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新薬「オプジーボ」保険適用拡大に思う

2016-03-18 | 会計・株式・財務
先日、高額な医薬品「オプジーボ」のネタを出したところ、18日の日経「ニュースな科学」欄にがん細胞に壁、免疫力保つ 新薬「オプジーボ」保険適用拡大 副作用少ない「第4の治療法」へがありました。

記事の詳細は現物をご確認頂きたいのですが、ざっとまとめると以下のような感じでしょうか。


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◆従来の抗がん剤とは全く違う仕組みでがんをやっつける治療薬が登場。体に備わる免疫の仕組みを生かす免疫チェックポイント阻害剤の「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」だ。日本発のこの新薬は2014年からまず皮膚がんで使えるようになり、肺がんにも健康保険が適用された。顕著な効果を得られずなかなか臨床現場に根付かなかった免疫療法が定着するかも。

◆オプジーボは14年9月に小野薬品工業などが皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)向けの免疫チェックポイント阻害剤として発売した。国内で公的医療保険が適用された初めてのがん免疫療法の薬とされる。
がん細胞だけでなく正常な細胞にも作用し、DNAを傷つけたり細胞分裂を防いだりする一般的な抗がん剤とは仕組みが全く異なる。
発売に先立つ国内での臨床試験(治験)では、抗がん剤が効かない悪性黒色腫の患者35人へ投与したところ、約23%にあたる8人でがんが小さくなるなどの効果が出た。

◆悪性度が高いと5年後の生存率が1割前後という治療の難しいがんだけに、この効果は免疫療法に懐疑的だった医師の見方を変えた。13年、米科学誌サイエンスはその年の科学の十大ニュースに選んだ。
オプジーボは15年12月には切除できない非小細胞肺がんでも製造販売の承認を取得した。小野薬品によると、16年1月末までに国内で2000人超がオプジーボを使ったという。同社の株価はこの1年半で2.5倍になった。

◆免疫チェックポイント阻害剤は免疫力を取り戻すことでがんをたたく治療法のため、副作用が少ないとされる。半年間使い続ければ薬価が800万~1800万円になるとても高価な薬だが「3~6カ月の投与で効果を判断でき、有効なら数年は効果が続く。費用対効果は大丈夫」(開発のきっかけとなるPD―1を発見した京都大学名誉教授・本庶佑さん)。

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オプジーポがいかに画期的な治療薬であるのかよくわかる内容となっておりまして、患者さんとそのご家族におかれてはまさに「希望の光」。ここまではいい話に決まっております。
日本では保険適用されれば、高額療養費制度の対象になりますので患者さんの自己負担額も抑えられますからね。

しかし、この記事にもありますように薬価は高過ぎます。記事では23%にしか効かず、また効いても数年しか効果が続かない。ツケは逼迫する保険財政に回り、確実に重荷となってきます。
「日本の財政破綻にベットする形で、小野薬品株式を買う」という半分ギャグのような投資戦略もそのうち出てくるかも知れませんね。

またいきます。



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医者と患者のコミュニケーション論 (新潮新書)
里見 清一
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