福島県猪苗代町小川医院

福島県猪苗代町にある小川医院です。

痛風予防

2010-06-15 09:39:34 | Weblog
痛風は、その殆どが、足の第一趾(親指)の付け根の関節(中足指節関節)が


赤く腫れて激痛を伴う関節炎を特徴とする病気です。


その背景に、高尿酸血症があり、肉類やアルコールを好み


ストレスの多い男性に好発します。


高尿酸血症は、その原因のほとんどが腎臓での尿酸排泄低下によるものですが、


他に体内で尿酸を過剰産生するタイプもあります。


尿酸(プリン体の代謝産物)が体の中に過剰に蓄積しますと、


血液中に溶けていることができなくなり、


軟骨や骨、腎臓などに尿酸結晶として出現する危険性が増えます。


この結晶が関節包内に遊離して生じる炎症反応が痛風発作です。


高尿酸血症の人全員が痛風になるわけではありませんが、


一般的には、飲水による尿量の確保、アルコールの制限(特にビール)、


高プリン食(肉など)の制限、カロリーの制限、有酸素運動の励行がその対策になります。



 あまり知られていない事実に、牛乳(特に低脂肪牛乳)が


高尿酸血症を改善し痛風を予防するというのがあります。


有名な医学雑誌に載った論文によりますと、一日に数杯の低脂肪牛乳を飲む人は、


月に一杯も飲まない人に比べますと、痛風の発生率が約半分ほどでした。


低脂肪ヨーグルトの摂取に関してもほぼ同様の結果が得られました。


牛乳が痛風発作を減らす理由として、牛乳の中に含まれる


カゼインとラクトアルブミンという蛋白質が、腎臓から尿酸排泄を促し、


血中の尿酸濃度を下げることがあげられます。


別の研究によりますと、牛乳を一ヶ月間中止することによって


尿酸値が上昇することも分かっています。



 痛風を一度経験された方はご存知と思いますが、その痛みは激烈で、


松葉杖を必要とするケースもあります。


疾病は予防につきます。


自分自身や大切な家族の生活を振り返り、


健康寿命が一日でも長くなるようなライフスタイルに変えて行って下さい。


痛風の予防対策(例えば、カロリーの是正、アルコール制限、適度な運動の継続)は、


肥満対策、糖尿病対策、高血圧症対策、メタボリックシンドローム対策に相通じます。


 

参考文献
N Engl J Med. 2004 Mar 11;350(11):1093-103.
Am J Clin Nutr 1991;53:665-669
Eur J Epidemiol 1995;11:275-281

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