◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

証券アナリストは決算書のどこを重視しているのか?

2005-12-12 | 会計・株式・財務
私も惰性で会費を払っている「日本証券アナリスト協会」では、
アナリストの意見を体系的に把握し、日本の会計基準や国際会計基準等
に対して実態に基づい見発信を行うために、初めてアンケートを実施。
回答者974名(回答率8.3%)

その結果から、興味深いデータをご紹介。
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◆アナリストが重視する財務データ・財務比率とは?◆

 ・「営業利益」が最重要視。
   これにキャッシュフロー関係データが続く。

 ・当期純利益の財務データとしての重要度はこれらを下回る。

 ・しかし、財務比率では、
  「売上高営業利益率」に続いて、
  純利益を使用するROE(純利益÷株主資本)、
          EPS(1株あたり純利益)
  が重視されている
    ↓
  純利益と株価との創刊を重視する実証研究結果が裏付けられる。

 ・アナリスト協会では次のように総括。

  「アナリストとしては、
    ・第一段階で会社の業績事態を理解するために
     営業利益」と「キャッシュフロー」を用い、
    ・第二段階として会社の投資判断に必要な同業他社比較のために
     純利益」に基づく「PER」等を用いるものと
   と思われる。」

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(コメント)

・営業利益は、連結セグメント情報での開示もありますので、
 アナリストにとっては非常に使い勝手の良いデータだと思います。

・したがって、逆に、企業サイドでは、アナリストの最大の関心事である
 (連結)営業利益を見栄え良くするよう、セグメントを組み換えたり、
 当面利益貢献の乏しい子会社を持分法適用会社にしてしまえばいいのです。

 そうすれば一部のアナリストは、会社側の誘導にまんまと乗るでしょうね。

・「エッツ?どこかで聞いたような話・・・ですか?」
 そりゃそうです。
 ライブドアがやっているのは、まさにこのテクニックですから。

・しかしながら何度も書きますが、株式投資は美人投票。
 自分は「これはワナだ!」と思っても、
 成長ストーリー(または絵)が良く描けている場合には
 相場に乗った方が勝つことが往々にありますのでご注意を。 

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1 コメント

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利益比較の限界 (温故知新)
2005-12-22 12:17:44
 利益を企業同士比較するのは本当に難しいですね。営業利益はご指摘の通り持分損益を含んでいませんし、経常利益では特別損益と税率のことが勘案されていません。営業利益+減価償却費+のれんだい償却費で、EBITDAを用いて海外企業では利益比較をしますが、営業利益をNOPATにしてもおっしゃるライブドアマジックは含まれませんので、ミスリードしてしまいますね。

 そんな一方で、今回の上げ相場、多くのアナリストがPERや相対PERを使って目標株価の設定理由としているところが面白いというか妙ですね。市場平均のPERが下がったら目標株価も落とすんでしょうか?。だとしたら、企業の価値って一体?。興味深いところです。
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