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花咲かブログ

おたく女ののんびり生活

嘘喰い第267話「暴 散る」:ネタバレ感想

2012年01月04日 14時00分22秒 | 嘘喰い

新春、ネタバレしてますよー



「アウフヘーベン」の後当たりから、ちょっとまた思ったのですが。
サブタイトルは、もしかして再び編集さんにバトンタッチなさった?
最近のタイトルの気の効き加減は、アオリの気の利きに通じるところがある気が。

さて新春第1号ですよ!
(でもきっと先生が脱稿なさったのは昨年)

「突破者」「半端者」の自論を伽羅にぶつけつつ、なんと撻器自身にとって伽羅が着火剤となってしまっていた模様。強い男は強い男を呼び覚ますのですね……。
そんな伽羅に出会えた撻器は、果たして幸福なのか、不幸なのか。これは彼自身の主観において判断すべきことでしょう。

うーん……。

この作品は「自らの我を通すか否か」といった点に重きを置いている、と考えて良いと思います。
第1話で梶くんが貘さんに惹かれた理由は「勝つための方法を知っている人だから」。それは、社会だとか道徳だとか、いっそ理性だとかの、人間社会が成立して以降の後付の理屈によるものではなく、おそらくは人としての原初の感覚。
貘さんはそういう人だし、梶くんがそれに心惹かれることでこの話は動き出している。

てー、ことは。
現在の撻器はおそらく、「あるべき姿」なんだろうと思います。

が。

「自らの我を通す」を、是とするか否とするかもまた、まだ作中で結論付けられていない議題だとも思う。

「自らの我を通す」は「個としての男子」にとって、おそらくは意識せざるを得ない本能の一部、であろうと思います。
しかし、そこが人間社会である以上、原初の感覚だけでは”生活”は成り立たない。それをどう、しようとするのか。
撻器は組織を選び「半端者」の生き方を否定して半生を送って来ていました。
では、伽羅と出会って己の業を自覚した撻器は、そしてどうなるのだろう。

これは撻器の物語、あるいは伽羅の物語という、各個人の物語というより、貘さんを初めとした「勝つこと」に魅入られた男の人達の物語として、その結論を見たいと思います。
もしかしたら、成人することで「相手を殺すことすら可能な暴力」という力を手にした男性の話なのやも。



で、話題は変わり。

撻器と創一くんの血縁なんですけども。
そういえば前に「質に入れる女房もいない」と撻器さんは言ってましたが。
これって生涯独身という意味なんでしょうか。
撻器と創一って親子なのかな。どういう血縁の親族なのだろう。

ただ、撻器さんの実年齢が夜行さんを遥かに上回る高齢だと考えると、奥さんがいても死別してることも考えられるのですよね。

もしも、撻器さんが、嫁さんがいて創一という息子がいたと考えてみると。
息子に家督を譲り、嫁さんは天寿をまっとうして(?)死別。老後に若人と会ったことで本来の自分自身に目覚めても後顧の憂いもなし。悠々自適のセカンドライフな感じで非常に羨ましいです。おまけにエリザベートも般若の形相で薔薇の棘を握り締める若返りの秘術。なんだこのすさまじい甲斐性は……!


そしてやっと夜行さんのこと。

今回また新たな夜行さんの一面が。
撻器は夜行さんが「義務感めいたもの」を原動力に格上との殺し合いに挑んだと指摘。更に雌雄を決した夜行さんに対する情が再び戻って来たと思われる撻器ちゃんの温情の言葉。

だが夜行さんは。
己の嘘喰いへ抱いたあやまちもろともに、撻器の拳による制裁を受けて死にたいと。
えーーーーーー?!

撻器へ無謀な挑戦を試みたのは一義的にには嘘喰いへの義務感、その背後の無意識では、本質を見誤った自分自身への罰則であったのでしょうか。
これは挑んだ相手が所属組織における唯一無二の棟梁であるだけに、非常に示唆的です。

最後はなんと回想。
しかも驚愕の! あの男色家!!
『嘘喰い』って男色する男の地位がとても低いというか……、極めつけの下衆ばっかしにゃー。
なんとこやつ、夜行さんを専属につけて会員権再ゲットかいな。
どれだけ権力者なんだい。
しかも「焼く」という言葉のそばに「薬品」。うわあ、ジョーカー!! ダークナイト!!!

更に、若き貘様と伽羅の最高コンビが相手。
これは痺れますよ。
なんのかんとと、若き日の破竹の勢いというのは善悪と別に心惹かれてしまうものです。
この二人の相手として、男色家は釣り合わない気もしますが。
でも、そんな赤子の手をひねる勝負を夜行さんが思い出すとも思えないし。
蟻んこ相手に悪魔はどんな本質を見せるのか。


待て次号であります。



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