文明ロード

開店までの生々しい道のり

文明ロード最終回「ロードから通信へ、まだまだまだまだつづきは残ってる」

2007年07月10日 | Weblog
この文明ロードってやつは、
「開店までの実況中継」っていうのがテーマなんで、
開店してしまった今、お役御免なのである。

 だから今回が文明ロードの最終回です。
今まで読んでくれてありがとうございました。
 
 さて、今後ですが、
お店の運営実況中継的な趣旨に変えて、
装いも新たに、

「文明ロード」改め「文明通信」となります。
名前が変わるだけで、またなんか始まるんかい!そうです(笑)。

 そんなわけで、今回の文明ロード最終回ですが、
まず皆さんにお詫びしたいことがあります。
それは・・・

 実は、珈琲文明は、7月7日ではなく、6月16日から
既にオープンしてました・・・。

 もちろんグランドオープンはこないだの七夕で間違いないんですが、
いわゆるサイレントオープンという手法で、
プレオープンってやつです。
 サイレントオープンの趣旨というのは、
最初から爆発的に宣伝とかして、集客したものの、
オペレーション&スキル不足のために、
大切な初回のお客様に不快な思いをさせないために、
宣伝もせず、あたかも前からそこにとっくにあったかのように、
ヒッソリと開店すること。
 一般的には、この期間に親戚・友人・知人などを呼んで、
内部オペレーションのチェックをはかりながら、
店内をブラッシュアップしていくのだが・・・、

 俺がこのサイレントオープンっていうのをやりたかった本当の理由は、
これら一般論とはちょいと異なる。
俺は、何の宣伝もなく、口コミもまだ起こるわけもなく、
ただそこをフラーっと通りがかったというだけで、
「ほう、こんなのが出来たんだ、入ってみっか」
っていう人を見てみたかったからである。
友人・知人じゃない完全純粋新規の人と
出逢いたかったからである。ホントにただの興味本位である。

 特にサイレントオープンしてからの、いっちばん最初、NO1、
記念すべき第一号のお客さん、っていうのはいったい誰なんだ、
っていう興味、今後俺が死んでも残るつもりで、
永きに渡り運営していくこの店の第一号お客さんって、
どんな人なんだろう?っていう、とてつもない興味があった。

 そんな第一号のお客さんに向けて手紙(実物は手書き)を書いた。
この手紙をもって文明ロード(完)としたい。

珈琲文明来店第一号のお客様へ

 初めてのご来店 ありがとうございます。
当店にとりまして、あなた様が初めてのお客様になります。

 このお手紙はオープン前に書きました。
当店がオープンして、一番初めに来店されるお客さまは、
いったいどんな人なんだろう、
男性だろうか?女性だろうか?
年上だろうか?年下だろうか?
いろんな想像にワクワクしながら、
今この手紙を書いています。

 あるいは、こんな手紙を突然渡されて困惑なさるかもしません。
でも、抑えきれない思いを込めたこの手紙を直接手渡したい気持ちは、
もうどうしようもありません。

 珈琲文明は本日この瞬間から、百年続けていくのが目標です。
大袈裟な!と笑ってください。
しかしこれは大真面目に思っています。
つまり私が死んでもこの店は残したい、という、
とにかくかなりの長きに渡って続けていきたいというのが、目標です。

 こんな具合に考えておりますもので、
「これから百年続くこの店の、
記念すべき第一号のお客様」ということで、
こちらとしましてはかなりの興奮状態にありますので、
実際にお客様がいらした時の自分の感情、表情、がどのようなものなのか、
自分でも想像ができません。

 今回、本当の意味で、第一号のお客様を知りたいということから、
親戚、知人、友人にいたるまで、かなり徹底して、
本当のオープンの日も伏せて参りました。
大掛かりな宣伝もせず、ひっそりと開店してみました。
そんな中で、最初の扉を開けていただいたわけです。
この縁を大切にしていきたいと思います。
今後、何十年後かにこの店が「老舗」と呼ばれるほどになった暁に、
「この店は私が第一号の客なんだ」と感慨深くなっていただけるよう、
これから頑張って運営していきますので、よろしくお願いします。
同時に第一号のお客様にはいつまでも元気でいていただきたいので、
いつも、いつまでも、ご多幸をお祈りしております。

 突然こんなものを渡してしまい申し訳ありませんでした。
ただ、私自身、随分前から、お客様第一号の方に早く会いたい、という気持ちでいっぱいでした。
 本日、やっと会えました。感激です。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

 2007年6月 16日
珈琲文明 赤澤珈琲研究所代表 赤澤 智

Vol.31 「お店でライブってやるの?」

2007年07月06日 | Weblog
さすがに明日がオープンなんで、本日はもういっちょアップします。

 これまた今さらすぎる話をする。
珈琲文明ではライブをするのかどうか、ということ。

 防音設備をしてないハコのため、
ドラムとベースはNGとなる。
アコースティック系のライブをそのうちやっていきたいと思う。

 当初はレトロクラシカルな重厚路線のコンセプト作りに励むので、
しばらくはライブそのものを封印としますが、
まぁ数ヶ月もすればチョコチョコと弾き語りなんぞを始めたり、
知り合いのミュージシャンに出演交渉したりもしようと思う。

 でも7月7日のグランドオープンだけは、やります。
コブラツイスト&シャウト フルメンバーでやります。
時さんはパーカション、ラバンバはミキサー直結の出力とかで。
音量は絞りつつも、初公開の新曲中心で、しかもアコースティックアレンジ。
コブシャウフルメンバーでやるのはおそらくわが店では、
最初で最後な感じです。
コブシャウのライブはやはり爆音が出せるライブハウスでやりたいし、
なんとなくこのケジメみたいなものはつけていきたい。

 珈琲文明では定休日(いまだに決まってないが)などを利用して、
いろんなイベントもそのうちやっていけたらいいなと思っている。
幸いにして、俺にはミュージシャンやカメラマン、絵描き、漫画家、
タレント、ダンサー、いろいろなアーティストの知人がたくさんいる。
こういった人達をプロデュース出来る場を持ってるっていうだけでも
光栄である。これもお楽しみに。

 さて、アコースティックライブの話に戻す。
現時点で考えてるものとしては、自分自身の弾き語りというものを、
毎月第4金曜日(決まってるんかい!)とかに、チャージとかは完全無料、
その日の閉店後に、そこに残っているお客様相手にだけ歌う、というもの。
ジャイアンじゃないんだから、聴きたい人だけ聴いてくれたらよくて、
歌の途中で帰っていただいても全く構わない。
いわばストリート的に朗々と、のうのうと歌ってるだけにしたい。
だから、逆に追加オーダーもダメで、レジは〆てしまうことになる。

 いくらコブシャウで13年やっていようが、
コブシャウナンバー以外のオリジナル曲のほうが未だに多いわけで、
そういう普段は陽の目を見ないオリジナルソングや、
お気に入りのカバー曲なんぞもどんどんやっていきたい。

 4年に1回のオリンピックユニットと言われてる(笑)、盟友シャケとの
「おじやと鮭鍋」の登場回数ももう少し増えて、
ワンシーズンに一回位にしたいかなとも思う。
※ 露出頻度なんと16倍!すげぇ!

何のしがらみもない、純粋な意味での音楽が出来る喜び。
適切で、正しい、自分の居場所。
遥か昔から、ずーっと、やりたかった。
そう、これがやりたかった。

 「メジャーからの生還」で、つづきが残ってる!
と言いながらも、やっぱ半分腐ってた、あれから6年、
あの時の自分をここに招待したい。
「つづきの形」を見せてやる。

 珈琲文明 オープンです。
どうにかこうにか、こぎつけました。

2007年7月7日(土)、午後6時、
皆さん我が晴れ舞台、見に来てください!

※ 当日、一見、関係者や知人友人のみの貸切っぽい雰囲気になってるかもしれませんが、
当然、どなたでもご入場いただけます(チャージ¥1000だけかかりますが)。
というより、フラっと入って来てくれる方がいれば、
こんなに嬉しいことはありません。

※ この「文明ロード」の趣旨は「開店までの実況中継」ってことだったので、
突然ですが、次回を最終回とします。
冒頭で、「今度はなかなか終わらない」みたいなこと言ってましたが、
いったん区切りをつけて、新たな形態をとりますので、
そのへんも含め、次回お知らせします。

Vol.30 「禁煙について」

2007年07月06日 | Weblog
いつのまにやらこの文明ロードももう30回か・・・
今さらだけど、結構重要な特記事項をまだ言ってないことに気づいた。

 ズバリ、うちの店、珈琲文明は「禁煙」の店です。

喫煙者の皆さんには多大なる不便をおかけします。
どうもすみません。
タバコと珈琲の組み合わせっつうたらよ、
刺身とビールだべ、納豆にネギだろうが、馬場と猪木なんじゃねぇの?
いろんな非難轟々も承知しておりやす。

 でもこれは何度も何度も俺の中で悩んだ挙句の決定事項です。
10坪程度の店で「分煙」は、あまりにも無意味です。

 珈琲をおいしいと感じる要素の中で、アロマ(芳香)というものがある。
匂い、香りも含めて、最高の珈琲を提供したい、というのがやはりその理由である。
実際、スペシャルティコーヒーの基準の中にもアロマ(芳香)というのが、
採点基準の中にもあるわけで、アロマも含めてスペシャルティコーヒーということになる。
珈琲文明は「おいしいスペシャルティコーヒーの店」と銘打ってる店だ。
禁煙にしないとこの文句に偽りが生まれる。

 嫌煙家はもちろんだが、喫煙者の中にも、
おそらくタバコの煙のニオイは嫌いっていう人が多いのではないだろうか。

 俺自身、6年前までは結構なヘビースモーカーだった。
タバコと珈琲の組み合わせの大ファンの一人でもあった。
だから喫煙者の気持ちもよーくわかる。

 まぁ、何を言われようが、うちの店にキースリチャーズは入ってくれなかろうが、
もう覆らないことなので(突然突き放した言い方になった・笑)、
どうかご協力宜しくお願いします。

Vol.29 「他人の言うことを聴かない努力」

2007年07月04日 | Weblog
前回述べたランチェスター戦略を忘れずに、
我が珈琲文明も珈琲に的を絞って、経営していこうと思う。
今、忘れずに、と言ったが、
いろいろと不安にもなってくるもので、
しかもこういう、不安な状況下になると、
この手法がよくないのではないか?とか、
やはりメニューを増やしたほうが・・・とか、
まさに真逆の発想の誘惑が起こることがある。

 最も厄介なのが、他者からのアドヴァイス。
今どきのカフェならやっぱりフードを充実させなきゃ。
値段をもう少し下げたほうがいいのでは?
モーニングサービスやったほうがいいんじゃない?
主役を珈琲に絞った営業でいこう!と決めたにもかかわらず、
でも必ず浮上するであろう意見、アドヴァイス。

 言ってくる人は、もちろん悪意などなく、
心底、良かれと思って助言してくる。
 
 でも、その店のトータルコンセプトや、戦略、理念、武器、奥義(?)、
本当の意味での弱点、等・・・
これらを部分的にではなく、全体として把握しているのは、
誰が何と言おうが、絶対にその店のオーナーである。

 語弊を承知で言うと、とにかく自分が思い描く重要コンセプトが
変わってしまうような助言や提案は、
歯を食いしばって、受け入れを阻止する必要があると思う。

 そもそもコンセプトそのものに不安になったときに、
相手に意見を求めてはいけない、と思う。
相手は全体を見てるわけではないわけで、
でもそれなりにその店のことを真剣に考えて、意見を言ってくれる。
こういうときの意見っていうのは、
結局、たいがいはコンセプトと真逆方向の意見が浮上することになる。
 これはその意見を言ってくれた人には全く責任はなく、
もちろん感謝はしなければならない。
問題は、そういう意見を乞うことにしたオーナーに責任があるってこと。

 サラリーマン時代(塾時代)、各教室長たちが集まって、
頻繁に会議があった。特に何も無いときにもスケジュールとして会議はあった。
特に繁忙期でもない、比較的余裕がある時期の会議で、
差し迫った案件もない中、
「生徒が来るのを講師は玄関で待ってて、迎えてあげて、
座席まで誘導してあげる」という提案が出た。
素晴らしい、これぞホスピタリティーだ、とかになって、
この案が決定になったことがある。
 俺は自分の教室をかんがみ、通年で?どんな繁忙期も?
遅刻者の存在は?、などなど、複眼的に見るといつかは破綻する企画だと思ったため、
自分の教室では導入しなかった。
ここで迷いが生じ、講師たちに相談をもちかけたりしたら、
我が教室の講師たちはみんな人がいいもんだから、
「いいですね、やりましょう」とか言いそうだったが、
こう言うとき、やはりその行為その部分のみの良し悪しだけじゃなく、
いろんな背景や全体を見ないといけないと思うし、
しかもその判断はそこの責任者が最も出来ると思うのだ。

 話を戻すが、自分が目指す基本コンセプトがブレることに繋がるような、
部分的な提案、アドバイスには、感謝をしながらも、
すぐに受け入れないような努力が必要だと思った。
そう、努力のレベルである。頑張って、受け入れない、という・・・。

 最悪なのは、その助言や提案に従って、しかもやっぱり良い結果にはならず、
「俺はだから嫌だったんだ!ああ、あの時あの意見なんか聴かなければ・・・」
なんて、思った日にゃ、超最悪最低の自己嫌悪にもなろう。
そしてよかれと思って助言をしてくれた人に対し、
これほど失礼な物言いもないもんだ。

 頑固一徹、他人に聞く耳持たないのも良くないが、
本当の基本ライン、生命線とも呼べるコンセプトは、
守り抜くのが経営責任者としての「責任」であろう。

Vol.28「少人数で戦う術」

2007年07月03日 | Weblog
 個人経営は、中小企業どころじゃなく、超少人数体制である。
少数派には少数派なりのふさわしい経営方法というものがある。
とても有名な話として、「ランチェスター戦略」というものがある。
もともとは「人数が多いほうが絶対に有利」という発想のことなのだが、
それが転じて、今度は逆に「小が大を打ち負かす方法」みたいなことで、
世のビジネス指南書には出てくる。
 この考えを俺なりに、自分の言葉で述べてみると、 
個人が複数相手に戦わないといけない時、
「戦い」と今言ったけど、本当に言葉どおりに、
「喧嘩」(しかも肉弾戦ね)とかをイメージするといいだろう。
10人の相手と喧嘩しないといけない場合、どういう行動に出るか?

 理想的なのは、一人しか通れない狭さの階段にのぼり、
敵を迎え撃つ。相手は縦に10人。
常に一対一、サシ、対マン(笑)、それでいてその対マンを10回繰り返す。
階段の上っていうのはある意味マウントポジション(まさに)、
個対個ならこっちの戦力が上回るわけだから、
確かに体力的に疲れるし、生易しいもんでもなかろう、
でもこの手法なら勝機は見出せる。

 と、俺なりのランチェスター戦略とはこのようなふうに理解しているが、
なんだか昔のツッパリ学園喧嘩系の漫画みたいな話になってきた・・・。

 何が言いたいかっていうと、
弱小、個人経営の飲食店が心がけないといけないことは、
「狭い階段」を舞台に戦うこと。
つまり商品・メニューをとことん絞り込み、
ターゲットも絞り、
そもそも有利な状況、「階段の上」にいること。
つまり得意分野で勝負すること。
これに尽きる。


Vol.27 「廃業・失業の肌ざわり」

2007年07月02日 | Weblog
 おもしろいというかおもしろくないというか、そんなデータがある。

起業後1年以内に廃業する会社は30~40%にのぼり、
3年以内で70%
10年以内で実に93%が廃業するのだそうだ。

 もう一つ。
起業したい、と考えている人のうち、
本当に起業する人は100人中6人。

 先に述べた話とこれを組み合わせると、
つまり、起業という考えに至り、本当に起業し、
しかも10年後にうまくいってる人は・・・

2500人に3人

ということらしい。
確かに、笑っちゃうほどの夢や希望の無さである。

 ポジティブであり続けることも大切だが、
とことん最悪の発想を感じることもそれ以上に大事だと思う。
 橘 玲 という人が自著のエピローグでこんなことを書いている。

「ではなぜ、私は、新宿中央公園に引き寄せられるのでしょうか?
ホームレスに同情したり、見世物にしたり、嘲ったりするのではありません。
(中略)私たちがともに抱いているもの、それは恐怖です。
あなたは、この恐怖の味を知っているでしょうか?
パークハイアットの贅を尽くしたレストランの席に座ると、
私はこの暗い公園に目を向けずにはいられません。
なぜならそこには、薄汚れたダンボールハウスに住み、
残飯を漁る私がいるからです。
あなたには、この恐怖の肌ざわりがわかるでしょうか?
もしそうなら、あなたもまた、リスクを負って活きることの意味を
知っているはずです。」

 ホームレスなんて、そんな大袈裟な、という人なら別にいいんだけど、
俺はこの感覚、この恐怖の肌ざわりを知っている。
それも今回の開業の際にではなく、
6年前、「音楽活動の、活動のしかたを変える」ことを決め、
34歳になってからの就職活動の際に、
この感覚をあまりにもリアルでビックリするほど、感じたことがある。
当時、身も心もボロボロだった精神状態だったこともあるが、
就職活動中、いくつかの会社から不採用通知が来たり、
全く魅力のない会社に面接をしにいき、
ここで採用されても働きたくないなぁ、と思っている中、
そんなところからも不採用(しかも通知も連絡もなく)だったり(笑)、
実際に落ちた数はそれほど多くはないのかもしれないが、
とにかく、俺は永久に職にありつけないんじゃないか、
という少しヤバめの精神状態に陥ったことがある。

 あの時のあの感触は、その後就職した会社にいたときも忘れたことはない。
今でもすぐに、この肌ざわりを妙にリアルに俺は感じ取ることが出来る。
 ただし、「恐怖の肌ざわり」というフレーズとはチョット違う。
「恐怖」ではない。もっと単純に「廃業の肌ざわり」といえばいいかな。

今回はじめに述べた数字の話も、だから「恐怖」とか「絶望」とはなっていない。
幸いに。でも「廃業の肌ざわり」はわかる。

 廃業=「恐怖」や「絶望」ではないし、
また、廃業=「失敗」でさえないと思っている。
「失敗」っていうのは、「何もしないこと」と同意語だと思うから。

 こんなことを思う今の俺は、
やはり6年前に比べポジティブになってると、言うしかないだろう。
 そう、どう転んでも、6年前のあの時ほどじゃない・・・。
 開業前のドタバタや不安もあるが、
今、俺は幸せである。

Vol.26「最も素晴らしい本」

2007年07月01日 | Weblog
 前回チラっと述べたが、この4年間で読んだ開業に関する本や雑誌は118冊ある。
これらの本の中で最高のものは何か?と訊かれた場合、
俺は全く迷わない。即答出来る。

本のタイトルは、

「自由であり続けるために、僕らは夢でメシを喰う」

出版元はサンクチュアリー出版というところ。

どうやら残念ながらもう廃版らしいが、
古本屋などで見かけたらぜひとも読んでほしい逸品です。

 実はこの本、何を隠そう、俺が読んだ118冊のうちの一番初めに読んだ本なのだ。
そして、結局その後の117冊の本はこの本を超えるものではなかったっていうこと。

 最高におもしろおかしく、やるせないほどポジティブで、ナメてて、
でもシビアで、かっこいい。
とにかく俺の中では大絶賛の名著である。
もう4,5回は読んだはずである。
こんな素晴らしい本に最初に出会ってしまい、なんといってよいのやら。

 中学二年の時、教育実習の先生のお別れ会で、友人とギターの弾き語りライブをやって、
バカみたいに盛り上がり、その教育実習の先生も涙を流し感動してくれた、
あの最初のライブがあったからこそ、
調子にのって、俺はその後27年間音楽活動を続けてきているともいえる。
やはり最初の体験は大事なのだ。

 今日はここまで。

いきなりの全国区か!?ビックリ&感激

2007年06月29日 | Weblog
前回と今回は「文明ロード」の本筋とはチョット離れてます。
前回は「裏」とするなら、今回は「表」っていうか、メジャー版!?

 俺の大学時代の音楽仲間であれば知らぬ人がいない、
ミュージシャンとしては身内での最大の出世頭に、
樋口了一さんがいる。ザックリと紹介をダイジェストで・・・
栄枯盛衰激しい芸能界で、もう10年以上活動し続けていて、
一般には作詞&作曲といった作家としてのほうが有名。

スマップの名作アルバム「ビバ・アミーゴ(だったっけな?超名曲「夜空ノムコウ」が入ってるやつ)」に「言えばよかった」と「ポゼッションポゼッション」の2曲収録。

TOKIOにも提供し、その曲は紅白でも歌われた(曲名覚えてない俺、ダメじゃん)

ジャニーズ系の作家か!?と思いきや、最近では郷ひろみのシングルや、
石川さゆりのアルバムにも楽曲提供。

とまぁ、作家でかなり名を馳せてるが、樋口さん本人のアーティストとして、
全国に(北海道のみ!?)名をとどろかせたのが、
「水曜どうでしょう」って番組のテーマソング。歌も本人。
って、実は俺この番組見たことないし、
樋口さんのアルバムも全部持ってるわけじゃないっていう、
随分と不義理な後輩(すんません)ではあるんだけど、
音楽家として、孤高の戦士的に道を切り開いてくれてる、
俺やコブメンにとっても心の支え的な先輩。
俺が大学入学したときの4年生。
俺が2年になったときは5年生(笑)。

 さて、そんな先輩が、自身のブログにて、我が珈琲文明の紹介&宣伝をしてくれた。
これで一気に検索数アップか!? みんなにもぜひ見てほしいす。
http://www.r-higuchi.com/mssg/mssg.html
コブシャウ10周年記念本(絶版)の帯にコメントしてくれたときもそうだったけど、
樋口さんは、やたらと俺がAB型であることを強調してる気がする(笑)が、
ともかく、ありがとう樋口さん!
七夕はあなたの可愛い後輩たち6名による演目もあるんで、
来てくんないかなぁ・・・


裏・実録「建設作業現場より」

2007年06月29日 | Weblog
お、いいねぇ、このタイトル「裏・実録~」。
コンビニとかで「実話ナックル」とかそういう、エロ本じゃないんだけど、
テープ貼ってて読めない、みたいな怪しいニュアンスっつうの?
 今回は通常の「文明ロード」ではなく、
物件が決まるまで、これをやって食いつないできたっていう、
肉体労働体験を語ってみたいと思います。
 では裏実録「建設作業現場より」、はじまりはじまり~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ムクムクと太ってきてて、史上最重量を更新しまくりだったので、シンプルに
「消費カロリーが摂取カロリーを上回れば、動物生理学的に絶対に痩せる」を実践すべく、
ガテン系のバイトに心が向かったのだが、
この「痩せるため」と「生活のために貯金をくずさないため」という二大モチベーションのほかに、「建物の内装仕組みの把握」や「人間ウォッチング」というオマケがついてきた。

 名目は一応建物の「養生・クリーニング」という職種になるのだが、
他にも資材運びやら何やらで要は雑用。
会社がある池袋(ほとほと俺は池袋に縁がある)まで面接に行ったが、
あれは面接とは言わず登録というもんだ。

採用は確定で、逆に「大変そうだ」とかでキャンセル、脱落する人が多いだけで、
今どき珍しい確実に採用される業種だ。
ヘルメットと安全帯を貸与され、あっさり登録完了。
俺みたいに週4ペースでしか出来ない奴はいろんな現場にスポットで入るため、
毎回メールで現場の住所だけが記され、住所だけを手がかりに現場に向かう。

 初日は田園調布の豪邸の最終掃除。
ただの民家の一軒家なのにエレベーターまであるようなところ。
あ、だからただの民家じゃないか。金ってあるところにはあるんだぁ、を実感。
職長(いわゆる親方)と俺の二人だけでまったり掃除して終わっていき、
こんなんでいいの?って思ったものだが、
翌日の現場から一気に様子が変わった。

 お台場の近くにあるホテルの新築現場。デカすぎるからそこの住所にはすぐに着くも、
そこの何処に集合するのかわからず、ようやく詰め所に着いたらもうビックリ。

 百人以上の作業員がひしめきあって集結。
ドラマとか漫画でしか見たことのない青木雄二の漫画に出てきそうな光景。
7時45分になると朝礼が始まり、ラジオ体操が始まり、
その後一列縦隊で前の人の肩に手をやり(グレーシートレインみたいなやつ)、
いきなり「肩揉み」開始。ビックリする。
 朝礼では現場監督がボソボソもそもそ何か言ってるが、誰も真面目に聴いてない。
安全帯のフックをお互いにかけあい(バロムワンのバロムクロスみたいなの、って通じないか・・)「今日も一日安全第一で頑張るぞ」「オー」いや「うー」と、全くやる気のないトーン。

 なんとなく夢でも見てるような光景。興味深い人間ウォッチングの開始である。
これまでの一ヶ月間でのウォッチングの成果は~

99%の人がタバコを吸う・・・現時点ではタバコ吸わない人を見たことがない。
だから100%といいたいところだが、俺が吸わないから99%。

AB型がいない・・・ヘルメットに名前&血液型が書いてあるんだが、AB型の人を見たことがない。俺はAB型だから、やはりこれも0.1%くらいなのか。

前歯がない人が多い・・・これはかなり多く、驚きの事実。理由が知りたい。
ケンカ?シンナー?違うよな。やっぱ作業中の事故なのかなぁ。
現場はやはり危険っちゃ危険。簡易足場から踏み外せば簡単に死ねる。
階段をゆっくりのぼってるだけの速度で、鉄柵に頭を強打したことがあるが、
メットをしてても首がグキってなり、危なかった。

国籍不明・・・あきらかに多国籍。作業中にずっとイヤホンをつけてるアジア系の人で、人民放送っぽい音がずっと漏れていて、もしやこれは中国じゃなくて「北!?」とか、
勝手な妄想によりドキドキしたりしてみた。

わけありな感じの人が多すぎる・・・プライベートな話はしないっていう暗黙のルールがあるみたいだ。
最初、俺は職長に「前はどこにいた?」って訊かれ、
「全く関係ない事務職みたいなものです」とこたえると、
「そうじゃねぇよ、前の現場だよ」ってことで、前職とかはどうでもいいようだ。

休憩中の話題は競馬、パチンコなどのギャンブルか風俗のことが多い・・・グループで集まってする下ネタを俺は得意としないんで困った。
一回俺に下ネタ話がふられたことがあって、「自分はムッツリなんで・・・」っていうとやたらとウケた。そして他の人にシフトしてった。
ムッツリだからってもう少し突っ込む余地はあるはずだろうとも思うが、でも他にそれていったので何よりだ。
下ネタは誰かと二人だけとかで淫靡な感じでするほうが絶対いい!
と、それはともかく、俺はこのバイト場では自分のことを「自分」と言うことに決めた。
そう、得意の「ごっこ」だ。
体育会系の雰囲気をかもし出すにはやっぱり「自分、~っすよ」みたいなのでいこう、と。

でも基本的に常連の作業員同士でだけ盛り上がり、新人には話しかけては来ない。
これは俺にはありがたかった。ボーっとしたり一人だけにされるのは大歓迎なんで。
しかしそれにしても新人にコミュニケーションとらなすぎだなぁとは思う。
羽田空港のとある場所まで行くのにさすがに住所だけだとわけがわからんというとき、
職長が駅まで迎えに来てくれて、二人で歩いて現場に向かったことがあって、
いきなりその人は最初から物凄い不機嫌で、一言もしゃべらず、重~い空気が漂い、
現場へと向かったわけだが、作業が進み、その日の午後には俺の苗字に「ちゃん付け」するまでになったりするんだが、とにかくまぁみなさん第一印象がたいへんによくない。
やり続けるにつれ、これらの理由、事情もだんだんわかってはきた。
というのも、そもそもこの仕事は一ヶ月もしないで蒸発するように辞めていく人が多いらしく、コミュニケーションとったり、仕事を教えたりするだけ無駄、みたいな感じになってるのだ。

 そんな中、一度やたらとコミュニケーションとりまくりの時があった。
新宿のとあるビルの解体工事で、通称「ガラ出し」と呼ばれる解体したコンクリートの破片が入った膨大な数の袋をトラックにバンバン積むっていう作業があり、
超ハードなんだが、短期決戦で、積み終わったら次のトラックが来るまでは休憩みたいなことがあり、その時は俺と職長が二人だけという状況。いろんな話をした。
「何かスポーツとかやってたか?」
「中学、高校と6年間サッカーやってました」
「じゃ大丈夫だろう」
「でももう20年以上前のことですよ」
「え?あんたいくつよ」
「3月が来れば40になります」
「けっこう年寄りなんだ、高校何処よ」
「H高校っていって高田馬場と新大久保の間にあって電車から見えます」
「あのバカ学校かい!」(全く歯に衣着せない物言いだ)「ラグビーとかスポーツ全般強いんだろあそこ」(なんだか詳しい)
「自分の時代はそうでしたけど、今は結構レベル上がってるみたいですよ。」
「前の仕事は何よ、サラリーマンかい」
「そうですね、全く関係ない、学習塾でした。」
「先生かい!あんた大学出てんのかい!?」
「まぁ一応」
「なんで今こんなことやってんのよ!」
「いろいろありまして」
「でもH高校から大学行ったつったら珍しいだろ」
「英雄でしたね」
「バカヤロー!」

みたいな会話もあったり、そうかと思えば今度はどういうわけか、俺が新人を率いてゴミ拾いみたいなことをした時に、その新人が勝手にいろいろと打ち明けてきたこともあった。
「家賃を滞納しちゃって、ついに督促状がきて裁判になりそうだから、働きだしたんです」
ってことだったが、昼はもちろん、10時と3時の休憩時にマカデミアナッツチョコ食ってジュース飲んで、当然タバコを吸ってる彼を目の前に、
「働くのもいいけど、まずそのお菓子(せめて普通のチョコにするとか)、休憩ごとの楽勝ジュースやめればいいんじゃん?」って思ったがもちろん放っておいた。
 ジュース3本とチョコとタバコとコンビニ弁当の合計でどう見積もっても千円はしてる。
俺はおにぎりとお茶を全て家から持ってきてるんで、原価は高く見積もっても50円だろう。その差一日で950円。
このランクまで彼が下げれたら彼も今のままの収入で、
10日に一回は休みをとれるのになぁ、と思ったがこれまた大きなお世話だろう。

 刑務所とかマグロ漁船とか、もうどうにでもしてみたいな、自虐的な労働をシミュレーションしてるような、ちょっとマゾ的な魅力がここにはある。
でもまぁこんな呑気なこと言ってられるのも、この不自由さには限りがあるからだってことももちろんわかってる。

5時になれば確実に解放される。そしてこの時の解放感つったらたまんない。
FreedomっていうよりLibertyって感じ。重みが違う。
弓もピーンと張ったほうが遠く飛ぶ、みたいな。
でも張りすぎて、プチっと切れたらそれはそれでマズイ。

おそらくは生涯最後のバイトとなるが、主にこの人間ウォッチングに関しては、
非常に貴重な体験をした。

この話はこれでおしまい。オチも何もないけど・・・。(完)

Vol.25「事業計画書と面接と結果」

2007年06月26日 | Weblog
 俺と同様に、開業を考え、国金に融資を仰ぐ人なら、
多くの人が一度はひとりごちたであろう、この世の大矛盾がある。

 「融資をうける前に物件取得契約書が必要」
・・・物件契約してから結局融資がおりなかったらどないすんねん!

「月の売上や客数を推定し、それが客観性のある数字であること」
・・・そんなもんやってみないとわからへんわい!

などなど、なんで関西弁なのかはわからへんが(笑)、
これはたぶん多くの開業しようと思う人々の共通の意見だろう。
俺もこれら融資の際の大矛盾に悩まされた一人である。

 「事業計画書」というものの重要性は俺もかなり理解している。
探検、航海には地図が必要だ。
俺は融資先のためというより、自分自身のために、
暗闇で明かりを照らすために、
この4年間で118冊の関連本を読み漁ったり、
現場のマスターに直接訊いたりして、なるべく信憑性のある情報を得てきたつもりである。

 国金の事業計画書シートは、たった一枚の用紙である。
俺にとってはこの一枚でおさまるわけがないし、
他の書式での提出でも構わない、ということだったので、
勝手に自由に作成した。
もう一回くりかえすけど、自分のためという意味のほうが強いため、
やけに重厚なものになった。
国金の面接担当者の第一声は「随分詳しい計画書ですね」だった。
なにしろA4サイズ36ページに及ぶ冊子である(笑)。
面接官が質問しようと思う事項はほぼ完璧に網羅されているわけで、
面接官としても、ず~っと俺の計画書とにらめっこ状態で、
チェック事項は全て書いてあるので、あまり質問も出ず、
「コンサルティングか何かつけられたんですか?」と言われたときは、
嬉しくもあり、カンニングの疑いをかけられた生徒のような気分でもあった。
でもまぁ、これまでのインプットの集約であるわけだから、
大きな意味では確かにカンニングなんだろう。
 
 俺が事業計画書の中で最も悩んだのは、他の多くの人達と同様、
売上や客数の推定である。
極論を言えば、さっき関西弁で言ったように、
「そんなもんやってみないとわからへんわい!」
ってことになる。
しかし、なるべく根拠がある数字を知りたかった。

 たとえばこれまでに読んできた業界本やノウハウ本の中で、
びっくりするほど共通して、「家賃は売上の10%以内にする」
っていうのがあるんだけど、
本当に本当か?10万円の家賃のところで、
100万円の売上上げられるか!?
10万円の家賃って、相当安いぞ。たぶん10坪はないし、立地もよくないぞ。
100万円の売上って、結構大変だぞ。商圏的に満足いくとこじゃないと、
それに100万円の売上のところならスタッフ雇わないと厳しいぞ。
と、俺は実際の感覚的にこう感じていて、おそらく間違いはないはずなのだ。
でも、どうしてこう、猫も杓子も、
どの本も「家賃は売上の10%以内で」ってなっているのか?

 まぁ、家賃の件は別にそれはそれでいいとして、
やはりポイントは一日の来店客数と売上の目算方法で、
スタンダードなものとしては、席数×回転率と客単価などと、
これも猫も杓子も同じことが書いてある。
なんたって国金自体、この試算方法を取り入れている。
しかし俺はもっと確実なスゴイ方法というか計算式みたいなものを知ってしまった!
自分自身がしっくりくるために、いろんな人の話を聴いたり、まとめたりした結果の、
かなり信憑性のある出し方を俺は見出したのだ。
これは我ながらの大発見であり、おそらく多くの開業者たちが最も知りたい事柄だとも思う。事実、過去の俺なら知りたくて知りたくてどうしようもない情報だったから。

 あまりにスゴイことだからなんとなく書かないでみることにする(笑)。
ここであっさり俺の4年間の実証データを全世界にオープンにすることもなかろう、と。
 でも、例えば綱島のT師匠は自分の店の売上や客数もズバリ俺に教えてくれた。
だいたいの人数を教えてくれた神戸のマスターもいたし、
今後もし我が珈琲文明に来店して、直接この質問をしてきた人がいたなら、
俺もオープンに話すことに決めている。
自分の店のことっていうよりももっとスゴイこと。
あらゆる個人店に応用がきく、黄金率を。
大袈裟!?いや、結構すごいことだと本気で思うんだけど・・・。

 ところで、かつて三軒茶屋にある一戸建てのカフェに行った時に、
「私も横浜でカフェをやりたいって思っているんです」と話し、
「ここは何坪くらいですか?」と訊いたところ、
そこのマスターが、「私は開業のアドバイザーでもないし、仕事(今やってるコーヒー作ったりすること)もありますので、あまりそういう質問は・・・ご理解いただけますか?」
と、言葉丁寧ではあるが、会話を拒絶されたことがある。
 もちろん初めていく所でいきなり売上とか客数の話なんかするつもりはない。
坪数を訊いただけである。というより、そんなもの見ればわかるわけで、
だいたい1階と2階あわせて15、6坪目算で間違いないのを知ったうえで、
社交辞令的に会話として言ってみただけだったのだが、
たぶんそこのマスターは、同業者や競合者になんでそんなことを教えなきゃなんないんだ!っていう気持ちだったんだろう。
 俺はこういうマスターにだけはならないでおこう、と固く誓ったので、
お店に来た人にはなるべくオープンに話していこうと思っている。

 さて、話がそれたが、融資の面接が終わり、結果は?

見事、満額融資が決定した。
これにて史上最大の借金をかかえたことになり、
もう後戻りは出来ない。猛進あるのみである。