高知市主催 市民大学『人間の尊厳規範』の構築(トピックス内容)
テーマ「家族」武藤整司教授コーディネーター
10/24金曜6:30~(山下由佳担当)
タイトル こちら”たまご”応答ねがいます~赤ちゃんポストと家族~
一、胎児は「一人の人間存在」である。胎生学、胎児学の知見からの検証(母親
と胎児とは血液型も違う。別人格が共存共生している)
★細胞生物学者は受精の瞬間を胎児齢がゼロからのスタートを切ったと表現
生命科学者はセカンドジェネレーション(次世代の命)はこの受精の時
から始まっているとの認識
二、国連の「児童の権利条約」は、「胎児」を「児童の概念」に含めた。
ところが、日本の民法では、「私権の享有は出生に始まる」とあり、児童福祉法でも、児童の概念を出生後に規定している。そのため、女性相談所などでの貸付金の申請も出生後でなければならず、妊娠葛藤の女性達には、実際的支援になっていない実体がある。
★その社会的不備を民間支援団体「円ブリオ基金」がカバーしている。
三、アルゼンチン、ニカラグア、ドミニカ共和国、ペルー、コスタリカ共和国
が制定した、国としての「胎児の日」の思想の紹介
胎児を、コミュニティの構成員として積極的に承認する姿勢の現れ。その背景には、1995年世界女性会議での世界のトップクラスの女性達から「中絶を女性の権利として認めよ」との声明があった。それに対して、異例の反対声明を発したのが中南米の女性達で、母性からの強い危機感の現れが、国としての「胎児の日」の制定運動につながり、南米で続々とコミュニティでの承認が続いている。
★高知コミュニティとして「まだ生まれていない子どもの権利保障」
「胎児の日」の制定を!!
四、アメリカでは、現在、「胎児の公民権運動」が活発に展開中である。
例えば、①ブッシュ大統領は、就任第一に、国内の家族計画協会へ の公費支出を公益に反するとして全面廃止した。「アメリカ市民は、 公費で”胎児を殺すことは罪ではない”と普及する特権を許しませ ん」ところが、高知県はこの日本での「家族計画協会」と提携し、「高 知県の子ども達へ中絶を赤ちゃんを殺すことととらえないで」と普 及する冊子を発行、思春期相談員養成などを家族計画協会で行い、 安全な中絶の時期などを教育現場で教え、緊急避妊や人工避妊のみ で問題解決をはかる宣伝普及に公費を支出している。
②ブッシュ大統領は、妊婦への殺人事件に関して、胎児と母親、二 人への殺害行為に相当すると刑法を改正した。
③アメリカの議員さんが、中絶手術は、胎児に苦痛を与えているの で、せめてもの温情として胎児に無痛処置を施すことを義務付ける法案を提出した。
④アメリカは、「セーフセックスプログラム(人工避妊依存)」の失敗を受けて、「アブスティネンスプログラム」(人格教育)へ政策転換している。しかし高知県行政は、いまだに人工避妊の問題点、リスク面を教えずに、出産サポートや養子縁組の選択肢も提供しない「プロチョイスカウンセリング」(中絶の自由があるとの認識)を推進している。また高知県は厚生労働省が社会科学的悪影響を懸念 して政策推進しない立場をとっている「緊急避妊」を推進している。
⑤アメリカでは、出産医院と中絶医院とは完全に役割分離している。
⑥赤ちゃん遺棄容認法案(病院や保育園など安全な場所に遺棄した場合、母親の罪を問わないといった内容。嬰児殺防止の救済措置)
五、コスタリカ共和国の「責任親権法」の思想の紹介
①国民の「親としての人格」の育成と、親としての義務と親権を明 確にしたもの。母親に、父親を指名しての出生届の提出を義務付 けた。その際、父親が事実を争うケースでは、国は国費でDNA鑑 定を実施。親権と扶養義務を確定する。指名された父親が外国人 の場合、出国を許さない強制力がある。
②2000年最高裁判決、人工授精の全面禁止。必然となる減数手術は、 「人間の尊厳規範」に反するという理由から。
③女性と子どもには最大限の保護政策をの精神が社会全体に行き渡 っている。(難民がもぐり出産後逃亡。医師は承知で受け入れる)
④コスタリカの母体保護法では、母親の命に危機がある場合にのみ 医学的適応として堕胎罪の違法性が阻却される。日本では、母体 保護法の経済的理由が99%をしめている。憲法と生活保護法の理 念で問題解決をはかるべきでは?
⑤イスラム教の創始者マホメットは、砂に女児を埋める嬰児殺しの多発の 状況に接して、「子どもを殺してはならない。我々(共同体)が、 あなた方とあなた方の子ども達を援助しよう」との規範を設けた。