同志社大学体育会山岳部 西ネパール遠征報告

同志社大学体育会山岳部の2015年西ネパール遠征のブログです
計画、準備段階から登山状況をお伝えして行きたいと思います

活動報告⑤

2016-02-09 06:05:23 | 活動報告

2016年になりました。報告の続きで、SimikotからキャラバンでBCまでです。

8月15日(土)、16日(日) 「Simikotにて準備」

天気は15日が曇り→雨→晴れ。16日が晴れ→曇り。

8:00朝食のパンケーキとチャパティ、ミルクティーで一日が始まりました。とても優雅なひと時です。

さて、Simikot(標高約2900m)での順応は終えたので、あとはいつでも出発できるように準備を行った。

準備内容は①カチャル(馬)手配②食糧などの買い出し③梱包④打ち合わせ である。

①カチャル手配

カチャルはシミコットで雇うことが可能で、主にキャラバン中の重い荷物を運ぶ馬のことである。この季節になると、登山隊やトレッカーが来るため荷物運搬の仕事が増えるのだという。特にバックキャラバン中(9月中旬)も他の馬たちを見かけた。僕たちは出国前にカチャルを雇用することを現地エージェントを通してシミコットのカチャルボーイ(馬方)へ伝達してもらっていたため、シミコットではスムーズに雇うことができた。カチャル、カチャルボーイはこの季節までの期間は、より北方の山域に居るため事前に連絡して呼び戻す必要があった。幸い僕たちの行こうとするChuwaKhola沿いの地理に詳しいカチャルボーイたちがいてくれて助かった。結局カチャルは全部で18頭雇用した。なんでもカチャルは数頭ずつでないと雇用できないの(カチャルボーイの持っている頭数の都合上)でこのような多い頭数となってしまったが、実際に荷物を積んでみると丁度良い頭数となった。カチャルの積載重量は基本的に1頭50kg(腰の左右25kgずつに、現地入手可能の土嚢袋のようなものでくくりつける)。カチャルの手配もすべて、日本語の話せるネパールスタッフと相談したので問題なかった。

②食糧などの買い出し

登山の食糧では、キャラバン食と高所食があるが、キャラバン食は現地のものを使用した。その中でもSimikotにて入手可能なものもあった。この日は米10kgを購入。すぐに手に入った。またSimikotでは他にも野菜などが手に入る。他に、燃料としてケロシンも購入した。僕たちは登山中(BC~頂上~BC)にEPIガスを使用する予定であったため、あらかじめSimikotまでジュムラ経由でガスを運んでもらっていた。しかし、キャラバン中の燃料はSimikotにて購入可能な燃料をしようすることであった。ケロシンは約200kg購入。

③梱包

実際にそろった装備、食糧、燃料などをカチャルに乗せた。ここで注意したポイントは、キャラバン中に開封するのか、BCについて初めて開封するのか、ということである。登山中に使う予定のロープや登攀具の入った土嚢袋には「BC」と書き、それまでに使うテントやシュラフなどの個人装備には「caravan」と書いた。また、キャラバン中は雨にぬれる可能性もあるため、土嚢袋の内側にビニール袋を配置し防水した。これもかなり効果があった。一つ反省点があるとしたら、土嚢袋、ビニール袋、それらを縛る紐の予備をたくさん持って行けば良かったことだ。荷物を包んでいる袋類は予想以上にすぐボロボロになってしまったのだ。

④打ち合わせ

キャラバンルート、宿泊地はあらかじめ出国前に決めてきた。距離や高度差、集落の情報から決めたのだが、この打ち合わせで少し計画がずれることとなった。打ち合わせは遠征メンバー、ネパールスタッフ、馬方で行われた。特に、現地の地理に詳しい馬方のアドバイス(ネパール語である)から、宿泊地を増やしたほうがよいと提案された。1日にカチャルが進める距離もあるらしい。もともとキャラバンの予備2日とってあったため多少ずれても大きな問題にはならなかった。打ち合わせ中、カトマンズと現地携帯電話(ナマステ)で連絡を取り合うこともできまだまだ町にいるなと感じた。

8月17日(月) 「Simikot~Gyagruk」

6:55起床、朝食~10:00昼食~11:00出発~11:40休息Simikot-KudillaKhola間~12:15休息KudillaKhola谷分岐~15:00テント場Gyagruk着~18:00夕食

ここからSimikot~BC合計約50kmの旅が始まった。

現地マップよりキャラバンルート

Simikotを出発する日である。朝11時頃にホテルの人たちと握手を交わし、別れを告げる。出発はあいにくの雨であった。このとき傘が重宝した。行先はDojam。しかし実際には少し手前のGyagrukまでとなった。道は全く険しくない。まだ電線も横を通っているくらいだ。どうやらDojamまで、電線がひかれているらしいと後でわかった。途中、幾つかの村を横切り、子供たちと挨拶「ナマステ~」。子供たちも元気よく返してくれた。この日は登りが殆どなく下りばっかりだったが、初日であったため、慎重に息を整えながら歩いて行った。普段の山行なら、隊をなしてまとまりよく休憩を入れていくのだが、今回は隊がそもそも長く、またスピードなどに個人差があったため、皆が独立して休憩をとるスタイルで進んだ。

~カチャルの考察~

18頭のカチャルの中にも体力差はあるようだ。担いでいる荷物に明らかな不公平が感じられた。あるカチャルはテントマットと他軽そうなもののみ。あるカチャルはケロシンとガスボンベ。ケロシンを担いだカチャルは、とても歩くことに苦労していた。また、このカチャル、積まれた荷物のバランスが悪い。これもあって、ヨロヨロと進んでいると、カチャルボーイが「しっかりしろ」と言っているようで、さらには石を投げつけられていた。とても見ていられない。しかしキャンプ地に到着すると、カチャルボーイたちはカチャルをとても労わっていたのも事実である。

 

 8月18日(火) 「Gyagruk→TanlaSago」

6:55起床~8:00朝食~9:48出発~11:54Dojam裏大岩壁下~13:40テント場TanlaSago着

今日はキャラバン2日目。朝は9時発の予定が45分後の出発となる。出発時、1頭のカチャルがSimikot方面へ帰ろうとする。やはりストレスか!?昨日のアンバランスなカチャルはアンバランスのままであった。残念。今日のルートはDojamを経て、さらに山奥へ。結構な雨が降ってきた。Dojamは少し栄えているようで、集落がある。ここで登山届のようなものをPoliceに提出。拳銃を所持している!?この町を過ぎると、ChuwaKhola右岸に大岩壁が見えた。

Dojam裏の大岩壁(地形図でも崖マークになっている)。

Dojamを過ぎたあたりからは、人の気配を全く感じることができず、やっと僻地へ来たという雰囲気がした。キャンプ地に到着。今日のテントは岩の下で雨を防ぐことができた。すぐにテントを張り、時間があったので、テント補修、ボルダリング、荷物整理など行った。

 

TanlaSagoボルダー

8月19日(水)「TanlaSago~Poljung」

7:00起床~10:00出発~11:30草原~15:30テント場Poljung着

今日は快晴だ。昨日ボルダをやりすぎたせいか肩が痛い。仙田は今日不調で高度の洗礼を受けたようである。ChuwaKhola両側の山が切り立ってきた。

ChuwaKhola右岸に見えた岩峰群。

~地形の考察~

日本の山と比較して、切り立った山が多い特徴がある。3000mくらいの平地部分から一気に5000mまで突き上げている山も少なくなかった。5000mほどだとこの季節ではまだ雪は積もっていないようだ。岩石は至ってふつう。見たことのあるような花崗岩や堆積岩が多い。一方、谷地形を見ると、ChuwaKhoka谷は大きく広い。そしてChuwaKholaは水量が多く、緩やかな勾配な割りに流速が速い。

ChuwaKholaの様子。

キャラバン前半のみの報告でした。

文責/写真 仙田