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ニューコスモセンター

青森でコスモスというバンドで歌ったり詩書いてる人の痛々しい日々の挙動

昔の散文シリーズ「小船までの距離感」

2013-05-20 03:00:17 | 過去エッセイ
小舟までの距離感

また奥さんに怒れてしまった。
なぜ結婚後の女はこうも強くなってしまうのか。

俺が起きてすぐに酒を飲み出すのが悪いのか。
子供の世話を何もしないことが悪いのか。
悪いです・・ね。
俺はまだ割礼を済ませていない子供のようで
その事を余り恥ずかしく思っていない。
それが
俺が青森の閉じた社会に、上手く適応できていない事に繋がっているのだろう。

大人としての責任。
親としての責任。

ああ なんと重く重い言葉なのだ。
俺はまだそんなことを果たせるまでの、金を持っていない。
金?だからダメなのか・・。

二つの思い出話がある。

俺が小学校の時、学校から帰ってくると
昔行ったことがある寿司屋のお兄ちゃんが母と二人でいた。
親父はいなかった。

寿司屋のお兄ちゃんは、俺の家のテーブルカウンターを使って
寿司ネタを並べてくれて、俺が「これ」と指さすと
それを握ってくれた。
小学校低学年の俺にとっては無邪気なお寿司屋さんごっこであった。

何日かして、参観日の帰り道、母と魚菜センター通りを出た頃、
母が質問した。
「パパとママが別れたらどう思う?」と
俺は小学生で、意味が分からなかったから、もしくは
意味を知りたくなかったのかもしれない。
「別にいいんじゃない」みたいなことを笑顔で言った記憶がある。

海沿いの公園がある。合浦公園という。
小、中学校時代よくこの公園で遊んだ。

遅い5月の春は花見があり、イチゴ飴をたべたり、病気持ちの鯉を釣ったり
怪しい見世物小屋で、蛇女を見たり、お化け屋敷で始めて女の子と
手をつないだりした。女の汗の匂いは、お化け屋敷内に染み込んだ
お化け達のドーランの匂いがした。

夏は海水浴をした。テトラポットの誰も泳がない側では
ウニやカラスガイがとれるので、みんなでそれを取って食べたりした。
俺は泳げないので、浮輪を使っていた。
みんな浮輪を奪い取ろうとしてくるので
俺は笑わせた、何か適当な事を喋って、笑わせて
俺の浮き輪を強奪する行為を止めようと試みていたのだ。
俺にとっては命がけの魔法を唱えていたつもりだった。

秋は展示されているSL機関車で待ち合わせをして、隠れんぼや
忍者ゴッコをする。エビショウと言う友達がいて、彼は忍者ゴッコの時、
草陰にずっと隠れていて、俺が横を通りがかった瞬間、
すごいジャンプ力で引っ込むナイフ片手に襲いかかってきたりした。

その時の彼の体勢が十字架のようで、
そのまま関節を曲げずに無表情で、
俺の目の前に飛び込んできたのを覚えている。

冬は雪祭りで、建設中の雪の迷路に真夜中忍び込み、
鬼ごっこをしたりした。


それは秋のことだった。6年2組の悪ガキ達で海で遊んでいた。
みんなで、向かいは海に面している石で出来た床を伝い歩いていたら
海側の方に、よくカップルが乗りそうな小さなボートが停泊していた。

みんなでその船に乗り込むことになった。
岸と船の距離は50センチくらいしかなかったので、余裕で飛び移ることができた。
初めに祐ちゃんという小太りの、弱い人間を虐めていた人が飛び乗った。

その次に楠が飛び移った。ガキ大将のNは、
その様子を見ていたが、それがいけなかったのかもしれない。
岸と船の間が80センチくらい開いてしまった。

N君はジャンプして飛び移れば良かったのに、様子を見るためだったのか
まず船の縁へ右足をかけた。
そして左足で一気に地面を蹴り揚げて船側に持っていこうとしたんだが、
なぜかN君の左足は動かない。
良く見ると、
初めに脚をかけた瞬間少しずつ船と陸地との間は距離を持ち始めていたのだ。

そしてN君の足コンパスが徐々に開いていった、楠が「ジャンプ!」と言ったのだが、
コンパスはほぼ180度にまで達していたので、
既に踏ん張ることが出来なかったのだろう。
N君は岸と船との間の海に、子分達が見ている前で落ちてしまった。

海は思いの外深く、頭まで浸かった後に全身が現れた。
みんな一生懸命N君を助けようと引っ張り揚げた。
俺は泳げなかったので、ちょっと離れたところから見ていた。

中学校に入ってからもこの公園はよく使われていた思い出公園だ。
ツッパリ同士の喧嘩の場所(後輩にやらせる)であったり、
俺の今の奥さんが酔っぱらいに犯されそうになったり、
ゴム靴で走っていて、地面に打ちつけられていた釘を
踏んでしまったり、真冬の真夜中にバンドのイベントで、
宇宙人を呼ぶと言う企画があってそれでオチが俺が、
スライム(バンド時の白塗りメイクで裸)の恰好して
「ワタシハウチュウジンデス!」と海から震えながら出てきて、
その後メイクとか落としている時にファンの小太りの女の子に、
好きですと告白されて、
ヨーロッパ人が決闘で使うような手のひらにピッタリの皮の手袋をもらったりした。

中でも良く思い出すのは、中学校の時のことだ。
俺のオヤジが 俺が小学校の時、母と離婚し、中学校に俺が入るまで
母は心臓の病気で仙台の病院に入院していると言っていた。

ある日俺が中学校に入学して何日かたったとき、俺と妹を居間に呼び
「本当はお母さんとパパは離婚したんだ」と言ったことがあった。
俺と妹は本当は薄々感づいてはいたのだが、オヤジが入院したと言っていたので
それを信じることにしていた。のだがその時始めて、親父の口から離婚という
言葉を聞いて、結構へこんだ事があった。

それは俺にとって始めての「愛の否定」を感じたイベントだった。
愛の真実感は現実という生命のイベントの中では必ずしも
正しいフィルターを通して、成り立たないことを体感した瞬間であった。

その告白があった週の日曜、親父は俺を合浦公園に誘った。
そんなことは今まで一度もなかったので、俺は緊張した。

話すこともなく海を二人で歩いていると親父は「松ぼっくり」と突然言った。
「え?」と俺が聞き返すと「松ぼっくりを拾え」と命令口調で喋りだした。

俺と親父は、何を話すでもなく松ぼっくりを拾いまくる。
そして親父は松ぼっくりを使った遊びを俺に教えてくれた。
砂に落ちた相手の松ぼっくりに自分の松ぼっくりを投げぶつける、と言う遊びで
それは次の週もそうして遊んだし、その次の週もそうして遊んだ。

その後は、だいたい東バイパスの方にある、「小吟亭」というソバ屋へ
飯を食いに行くのだが、食べるのはいつも釜揚げうどんだった。

その店の釜揚げうどんが美味しくて、いつも頼んでいた。
ある日、オヤジが店員のおばさんに「いつも来て釜揚げうどん食べてるから
もう、覚えでまったべ?(客の俺達をおぼえているでしょ?)」と聞いたんだけど
おばちゃんは「忙しいから、わがんねえ」と言った。

去年奥さんとそのソバ屋へ、釜揚げうどんを食べに行ったのだが
俺がもうタバコを覚えてしまったせいなのか、また別の意味で
大人になってしまったからなのかで、余り美味しく無かった。
その店の接客も余り良くなかった。

親父のことは嫌いだ。キチガイじみているからだ。
ただ俺がもし、自分の奥さんが寿司屋の職人と仙台へ逃げてしまって
その子供が二人残っていたら、親父のように責任をとろうとはしないだろう。
子供を奥さんのもとへ送り、
俺は酒におぼれる毎日を過ごすのだろう。

詩を書けない詩人でいられる言い訳を
一生かけて探すのかもしれない。

俺は本当は、誰とも暮らしていくことが出来ないのかもしれない。。

愛があるからという、未確認の真実に触りたがる距離感は
渡れそうで渡れないかもしれない、
小舟までへの距離感なのだ。

過去の散文シリーズ「いつも君だけが正しい」

2013-05-19 01:33:34 | 過去エッセイ
いつも君だけが正しい。


休みの日前。午前七時位まで調子に乗って起きていた。
かみさんが俺の休みなのを知って、娘のカイリ保育園を休ませた。

午前中にカイリが起きて騒ぎまくっていた。
俺は眠くて機嫌が悪く布団からカイリにうるさいよ!と怒った。
人生の終わりのように、泣き出すカイリ。それをなだめるかみさん。
俺はちょっと都合が悪かったと思いながらそのまま
又眠りに着いた。

起きたら午後一時を回っていて、かみさんら家族は居なかった。
俺は起きてタバコを吸って、おにぎりを作り、肉を焼き、
漬物を出してきて、弁当箱に詰めた。

犬のタオを連れて、タオと俺とで山にピクニックに行った。
タオを外に出しっぱなしにし、俺は車内で弁当を食べながら
コーヒーを飲み、本を読んだ。

家に着くともう夕方五時半を回っていた。
かみさんらは実家に遊びに行っていたようであった。
カイリはおじゃるまるのテレビをダラダラと見ていた。

居間の畳を四畳高く設置してある板の隙間に、収納の箱が欲しくて
メジャーで測り、丁度良い大きさを探しにカイリと
ダイソーの100円ショップへ行った。

国道のラセラ内駐車場の45度はあるであろう急な傾斜を
のぼり、屋上駐車場へたどり着くと一緒に車降りた。

カイリと一緒に色々探すも、どれも中途半端な大きさの箱で
なかなか見つからない、広大な敷地をテキトーに一通り回ってすぐにあきらめた。

そもそも箱を入れる空間自体、かみさんが作ったオリジナルの空間なので
サイズが中途半端なのであった。

結局、キティーチャンの砂絵を作るのと、どうしても種のわからない手品(家に帰って
種を見たらめちゃくちゃくだらなかった)とキティーちゃんのシールとか
意味の無いものを購入してダイソーを後にした。

そのまま久しぶりに一緒にビデオを借りに行った。
カイリは最近好きになったらしい
ピングーのビデオを時間をかけてやっと借りた。

もう外は暗く、風は冷たい。
夜自体の空気が冷たいのだ。
俺が長時間ビデオを選びまくるカイリに少しいらいらしていて、
車内でタバコを吸った。

カイリはタバコ臭い!と鼻を押さえたので
俺はごめんといって、タバコを消し、自分の側と助手席の窓を開けた。
すぐに締めようと思ったのだけど、子供が外の景色と
ガラスを隔てない光景が新鮮だったのか、締めようとすると怒る。

風邪引くから締めるよといっても彼女はきゃっきゃとはしゃぐばかりだ。
カイリは借りてきたピングーのビデオを見ながら言った。
「ピングーは悪い子だよねえ」といつものテンションで言った。

俺がピンぐーは悪い子じゃないでしょ。と言うと
彼女は、さも当然の事を確認するかのように
「だってピングーは妹のピンガ寝ている時に、うるさくして
 ピンガ起きちゃうんだよ。」といった。

買ったままホルダーに刺さりっぱなしの冷めたコーヒーを少し飲んで
「パパいつでもカイリと遊んであげられるんだからね。」と言った。

青森の理不尽な冷たい風が、水色のトレーナー内隙間から入り込んでくる。
窓が開け放たれた車内のまま、家路までタイヤを滑らせた。

俺は知っている。
常にぴったりの箱のサイズが無いことを。
それは既存のもので当てはめることが出来ないことを。

自分で作り出した空間を埋めるものは
自分で作り出した箱でなければならないのだ。

無いものは探さない。
作り出せばいいんだ。

いつも
君だけが正しい。

昔書いたエッセイシリーズ「下から燃える」

2013-05-12 04:51:35 | 過去エッセイ
昔書いたエッセイシリーズ
直さない。
「下から燃える」

小学校四年生
下から燃える

小学校4年生の頃、毛内君と中畑君とオレと3人で
エロ本を買う計画を立てた。
みんなでお金を確か200円位ずつ出し合って、学校が終わってから
ファミランで待ち合わせした。

ファミランとは、正式名称ファミリーランドと言って、
小学校の近くにあるゲームセンターだ。

当時のゲームセンターと言えば、まだ今のゲーセンほど
明るいイメージは無く、小・中・高校生のバカの吹き溜まりであった。
特にこのファミランは、ボロイ建物の割に中は広く、照明は暗いと言う
怪しげな雰囲気に満ちていた。
(オレは素でパパと妹を連れて、日曜日にそこに行ったことがある。)

オレタチはその「ファミラン」で待ち合わせをして、その後
藤田組通りへ行きエロ本を手に入れる計画をたてた。
その通りにある流行ってなさそうな、小さい家族経営的中華料理屋の横に
それはあったのだ。

銀色の光を反射するシートが貼られた、エメラルドグリーンの
エロ本自動販売機だ。この自動販売機で僕たちはエロ本を手に入れる
計画を立てたのだ。

作戦はこうだ。まず三人で通りの沿いに隠れる。
んでジャンケンで負けた奴から順番にエメラルドグリーン販売機まで
さりげなく歩いて行き、すばやく200円をいれる。

この瞬間歩みを、なるべく止めないようにして事を済ませなければならない。

なぜなら、通りの車や他の大人歩行者などに
小学生が昼間にエロ本購入しているのがばれて怒られたら
この計画はすべてアウトになってしまうからだ。

それを三回繰り返し
最後の三回目の奴がエロ本を回収するという安易な作戦だ!

小学生三人組の俺達は色んな意味で興奮しながら
計画が実行に移された。

まず、毛内が200円を握りしめて金を入れに行った。
オレと中畑は、10メートルほど離れた道の角で見守る。

片側1車線の寂れた田舎町の、何でもない気候の午後。
毛内はまるで、塾に行くかのような冷静さを装い、エロ自動販売機を
通り過ぎるか通り過ぎないかの瞬間、素早くコインを流し込んだ。

しかしもう100円を入れなくてはならないので、結局立ち止まって
普通に金を入れる。がオレタチは本気だ!
そんな中途半端な間の事など誰も突っ込まないのだ。

毛内は俺達の待っている方へ帰ってきた。その顔は子供よりも
子供らしい笑顔であふれていた。
オレはやり遂げた!と言っているようだった。
バトンはおまえ達に渡したぞ!と言っているようだった。

次はオレの番だ。大人に見つかって怒られるかも知れない。
学校にばれて、女子にスケベと罵られるかも知れない。
パパにばれてしまって
「お金が無かったのか?」
と微妙にずれている質問をされるかも知れない。

緊張は極限に達する。しかしオレはそう言う時、逆に冷静になれるという
妙な癖というか、自己暗示的な性格を持っていた。
全てのスイッチを切り、もう一人のオレがジョイスティックで
操作するかのように、スムーズに動くのだ!

その時のオレは多分、小学生生活の中で一番冷静だっただろう!
まるでオレは任務を遂行する子供スパイだ。
リチャード・キール(007の歯が金属の男)に襲われてもオレは
咄嗟の判断力で、彼の歯をかいくぐりベッドで待っている美女の前に現れ
「ワインを選ぶのに手間取ってね!」などど小じゃれたジョークを言ったり、
もしくは「君は美女だから、ビジョビジョ!」と3回冷静に言うことも出来ただろう。

オレは少し緊張して通りへ出た。
生ぬるい海風が青森の藤田組通りを抜ける。
相馬町から流れ込む干した魚の匂いが
オレの脳を軽く揺する。

「おもむろに」という言葉をもっとも体現している挙動で
まずはエロ自動販売機まで歩いた。

そして通り過ぎざまに100円をカチャリと流し込む。
更に何食わぬ顔で10メートルほど歩いてから
完全に、おもむろにUターンする。

そしてもう100円をポケットから取り出し、
右手の親指と人差し指に軽く挟み込んだ。

最後の作業だ。金を入れる投入口、
闇銀色の縦線とオレの手で挟み込んだ100円の座標が重なる。
「今だ!」と思い100円を入れようとするが、線とコインがずれて「カス!」
っと間の悪い音を立てる。頭が真っ白になり立ち止まる。
そしてまぶしい顔で普通にお金を入れた。

自動販売機に金を入れる行為に、これほどの神経を使うのを、
何もバカらしく思わないぜ!小学生だから。

そして最後は中畑だ。
中畑は金を入れて購入する本のボタンも押さなくてはならない。
中畑は冷静に金を入れボタンを押した。
そしてゴトンと鈍い音と共にそれは中畑の手に持たれ、
そのままスムーズに彼の上着内へとスライドしながら、
オレと毛内の元へと戻ってきた。作戦成功だ!

「見よう」「見よう!」
大きな事をやり遂げた。
オレタチが大人だったなら、冷えたビールで乾杯していたことだろう!

観賞場所はファミランの2階だ。
この時のファミランは2階にあり、鉄の溶接床を
入り口から反対へと行くと、
誰も来なさそうな「ファミラン粗大ゴミ置き場」みたいな場所があった。
そこで僕たちは買ってきたエロ本を読んだ。

まず表紙をみんなで見た。
雑誌名は忘れたが、初め数ページがグラビアでカラーの写真で
真ん中は、エロ記事のような読み物になっていたと思う。

オレタチがまず一番初めに驚いた事は
表紙に書いてあったキャッチコピーだった。

今でも僕ら3人のトラウマに
なっているであろうその言葉が、表紙の見出しに載っていた。

本の内容は全然忘れてしまったのだが、そのキャッチコピーだけは、
今だに覚えている。それはこう書かれていた。
「下から燃える」
オレタチは(オレは?)その言葉に、興奮した。
写真よりも興奮したのだ。

意味が分かって興奮したのではなく。
意味が分からなくて興奮したのだ。

小学4年生のオレには女が欲情する事自体が理解不能だったのに、
そう言う事柄を暗喩的に
「下から燃える」と言われてもよく解らなかったのだ。

「意味が分からず興奮した」というのは、きっとこういう事だそれは
大人の世界のリアルな真実さに触れたからなのだ。

大人の世界で、男と女がハダカになって何かするという行為は
きっと肉体だけじゃなく、精神もむき出しという原始的な行為だろう事を、
オレは無意識にその言葉から感じ取っていたのかも知れない。
人間は動物であると言うリアルさを、
恐怖と共に初めて感じ取ったからかも知れない。

エロ本には「下から燃える」という文字が書かれている!
文字=言葉 によって人にショックを与えるという事。
そして女はナゼ下から燃え出さなくちゃならないのか?!

オレタチは3人でエロ本を見ていた。そしてオレは突然
こんなのは見ちゃいけないんだ。と思いたがっていた。

今思えば、それは毛内と中畑に、オレは純真なんだ!と言うことを
アピールしたかった一つの形だったのかもしれない。

本を数ページめくった頃、オレは見るのを止めた。
そして毛内と中畑に言い放った!

「こんなエロ本見るくらいなら、
 見滝さん(当時好きだった女子)に
 スキって言われた方がいい!」

一瞬時間が止まった。マンガの吹き出しでいうなら、みんなの吹き出しが
「・・・・・」となっていた感じだ。
オレも自分でしゃべった後、なんか違うなと思っていた。
でも小学生だから
バカだから、あまり深く考えていなかった。

見滝さんは同じクラスの女の子だ。僕は彼女のことが好きだったのだ。
純粋さをアピールいるつもりのオレだが、何のことはない。

エロ本を見て、欲情してきたオレが好きな女の事を思いだしたと言う、
ただのエロ少年スタンド発動状態だ。
オレが一番イヤらしく欲情していただけだった。

そのエロ本は、ファミランの2階に隠していたが、
季節の移り変わりと共に、いつの間にか忘れ去られていった。

オレはその後、小学5年生とかの頃「あすなろ」という小さな本屋さんで
スーパー写真塾などエッチな本を買っていた。

ただある日店のおばちゃんに、「あんたまだ子供でしょ!ダメ!」と怒られて、
その本を元の場所に返して、ちょっとソフトなエロ本をまた選んで持っていったら
「困ったわねえ・・。」と呆れられたことがあった。

その後その店でジャンプを買ったときに万引きと間違われて、
店から出るとき手首を強く掴まれた。

その後その店で、ファミコンの中古販売を始めたので
その時にも行ったりしたが
オレ行くなって!呆れられた時点で、と思う。

今、オレの部屋の棚にはエロビデオが結構人に見せたら、
驚かれる位に並んでいる。
しかも一段目は永久保存。
二段目は貸してもいいやつ。
三段目は売るやつ。とか半端仕分けまでしている。

子供がそろそろ物心が付くので、
目に留まったらやばいかなと思って片付けた結果がこれだ。

もし子供がオレのビデオの題名を見たら、どんな気持ちになるだろうか。
「まきちらし小便露出ツアー」なんて題名を読んでしまった日には、
青森の真夜中の吹雪のように、重く冷たいショックをうけるのだろうか。

それともいつかオレとそんなツアーに行ってみたいと思い、
精神の深い何処かで
厚いエロ本の雪像を積み上げていくのだろうか。

いつの間にか、なのに意識的に時は流れる。
エロ本に印字されていた「下から燃える」という言葉は
男の欲望と願望であった。

俺はゲームセンターの二階でエロ本を見る前までは、
セックスの意味を知らずに
見滝さんを好きだった。
セックスを象れなかったのだとしたら、
それは純粋な愛情だったのだろうか。
もしそうだとしたら
オレはゲーセンの2階に君を隠した事を忘れられるだろうか。

昔のエッセイ「フラミンゴ平線」

2013-05-12 04:47:33 | 過去エッセイ
昔エッセイ的な散文的な何かを書いていたのを纏めるシリーズ。
直さないでアップするこれは10年前のもの。

「フラミンゴ平線」

どうしても子供に本物の象を見せたかった。
それで仙台の動物園まで家族4人車で向かった。

午前9時に起き、チェックアウトの準備をした。
車を取りに外に出、空を仰ぎ見るとそれはどう見ても
クラウディハート並の灰色であり、午後から雨が降ると
天気予報でも確実に伝えられていた。

子供たちを起こし、昨日真夜中彷徨った山道へ再び行き動物園に着いた。
すぐ向かいはベニーランドという遊園地になっていて
時間があればそこにも行きたいねと子供と話した。

小雨が振っていることを俺の内部では
知らない振りしてごまかしながら
動物園へ入り、アシカとかを見、色々彷徨いて
そしてついに本物の象を見せることが出来た。

しかし象はまるで何かの患者のように
いつまでも、同じ行動をとり続けていた。
少したじろいだが、オレ的には
「本物の象を見せる。」というお題目は満たしていたので
まあまあ満足した。

そして
「ここには動物何でもいるんだぜ!
 カイリ(子供の名前)次に何を見たい?」と生き生きと聞いた。
しかし子供は少し考えて
「ウサギが見たい」と言ったのでガクッとした。

ウサギなら青森でも見られるよと思ったけれど、
ちゃんと糞まみれのケージ内に、ウサギもいたので満足していた。
その後ライオンを見た頃には、雨も大分「小雨」という名前を
つけられないくらいの振り様になってきた。

それでも何とか傘をさして、動物らを観賞。
小さなため池に固まっているフラミンゴやサイを見たりした。
俺がまたしても、次に何を見たい?と聞くと
「亀が見たい」と子供。

再びガクッとするも
ちゃんと亀もいたので満足していた。
・・ウサギとカメって事か・・。

サル山のサル達を見る頃には、完全な雨振り状態であった。
動物園を出て車に戻り、
遊園地のベニーランド内部を入り口から覗いてみるが、
入場すれば俺達家族の貸切であっただろう。

受付のお姉さんに、ジェットコースターも運行しているの?ッて聞いたら
彼女は「雨に打たれながらでよろしければ」と言った。

その挑戦的なセリフに俺はやってやろうじゃないかと
意味の無い対抗意識を少し持ったが、かみさんにもう帰りましょうと
たしなめられた。

それでも一通り動物見せたので、俺の中では満足した。
そうなんだ。これは自己満足でしかないんだ。

そして子供に見せたと思っていた動物達は
皆、オリの中にいてつまらなさそうにしていた。

今度はケニアとかに連れて行って、水平線じゃなくてフラミンゴ平線とかでも
見せなきゃ本物を見せたことになっていないんじゃないかと
新しい自分ルールをこっそり作り、いつか子供とそんな場所へ行きたいと思った。

その後、雨の高速に入り、かみさんと交代でひたすら車を走らせた。
7時間位で青森に到着するだろう。

夜中の車内で、青森帰っているんだよ。と子供に言ったら
「今日はカイリのお家で寝れるの?」と聞いてきた。
「そうだよ」
「やったー!」と喜んでいた。

俺は象やライオンやキリンとか見た感動を
子供の口から言わせたくて

一番面白かった動物は何だった?と話した。

夜、トンネル内オレンジ色の明滅
はるか遠い目的地。
カセットデッキからは懐かしきシェイディードールズが流れていた。

子供は少し考えながら、思い出した!って感じで答えた。
「うんとねえ、カメ!」

俺は、いつかたどり着くはずであろうフラミンゴ平線に向かい、

長いトンネルが終わるまでアクセルを踏む。

昔のエッセイ「フラミンゴ平線」

2013-05-12 04:47:24 | 過去エッセイ
昔エッセイ的な散文的な何かを書いていたのを纏めるシリーズ。
直さないでアップするこれは10年前のもの。

「フラミンゴ平線」

どうしても子供に本物の象を見せたかった。
それで仙台の動物園まで家族4人車で向かった。

午前9時に起き、チェックアウトの準備をした。
車を取りに外に出、空を仰ぎ見るとそれはどう見ても
クラウディハート並の灰色であり、午後から雨が降ると
天気予報でも確実に伝えられていた。

子供たちを起こし、昨日真夜中彷徨った山道へ再び行き動物園に着いた。
すぐ向かいはベニーランドという遊園地になっていて
時間があればそこにも行きたいねと子供と話した。

小雨が振っていることを俺の内部では
知らない振りしてごまかしながら
動物園へ入り、アシカとかを見、色々彷徨いて
そしてついに本物の象を見せることが出来た。

しかし象はまるで何かの患者のように
いつまでも、同じ行動をとり続けていた。
少したじろいだが、オレ的には
「本物の象を見せる。」というお題目は満たしていたので
まあまあ満足した。

そして
「ここには動物何でもいるんだぜ!
 カイリ(子供の名前)次に何を見たい?」と生き生きと聞いた。
しかし子供は少し考えて
「ウサギが見たい」と言ったのでガクッとした。

ウサギなら青森でも見られるよと思ったけれど、
ちゃんと糞まみれのケージ内に、ウサギもいたので満足していた。
その後ライオンを見た頃には、雨も大分「小雨」という名前を
つけられないくらいの振り様になってきた。

それでも何とか傘をさして、動物らを観賞。
小さなため池に固まっているフラミンゴやサイを見たりした。
俺がまたしても、次に何を見たい?と聞くと
「亀が見たい」と子供。

再びガクッとするも
ちゃんと亀もいたので満足していた。
・・ウサギとカメって事か・・。

サル山のサル達を見る頃には、完全な雨振り状態であった。
動物園を出て車に戻り、
遊園地のベニーランド内部を入り口から覗いてみるが、
入場すれば俺達家族の貸切であっただろう。

受付のお姉さんに、ジェットコースターも運行しているの?ッて聞いたら
彼女は「雨に打たれながらでよろしければ」と言った。

その挑戦的なセリフに俺はやってやろうじゃないかと
意味の無い対抗意識を少し持ったが、かみさんにもう帰りましょうと
たしなめられた。

それでも一通り動物見せたので、俺の中では満足した。
そうなんだ。これは自己満足でしかないんだ。

そして子供に見せたと思っていた動物達は
皆、オリの中にいてつまらなさそうにしていた。

今度はケニアとかに連れて行って、水平線じゃなくてフラミンゴ平線とかでも
見せなきゃ本物を見せたことになっていないんじゃないかと
新しい自分ルールをこっそり作り、いつか子供とそんな場所へ行きたいと思った。

その後、雨の高速に入り、かみさんと交代でひたすら車を走らせた。
7時間位で青森に到着するだろう。

夜中の車内で、青森帰っているんだよ。と子供に言ったら
「今日はカイリのお家で寝れるの?」と聞いてきた。
「そうだよ」
「やったー!」と喜んでいた。

俺は象やライオンやキリンとか見た感動を
子供の口から言わせたくて

一番面白かった動物は何だった?と話した。

夜、トンネル内オレンジ色の明滅
はるか遠い目的地。
カセットデッキからは懐かしきシェイディードールズが流れていた。

子供は少し考えながら、思い出した!って感じで答えた。
「うんとねえ、カメ!」

俺は、いつかたどり着くはずであろうフラミンゴ平線に向かい、

長いトンネルが終わるまでアクセルを踏む。