文明ロード

開店までの生々しい道のり

Vol.27 「廃業・失業の肌ざわり」

2007年07月02日 | Weblog
 おもしろいというかおもしろくないというか、そんなデータがある。

起業後1年以内に廃業する会社は30~40%にのぼり、
3年以内で70%
10年以内で実に93%が廃業するのだそうだ。

 もう一つ。
起業したい、と考えている人のうち、
本当に起業する人は100人中6人。

 先に述べた話とこれを組み合わせると、
つまり、起業という考えに至り、本当に起業し、
しかも10年後にうまくいってる人は・・・

2500人に3人

ということらしい。
確かに、笑っちゃうほどの夢や希望の無さである。

 ポジティブであり続けることも大切だが、
とことん最悪の発想を感じることもそれ以上に大事だと思う。
 橘 玲 という人が自著のエピローグでこんなことを書いている。

「ではなぜ、私は、新宿中央公園に引き寄せられるのでしょうか?
ホームレスに同情したり、見世物にしたり、嘲ったりするのではありません。
(中略)私たちがともに抱いているもの、それは恐怖です。
あなたは、この恐怖の味を知っているでしょうか?
パークハイアットの贅を尽くしたレストランの席に座ると、
私はこの暗い公園に目を向けずにはいられません。
なぜならそこには、薄汚れたダンボールハウスに住み、
残飯を漁る私がいるからです。
あなたには、この恐怖の肌ざわりがわかるでしょうか?
もしそうなら、あなたもまた、リスクを負って活きることの意味を
知っているはずです。」

 ホームレスなんて、そんな大袈裟な、という人なら別にいいんだけど、
俺はこの感覚、この恐怖の肌ざわりを知っている。
それも今回の開業の際にではなく、
6年前、「音楽活動の、活動のしかたを変える」ことを決め、
34歳になってからの就職活動の際に、
この感覚をあまりにもリアルでビックリするほど、感じたことがある。
当時、身も心もボロボロだった精神状態だったこともあるが、
就職活動中、いくつかの会社から不採用通知が来たり、
全く魅力のない会社に面接をしにいき、
ここで採用されても働きたくないなぁ、と思っている中、
そんなところからも不採用(しかも通知も連絡もなく)だったり(笑)、
実際に落ちた数はそれほど多くはないのかもしれないが、
とにかく、俺は永久に職にありつけないんじゃないか、
という少しヤバめの精神状態に陥ったことがある。

 あの時のあの感触は、その後就職した会社にいたときも忘れたことはない。
今でもすぐに、この肌ざわりを妙にリアルに俺は感じ取ることが出来る。
 ただし、「恐怖の肌ざわり」というフレーズとはチョット違う。
「恐怖」ではない。もっと単純に「廃業の肌ざわり」といえばいいかな。

今回はじめに述べた数字の話も、だから「恐怖」とか「絶望」とはなっていない。
幸いに。でも「廃業の肌ざわり」はわかる。

 廃業=「恐怖」や「絶望」ではないし、
また、廃業=「失敗」でさえないと思っている。
「失敗」っていうのは、「何もしないこと」と同意語だと思うから。

 こんなことを思う今の俺は、
やはり6年前に比べポジティブになってると、言うしかないだろう。
 そう、どう転んでも、6年前のあの時ほどじゃない・・・。
 開業前のドタバタや不安もあるが、
今、俺は幸せである。