Delusion Theater

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「秘する敵」

2009-11-03 21:48:28 | 妄想劇場/影
影劇  「秘する敵」



  …知っていた。 知っている。 俺は『これ』を知っている。







 札が氷でくっついてはなれない。 心配そうな顔でアウルアイは尋ねた。

アウル 「本当にどうしましょう、これ」

 これと言うのは勿論、札と手が離れない事だ。

ゼロ  「あ~大丈夫大丈夫」

 ははっ、たぶん人間なら、このままだと凍傷にでもなるんだろうな。
 アウルアイの心配そうな顔を見て、そんなことを思いながらも
 これを解決出来るであろう人物のことを俺は心配した。

 朝、俺が全然連絡をしなかったせいで、探しに来たあいつを。
 俺を見つけた後、直ぐに多くの目玉の魔物に囲まれ、囮になって…
 いや、二手に分かれたんだけど、ほとんどがあいつの方にいったのか。
 今思えば、あの魔物達もじいさんの差し金だったのかもしれない。

 まぁ、そのじいさんは空の上だから、確かめようが無いんだがな。
 あいつの事だから、あんな目玉だけの魔物にゃ負けないとは思うんだが……
 逆に楽しそうまだ戦ってるかも、な。

ゼロ  「…あいつの言葉を借りるなら
      『人の言葉で確か”杞憂”』 、か?」

アウル 「はい?」

 思わず思った事が口に出たみたいだ。 俺は直ぐに誤魔化した。

ゼロ  「い、いや、ただの独り言。 は、ははっ」

アウル 「??」

 あいつの事を心配しながらも、あのチンピラ共を見張っている二人の所にいるような気がする。
 
  …ん、あれ? 手の感覚が?

 今度は、思わず札がくっついてない手で、札がついた感覚が無い手を『抑えた』。
 アウルアイも俺が急に止まったせいで止まってこっちを見る。

アウル 「本当に大丈夫……ですか?」

 さっきの様に、笑いながら「大丈夫」とはもう言える状態じゃない。
 なぜなら、俺は…

   …知っていた。 知っている。 俺は『これ』を知っている。

 もう既に肩まで感覚が無い、俺の腕は知っている『これ』に乗っ取られていた。
 ここから逃げないと、全てが乗っ取られる前に…
 『これ』はもう二度と出遭いたくない『敵』だ。 俺は『これ』を虚無の鼓動と名付けていた。

 俺は無我夢中で逃げた。 突然走り出した俺に向かって声をかけるアウルアイから。



  全て、支配、される、前に……



 足の感覚も無くなり、俺は前に倒れこんだ大きな通りに出たようだ。
 目だけはまだ……もうアウルアイの声は聞こえない。 誰の、声、も……
 最後に見えたのは、縄で縛られた二人のチンピラと、イーズ、ロード。

 次第に目の感覚も無くなり、消える想いで
 俺は最後の希望、あいつ、にたくした。

  どうか、俺を殺してでも、止めて…く………れ…











あとがき
さて、聖都編もいよいよクライマックス、最後の戦いと相成ります。

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