福島県猪苗代町小川医院

福島県猪苗代町にある小川医院です。

呼吸健康法

2010-06-14 15:03:02 | Weblog
喉の痛みを訴えて何度も外来を受診する患者さんがいます。

咽頭扁桃炎を繰り返す方の中に、口が半開きで下唇が厚く、

口元が片方に上がり、眼の大きさも左右で異なる、

いわゆる口呼吸顔貌をしている方を多く見かけます。

いつも口を開いて口から息を吸い、

片側で噛む習慣がある為に顔の筋肉や骨格が変形した結果です。

例えば、オリンピック選手の体型が、重量挙げ選手と水泳選手で違うように、

体にかかる負荷の種類に応じて体型は変化していきます。

顔も同じで、片方の歯で噛む人は、その側の眼は小さくなり口元が

上方に曲がって行き、引き締められない下唇はたらこのようにたるんでゆきます。

空気中には、ほこりやウイルス・細菌、様々な化学成分が浮遊しており、

常に口から息を吸う人は、それら有害物質を、口腔や扁桃、咽頭、喉頭、

気管支に直接取り入れていることになります。

鼻から息を吸う場合には、鼻毛や線毛、

鼻粘膜から分泌される粘液や

殺菌作用のある物質(免疫グロブリンやリゾチーム)で空気を浄化し、

さらに加温、加湿して空気を肺に送るのでより安全です。

口から息を吸う人は、

鼻という超優秀な天然の空気清浄器を使わないので、年中、

風邪や気管支炎にかかりやすくな ります。

人は約60兆の細胞からなります。

例えば、小指の先(一g)は約十億個の細胞からなり、

ボールペンの先端程度の大きさの癌は、約百万個の癌細胞からできています。

人体は、ミクロの細胞が生きて行く為に、ある細胞集団がそれぞれ異なる役目、

例えば眼や心臓、脳になり、

互いに役割を分担して助け合いながら生きて行くシステムです。

口呼吸の人は、その細胞内に感染をひきおこす病原微生物を積極的に

体内に取り入れていることになり、ひいては細胞の機能低下をもたらし

万病の原因を自分で作ることになります。

口呼吸をしていると気付いた方は、

毎日、美しい日本語を(外国語でも構いません)

意識的に鼻から息を吸って声を出して読んでみて下さい。

自分は鼻呼吸と思っている方でも、

話をしている時は口呼吸になっている場合が非常に多いです。

意識的な鼻呼吸を最低三ヶ月間続けることにより、

鼻呼吸が無意識にできるようになります。

鼻呼吸と両噛みで、さらに美しい人になって下さい。



参考文献:「重力対応進化学」西原克成著、南山堂「顎・口腔の疾患とバイオメカニクス」西原克成著、医歯薬出版