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花咲かブログ

おたく女ののんびり生活

嘘喰い第368話「暴くに難し守るも難し」:ネタバレ感想

2014年03月22日 11時32分03秒 | 嘘喰い
本誌既読の方向け。今週の作品内容に触れる感想です。



俗にスパイ天国と言われる日本に潜伏していたフロイド・リーの暴き屋さんの側面が。これものすごく面白いです! ものすごく秀逸な冷めた笑いになってる感じがするんです。
一見、フロイド・リーはスノーデン級の暴き屋。しかしそのすべては「所詮人の妄想」と間紙立会人が看破する。
これって、いわゆる「陰謀論」の構図そのものなのです。
有名なのは、例えば大震災の人工地震説。そこから秀逸なフィクション小説なども生まれています。真実と妄想は紙一重。フロイド・リーは自分の暴いたものこそ「本質」と言いますが、それは彼自身が作り上げた想像上の架空の存在とも言える。特に人の本質に至っては、時間の経過によって揺れ動くすさまじく曖昧なもの。何が真実であるかは他人にはわからない。本人にも、思い込みを含まないありのままを見つめるのは至難の業です。

暴き屋と称しつつ、彼はむしろ超一級の工作員なのかもしれません。点と点でしかないものを、線で繋いで新たなものを生み出す。それがフロイド・リー。

というのは、私の雑感ですけども。

スパイ天国日本、というのは多説があってですね。
あらゆる情報が整理されずに放置されていると、その膨大さは精査に莫大な時間を要する。喫緊の用件で情報を引き出すには不向きとの見方も。ちょっと古い話ですけど、3億円事件の真犯人逃走の一因であった「ダミーの遺留品」みたいな感じです。手がかりが多すぎて、ひとつひとつを潰しているうちに時間稼ぎされて、逃した、という。

そして今週のお手柄。
すっかり二代目梶くん(読者目線の人)として立派な働きをしてくれるチャンプさん。ビオスの金額が下がると心理戦の肉薄を感じますね。ドキドキ。
大金の打ち合いというより、低水準での駆け引きも白熱しそうで楽しみ楽しみ。

梶くん……顔を売るって恐ろしいと大実感中では。
せっかく貘さんを出し抜くレベルで大活躍したのに、それがテレビ露出して寄って来たのは千聖ちゃんのようないいものというより、むしろ横井やリーのような振り切れた怖いおっさんばかりという。鷹の爪は隠しておいたほうが楽しいので、一見平凡な梶くんは本当は平穏な人生を送れるはずだったとおばさんは思う。いや梶くんが、横井やフロイドに目を付けられたことを楽しめるタイプならおばさんは引っ込みます。

フロイドは一体何を思って「親の事で煽った事は忘れてほしい」と申し出たのか。かなり気になる一言ですね。
なんか梶くんが試されそうでハラハラします。
親への憎悪は、忘れられるなら忘れるに越したことはないのは誰でも梶くんでもわかってるに決まってる。でも、そんなに簡単じゃないから苦しむわけで。
どちらも大事なことだけど、もしかしたら、フロイドの「手打ち宣言」「悪意はない」を信じるか信じないかで、こいつらの人間の器が見えて来そうな。フロイドはただのデタラメ野郎なのか、案外こざっぱりした竹を割ったような男なのか。梶くんもまた、母親を許せない自分を受け入れられない自分でいるのか、それとも母親を許してやって自分もまた問題のない人間だと受け入れることを選ぶのか。

父を訪ねて3000万パワー、マルコに続く家なき子の梶くんは、旅ギャンブラー貘さんとの冒険で見事に成長するのでしょうか。




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