◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

「イオン恐るべし!」に思う

2006-12-12 | 会計・株式・財務
週刊東洋経済06.12.16号はイオンの大特集でした。
その中でp.44の「財務リスク検証」の部分だけをザックリご紹介。

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◆著名小売アナリストの告白
「イオンの実質的な有利子負債は約2.4兆円。ダイエーのピーク時並み。」

有利子負債         約1.0兆円
支払手形・買掛金・更正債権 約0.6兆円(←でも何故、支手・買掛も含むの?)
リース債務         約0.8兆円(オペレーティングリース)


◆隠れた財務リスク ~店舗に係る証券化
2005年2月期 米国会計基準における有利子負債 9,034億円
       日本基準     同      7,368億円

       主な差額:差入保証金の証券化        673億円
            営業貸付金の証券化         97億円
            キャピタルリースの未経過リース料 876億円

 家主に支払う差入保証金は、将来の返還請求権をSPCに売却して早期回収する手法が
取られているが、証券化は将来の金利水準によって償還負担が増える可能性が
あることから、米国基準では有利子負債としてカウントしていると。

米国基準で見れば、イオンの財務バランスは日本基準と比べ悪化することとなるが、
米国基準でほぼ全てのリスクを織り込んでおり、それでも憂慮するほどの水準でも
ないのではないか?(というニュアンス)。

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(コメント)

①先日、新幹線から見た車窓で印象的な光景がありました。

 浜松近辺。「あぁ、イオンのSCがあるなー」
 ・・・・・・・・・と見過ごして約1分後。

 「アレレッ、オレはデジャヴを見たのか?」と一瞬焦りました。

 というのも、またまたイオンの巨大SCが車窓に飛び込んできたからです。
 浜松の方は、よほどイオンが好きなんですね。
 
 でも何事もほどほどがよろしいかと・・・・・・。



②それにしても、2年前には「イオン大丈夫か?」みたいな特集を
 確か週刊ダイヤモンドで組んでいたような・・・・・。
 時は移り、今回の東洋経済は、どちらかといえば好意的な取り上げ方。
  
 でも、へそまがりな私は、「これがピークにならなければ良いけど」と思う始末。
 いつまで経っても安心できない「何か」を感じてしまいます。

 理由その1。
 記事では一切触れられていなかったのですが「貸金業法改正」の影響。
 どうなんでしょうか。
 クレディセゾンや丸井など流通系カード会社は、
 それ相応の利息返還損失引当金などの追加計上など、
 早々に対応してリリースを出しておりますが、
 確かイオンクレジットではまだ出ていないような・・・・・。

 もちろん、仮にこの影響が出たとしてもイオングループの屋台骨を
 揺るがす可能性は低いとは思いますけどね。
 でももっと言えば、ダイエーも、OMCカードが連結業績を支えております。

 往復ビンタを喰らわなければいいんですけどね・・・・・・。

 13日には法案が成立する予定と聞いております。
 そこで各社の影響試算・・・・・・とかの特集で、
 おそらく注目されると思います。お見逃し無く。



 そして理由その2。
 最大の不安は、SCそのものが「ブーム」扱いされていることです。

 2006年ヒット商品番付(日経流通新聞)を見ますと、
[西横綱]がなんと「ショッピングセンター(SC)」でした。

 こういうのって、ブームにしちゃいかんでしょう?
  
 反動、来ますよ。
 熱しやすく冷めやすい国民性ですから。


③蛇足ですが、個人的に関心があるのは、
 純粋持株会社化完了後のバランスシートのイメージ。
 のれん、有利子負債でブクブクに膨れあがるのでしょうか。
 

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