我思う故にコヂ在り

アコユニット「canappeco」G兼Vo担当コヂのどうでもいいけど本当にどうでもいい日常を赤裸々に語る哲学著(嘘)。

その日のまえに

2006-04-25 13:07:50 | Weblog
僕の家は3人兄弟。僕はその真ん中、典型的な次男坊である。

従兄弟が9人、、いや、10人かな?

この数が多いか少ないかは分からないけど。

僕が小学校ぐらいまでは、年始なんかで祖父祖母の家に一同が集結したりすると、それはもうすごい騒ぎだった。

だって、、ねぇ。年端もいかない子供たちが10人以上集まるわけだからさ。

ある種カオスですよね、カオス。




そんな親戚一同の中に、叔母さんはいた。

僕らのリーダー的な存在。

事態の収拾がつかなくなるといつも、


よしっ、じゃあハンバーガー食べに行こうか


騒ぎ続ける僕らを車に詰めこんで、近くのファーストフード店に連れて行ってくれるような。

そんなパワフルな人。




当時祖父が使っていたワゴンには、一番後ろに進行方向と逆向きに取り付けられた補助席があった。

後ろの窓からいつもと逆向きに動く風景を眺められるその席が、僕は大好きだったんだ。

だから叔母さんのハンバーガー号令が掛かると、いつも僕は急いでその特等席を陣取ったものです。


ゆるやかなハンドリングに合わせて僕を追い越していく景色。

振り返ればそこにはいつものにぎやかな笑い声と、叔母さんの横顔。

そんな風景。






叔母さんが癌になった、と聞かされたのは中学1年のときだった。


ガン。


当時の僕には正直ピンとこない病名。


実際今に至るまで結局彼女がどの部位のガンを患ったのか知らないのだけれど。






とりあえず一度お見舞いに、と家族揃って訪れた病室の叔母さんはいつもとちっとも変わらなかった。






お医者さんにね、なんでも最新の治療法で、身体にゴールドを入れるといいっていわれたんだけどさ。

あたし思わず、そんなのもったいないから現物を下さい、って言っちゃった。




そう言ってあははっと笑った。




だから僕は漠然と、あぁ、病気になっても、叔母さんは叔母さんのままなんだ。と思った。





当時の僕は、今思えば滑稽なぐらいの反抗期真っ只中で、それからたびたび母親にお見舞いに行くか尋ねられても、何かと理由を付けて親と一緒に出掛けることを拒んでいた。








最初のお見舞いから半年ぐらい経った頃かな。



学校から帰ってきた僕を血相を変えた母親が出迎えた。



叔母さんの容態が急変したの。

今から一緒に病院に行きましょう。





容態が急変。





TVの中でしか聞いたことなかった言葉。



そんな非現実をうまく受け止められなかった僕はいつもみたいに、






いいよ。用事あるし。めんどくさい。






と言った。









パチンッ。








乾いた音が玄関に響いて、僕は初めて自分が母親にひっぱたかれたことを知った。




そんなことを言ってる場合じゃないの。

いいから来なさい。




迫力に圧され、茫然としながら車に乗った。







連れて行かれた病院の病室は、前に訪れた何人かの相部屋ではなく、完全な個室に変わっていた。


スライド式のドアを開けると、部屋の中央に置かれたベッドを親戚一同が囲んでいた。





嗅いだことのない匂い。





身体中から伸びている沢山のチューブ。





あんなに元気だった面影なんかカケラもないぐらいガリガリになった叔母さんがそこにいた。






叔母さんの左手をしっかりと握っていた祖母が叔母さんの耳元で




ほら、たけちゃんたちが来てくれたよ。

分かる?





と言うと、叔母さんは辛そうに薄目を開けて、それまで聞いたことないぐらい小さな声で





分かってるよ

ありがとう




と言って笑った。








僕はそれから何をしたか。



何もできなかった。



ただ病室の中に突っ立って、世界から消えようとしている1つの息づかいを聴いていた。



先に入り口のロビーで待ってなさい。



と渡された硬貨で買った缶コーヒーは何の味もしなかった。









4日後ぐらい。


叔母さんが亡くなったと両親に告げられた。



そっか。

亡くなったんだ。



実感は無い。


単語だけがそこにある感じ。








叔母さんはキリスト教徒だった。


自分の判断力の弱いうちから特定の宗教を経験するのは良くないのではないか。


両親のそんな考えから、僕ら兄妹は叔母さんのお葬式には出席しなかった。







お葬式やお通夜は死んだ人の為ではなく生きている人の為にあるのだ、と言うけど。


ほんとにその通りだ、と思う。


叔母さんが亡くなった。


僕には実感のない言葉。


だからどこかで、年始が来ればまた、少し大きくなった僕らに


ほら、ハンバーガー食べに行くよ


って言って笑う叔母さんがいる気がしてたんだ。


ずっとね。









お葬式から半年ぐらい経ってから。




ある日僕は色鉛筆を借りようと、当時小学校低学年だった妹の部屋に入った。


目当てのものを見つけて、部屋を出ようとしたその時、ふと机の上に目が止まった。


安っぽい写真立て。


なかには元気だった頃の叔母さんと、そのヒザの上に座って笑う妹の姿。


その余白にはでっかくて下手くそな字で






おばさんのいきてたころ






と書かれていた。







おばさんのいきてたころ






その下手くそな字をぼんやり眺めていたら、身体の奥のほうから感情の塊りみたいなものが急にあふれ出てきた。







おばさんは、このよにはもういない







そんな文章が突然僕にとってリアルになった。




と同時に、あの日、最後のお見舞いに行くときに自分が何を言ってしまったのかが分かった。







いいよ。用事あるし。めんどくさい。







なんでそんなことを簡単に言ってしまったんだろう。






あんなに辛そうだったのに。





懸命に命を繋ぎながら。





それでも叔母さんは僕らに向かって笑いかけてくれたのに。









絶対に言ってはいけないことを口にしてしまった。





僕は絶対に言ってはいけないことを口にしてしまったのだと思った。








年始が来ても、あの場所に叔母さんはいない。



僕を追い越していく景色に思わず振り返っても、叔母さんの横顔はない。






それなのになんで。







なんであんなことを簡単に言ってしまったんだろう。








ごめんなさい。







叔母さん、ごめんなさい。









その場にしゃがみ込んで、何度も呟いて泣いた。



それでも僕の吐き出してしまった言葉は、いつまでも目の前から消えてくれなかった。




お題バトン

2006-04-11 13:44:48 | Weblog
お友達のなん子ちゃんより回ってまいりました。
お題は「恋」。

恋!??

うーん25歳男子には掘り下げにくいお題だZe。
頑張ります。


1.今、PCもしくは本棚に入っている【恋】
 
そんなちっぽけな場所に恋は入ってないぜお嬢さん、、。
PCはよう分からんけど、本棚で思いつくのは

 ・雪を待つ八月(狗飼恭子)
 ・冷蔵庫を壊す(狗飼恭子)
 ・午後の足音が僕にしたこと(薄井ゆうじ)
 ・キスまでの距離―おいしいコーヒーのいれ方(村山由佳)
 ・天使の卵(村山由佳)
 ・つめたいよるに(江國香織)
 ・さよならは恋の終わりではなく(吉元由美)
 ・Love letter(岩井俊二)
 ・恋愛写真(市川拓司)
 ・さよならは、カンパリ・ソーダ(喜多嶋隆)
 ・わかりやすい恋(銀色夏生)
 ・最終兵器彼女(高橋しん)
 ・神戸在住(木村紺)

かなぁ。
ほら、あんまり恋愛モノって読まないからさ。あはは。


2.今、妄想している【恋】
 
も、妄想なんてしねぇよ!
な、ナニ言ってンだよ。びっくりした。
そ、そんな恥ずかしいことよく言えるよなほんと。
それにほら、あの、気になってる子とかオレ全然いないし。
恋愛とかまだ興味ないっていうか、早すぎるっていうか、、。
 
いや、ごめん正直に言うわ。
ほんとはオレ、お前のことずっと、、。


 
なに書いてんだコレ、、。


3.最初に出会った【恋】
  
幼稚園の先生です。
本気で結婚すると思ってた。
ちなみに全然関係ないけど、この頃、僕は園に迎えに来た母親に
「ねー、うさぎのお話いーい?」
と尋ね、てっきり絵本の読み聞かせかなにかと思った母親がOKをだすと、そのまま園内に飼われていたうさぎを持って帰ってきたことがあるそうだ。
そのうさぎは結局そのまま我が家で4年ほど暮らしましたとさ。


4.特別な思い入れのある【恋】
 
小学校中学年ぐらいからずっとバレンタインにチョコをくれる女の子がいた。
クラスでも結構人気のある子で、活発な感じの女の子だったから、まさか自分みたいな文化系代表の男子のことを好きになる訳ないと思ってたんだな。
だから学校でもほとんど話さなかった。
というか、正直ちょっと避けてた。
露骨に態度に出ていたときもあったと思う。
だってそういうのがなんだかすごく恥ずかしくて、うまく表現できなかったから。

3年ぐらい、チョコを貰ってはホワイトデーにお返しを渡すといった関係が続き、ついに僕らは小学校を卒業することになった。
式が終わり、教室でみんなでサイン帳を書きあったりしていたら、その子が寄ってきて、写真を一緒に撮ってくれるように頼んできた。
いいよって言って教卓の前に2人で並んだ。
撮り終わって彼女が一言、

「あんまり話せなかったけど、ありがとね」

って言って笑った。
 
すごく素敵な笑い方だった
あぁ、もっと優しく接すればよかったな。 
気づけばいつもクラスに彼女のことを探していた自分を思い出して、少しだけ胸の奥がチクリとした。


5.バトンタッチする5人と定単語
 
なん子ちゃんこんな感じでいい?
頑張ったよオレ。
それでは例のごとく自主的に参加の方向で。
お題は「涙」!

君に合うストーリーを

2006-04-10 10:47:57 | Weblog
ブィンッ(自動ドアの開く音)。


店員:いらっしゃいませー。


お客:あ、どうも。


店員:本日はどのようなご用件で?


お客:あのー、買取をお願いしたいんですが、、。


店員:毎度ありがとうございます。現物を拝見させていただいて宜しいですか?


お客:ええ、こちらなんですが、、。


店員:ほほー、これは見事な、、。何年モノですか?


お客:僕が大学時代のモノなので、もう10年近く前になりますかね。


店員:いやー素晴らしいですよ。私もこの業界に入って長いですが、それでもなかなかこんな立派な代物には出会えない。


お客:そう言って戴けると嬉しいです。なにせこれは当時常勝校だった○○大学のエースに果敢に突進した時にもぎ取ったものですから。


店員:そうでしょうそうでしょう。なんというか、このあたりに若気の至り感というか、甘酸っぱい自分探し感が出てますからねぇ。


お客:それで、率直に、幾ら位で買い取っていただけるものでしょうか?


店員:そうですね。コレだけの代物、他店で買われてしまうのは惜しい。30万円即金でいかがですか?


お客:30万円(驚)。そ、そんなに高額で、、。あ、ありがとうございます!


店員:いえいえ、お客さん。私も若い頃は自分より大きな相手を見つけては突っ込んでいったモンです。お客さんの想い、しっかり受け止めましたよ。


お客:あ、ありがとうございます(涙声)。





みたいなストーリーを想像したんだけど、実際のところ、これ何屋さんなんだろうね?(画像参照)



たとえ深く沈んだとしても

2006-04-08 01:13:09 | Weblog
4月に入って、なんだかぼーと日々を過ごしていたらあっという間に一週間経ってしまった。

もう先週の話になってしまったけど、盟友overall+が主催する「阿吽の呼吸」というイベントに出演してきました。

overall+とはなんだかんだでもう2年以上の付き合い。

割とcanappeco始めた当初からの繋がりなのね。

西荻窪のBINSPARKというところで偶然一緒になって、縁あって「阿吽の呼吸」第一回目から声をかけていただいている。

そんなイベントも今回で6回目。

第一回目からもう少しで2周年を迎えようとしてる。すごいね。

誕生の瞬間から立ち合わせて戴いた僕らとしても、やはり相当感慨深い。



前回の阿吽の呼吸からつれづれ食堂さんが出演するようになった。

つれづれ食堂のお2人とは、やはり西荻窪BINSPARKで知り合ったデージーのけんじくんを通じて知り合ったんだな。

それが今度は僕らを通じてoverall+とつれづれ食堂が繋がった。



MCでも言ったけど、僕は、好きなものはきっとどんどん繋がっていくのだと思う。

繋がりがいつか世界を一周しても、だれもそれを止めることなんてできない。

ときに僕らが深く沈んでしまったとしても、その繋がりが何度でも僕らを浮かび上がらせてくれる。そう思う。



ただいま。

と誰かが言って

待ってたよ。おかえり。

と誰かが自然に言う。



そういう場所があるということがとても嬉しい。



ありがとね。




さて、明日は久々に一人でぷらりと唄ってまいります。

http://allabout.co.jp/gourmet/cafegohan/closeup/CU20050307B/index.htm

恵比寿のカフェマルコという素敵な場所。

20時半ごろよりゆるりと始まる唄会です。

共に唄うのは仙台が生んだ天才、パンがなければケーキを食べれば良いじゃない、でお馴染みのオオタユキちゃんと、遅すぎたニューカマー小池アミイゴ氏。


えっ?!アミイゴさん?!!


やばい。すげー楽しみになってきた。

お時間ご都合のよろしい方、是非ゼヒに。

衝撃的指摘

2006-04-02 01:42:26 | Weblog


最近一部の方に「あれ?ひょっとしてこぢくん猫ひろしにクリソツじゃん?」的なことを言われた。







認めたくないニャー。




ポーツマスポーツマス。





そんなこんなで本日より泥酔系激情イベント「阿吽の呼吸Vol6」が始まりました。


canappecoは明日(ってもう今日だけど)の出演。


さっき小池アミイゴ氏より「福岡さいこー!」的な電話を戴いたけど、こちらも負けずに楽しんじゃうんだから!


新曲もお披露目予定。


気合入れるニャー。