ここにいないあなたへ
ぼくは今、目を瞑ると
あなたのことをはっきりと思い出すことができるよ。
あれから、もう一年もの時間が過ぎただなんて
信じられないね。
この一年は沈み込んで過ごしたよ、
あの日の悪夢をかき消そうとしながら。
何度ももう駄目かなって思ったよ。
あなたのいない世界なんて、
ぼくには考えられなかったことだから。
時間のおかげで、
現実を少しだけ受け止めることができるようになったよ。
こうして恵みの光をうけていると、
あなたの魂が今でもぼくのすぐ傍にいることを感じるよ。
太陽に感謝しなくちゃね。
あなたと昔、行こうね、と約束していた土地を歩く、
ぼくのこの旅は今、終わろうとしている。
あなたはもういないけれど
あなたの魂をぼくは感じることができたよ。
ここの自然と太陽と人々の笑顔のお陰だね。
強く生きてみるよ。
あなたの分まで。
また来年も一緒に来ようね。
あなたはぼくの心の中にいる。
ぼくがここで生きている限り。
『ここにいないあなたへ』
by 辻仁成
この詩は2月末
松山に行った時に
持参した詩集の1篇です
今日になって
なんとな〜く
この詩を投稿したくなりました