何だか長ったらしい表題ですいません。
本日は、「かっぱ寿司」でお馴染み、カッパ・クリエイトからイキのいいネタを。
連結子会社「得得」が第三者割当増資を受けることで、カッパの出資比率が低下、
その結果、「持分法適用会社」に変更されるというプレスリリースが本日出ました。
プレスリリースはこちらから↓
http://www.kappa-create.co.jp/company/ir/0606zoushi.pdf
カッパのホームページを見ておりますと、これに先立つ4月10日に、この得得が
やっていたうどん事業をかっぱの傘下の関係会社「家族亭」へ5月末に営業譲渡
すると発表しております。
プレスリリースはこちらから↓
http://www.kappa-create.co.jp/company/ir/0604jyouto.pdf
この2つのリリースを見て思ったことを以下にコメント。
まず誤解を避けるために言っておきますけど、特に会計上問題のある取引とは
思いません。こういう不振子会社の処理方法もあるんだなー、ってことなどをご紹介するまでです。
ただし、若干気になったことはありましたので、それを末尾に記載しました。
①得得のうどん事業はH17/3期の営業利益が351百万円とそれなりに儲かって
おり、営業譲渡金額15億円というのも、営業利益の5年弱分、また減価償却費
が不明なのですがEBITDAは5倍以下であるので、それなりにリーズナブルな
金額かと思われます。
②家族亭では営業譲受するための資金15億円が必要となるわけでして、
このうち約6億円は同じ時期に行うカッパからの第三者割当増資で調達。
増資後のカッパの出資比率は16.57%から28.42%へと上昇しますので、
家族亭はカッパの持分法適用会社ということになると思われます
(H17/3期のカッパの有報を見る限り家族亭は持分法も非適用)。
得得は出資比率が低下するので、カッパの連結子会社から持分法適用会社
へと位置づけが変わります。この際、特別損益の項目に、持分比率変更に伴う
株式売却損益っていうのが計上されるはずですのでご留意を(大した金額では
ないと思いますが)。
カッパにとって残る連結子会社はKGアセット・マネジメント㈱ 1社のみ。
これは可能性の問題ですけど、この会社の持分比率も低下させて、
連結財務諸表は作らない!っていう選択肢もアリかもしれません。
(ただし、持分法適用会社の持分法投資損益の開示は必要)
③で、うどん事業譲渡後の得得はどうか、って見ますと、
営業譲渡に伴う譲渡益(推定9億円?)、
及びオーナーの資産管理会社と見られるジェム・エンタープライズによる
5億円の増資、合計14億円。
債務超過額が▲12億円ってリリースにありますので、
一連の取引で得得は債務超過から脱する、ということです。
なるほどよく出来たスキームだと思います。
④ただし、個人的には若干気になる点があります。
1)既述のとおり、家族亭から得得に支払われた営業譲渡代金(15億円)の
一部(6億円)は、カッパが家族亭への第三者割当増資を通じて用立てて
います。語弊がありますが、「資金と利益のキャッチボール」と指摘される
可能性ってありませんかねぇ?
言葉足らずなので少し補足します。
家族亭には営業譲受の際、9億円程度ののれんが発生しているはず。
これは定額償却=費用化(損失)される。
一方、得得では9億円の売却益が発生して債務超過を穴埋め。
誤解を恐れずいいますと、得得の損を家族亭に一部肩代わりさせたと
見ることができると思うのです。
もっとも、家族亭で「うどん」シナジーが発揮される可能性もありますし、
そもそも、こうした事例は世の中に溢れていると思いますから、
特に目くじらを立てる必要はないでしょう。
2)儲かるうどん事業を失った得得。いわゆるバッドカンパニーの状態です。
今後どうしていくのでしょうか?。
これは可能性が低い話ですが、再度、業績悪化に陥り財務内容を悪化
させた得得が、再びカッパの子会社として帰ってくるってことは、
さすがにないですよね?
本件は資金力のあるカッパの筆頭株主がいたからこそ処理できたものの、
その反面、グループのガバナンスについて少々疑問を感じた次第です。
いざという場合に救いの手を差し伸べる存在は、一面有難い存在では
ありますけどね・・・・・。
一般論ですが、平成20年6月1日以降、有価証券報告書で親会社等の
開示規制が強化される、と聞きました。
カッパにとってジェムは親会社ではないのですけど、
今後はこうしたオーナー資産管理会社との取引関係ってのも留意したほうが
良いかも知れませんね。
以上、これも門外漢の素人による戯言として聞き流してくださいね。
村上ファンド☆インサイダー祭りをやって下さい