 1億円
2003年3月期 16億円 5億円
2004年3月期 46億円 13億円
2005年3月期 167億円 40億円
2006年3月期 133億円 34億円
合計 363億円 93億円
NECは監査法人と協議の上、2002年3月期までさかのぼって連結財務諸表を訂正すると。
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(コメント)
①NECEの事業セグメントにおける位置づけは、決算短信によりますと、
「ネットワークソリューション事業のソフトウエア会社」ということになります。
この事業の営業利益をヒストリカルに追いますと、こうなります。
2002年3月期 534億円
2003年3月期 343億円
2004年3月期 679億円
2005年3月期 265億円
2006年3月期 500億円(会社計画)
5期単純合計で2,321億円ですので、粉飾された利益は4%に過ぎませんし、
全社で見ればもっとその割合は小さくなります。
単独犯ということでもあり、NECに対する投資判断が大きく変わることは
ないのかなと思います。
②では何故かくも長きにわたって粉飾できたのか?
それは門外漢の私に分かるわけがありませんが、05年3月期の有報の
「関係会社の状況」にあった当社に関する注記を見てみますと、
こんな記載がありました。
『日本電気エンジニアリング㈱は、
平成16年4月1日に日本電気鉄道通信エンジニアリング㈱を吸収合併し、
また平成17年4月1日に日本電気インフォメーションテクノロジー㈱から
営業の全部を譲受けました。
なお、同社は、同日付でNECエンジニアリング㈱に商号変更しました。』
ちょうど粉飾利益が2桁に増えた直後から,立て続けにグループ再編があって、
経理・財務、そして監査の重点が合併やら営業譲受やらの会計処理の方へ移って
いたのかもしれませんね。
でも何故昨年12月に発見できたのでしょうか?
米国会計基準採用会社なので、SOX法対策に向けた内部統制チェック強化の過程で
浮かび上がったのでしょうか?
内部告発なのでしょうか?
その辺の経緯を知りたいですね。
③しかし、粉飾は雪ダルマ式に増えるといいますが、その典型ですね。
06年3月期は減少しているように見えますが、昨年12月までの3四半期
ベースに過ぎないと思います。
同じペースで第4四半期も架空利益を計上したら、
45億円になっていたはずですから(34億円÷3×4=45.3億円)。
それとも架空取引額を増やしていかないとバレる仕組みだったのでしょうか。
時間があればもう少し調べてみたいですね。このカラクリを。