アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

韓国映画と香港映画を1本ずつ

2017-03-21 | 韓国映画と香港映画

19日に香港へ着き、その日はヘロヘロだったものの、20日、21日と1本ずつ見てきました。まずは、韓国映画の『共助』『秘密任務』というタイトルになって、1館だけ、将軍澳のシネコンで上映中だったので行ってきました。将軍澳は昔は地下鉄も走っていなかったのですが、今はその先まで路線が延びて、九龍側にも、それから海底を通って香港側にも行くのに便利な所となりました。きれいなショッピングモールがあって、その2階にシネコン「スターシネマ」があります。

愛想のいいチケット売り場のお兄さんから、まんまと長者票(シニアチケット)50香港ドル(約750円)を売ってもらい(時には、長者カードを持ってないとダメ、と断られたりします)、そこで見たのが、ヒョンビン、ユ・ヘジン、キム・ジュヒョクが出演する『共助』こと『秘密任務』でした。


オープニングは北朝鮮から。特殊警察部隊のリム・チョルリョン(ヒョンビン)は、国内で秘密裏に作られている偽ドル札の原版を奪おうとする男たちに対峙しますが、その時やってきた隊長のチャ・ギソン(キム・ジュヒョク)は「だから待てと言ったのに」と、反対にチョルリョンたちに銃を向けます。仲間や隊員の1人だったチョルリョンの妻は撃ち殺され、チョルリョンは最後にチャの弾が尽きたことでとどめをさされずに済みますが、チャたちは原版を奪い、中国経由でソウルへと逃亡しました。チャがソウルで、中国系マフィアと取引する、という情報が入り、傷の癒えたチョルリョンは南北「共助」捜査をするため、要人のお供となってソウルへ飛びます。彼のカウンターパートとして白羽の矢が立ったのは、ソウルのダメ刑事カン・ジンテ(ユ・ヘソン)でした。ジンテはマイホーム刑事で、家では妻と妻の妹、そして幼い娘に頭が上がらず、家庭優先を実行してはいつも上司を怒らせています。今回の抜擢も、実は厄介ごとを押しつけられただけのことだったのでした。こうしてクールな北の刑事と、おっちょこちょいで熱い南の刑事がチャを探すことになりますが....。


本作は何と言っても、キム・ジュヒョクの悪役にびっくり。またこれがよく似合っていて、この人、これから悪役専門になるかもと思わせられました。これまではホン班長のように物静かないい人役が多かったのに、と意外でした。一方、ヒョンビンの北の刑事と、ユ・ヘジンの南の刑事はハマリ役。ユ・ヘジンはハマリすぎて、もうちょっと違う役もやってほしいなあ、と思わせられたぐらい。アクション・シーンも予想よりすごくて見応えがあり、さすが韓国映画といったところです。ユ・ヘジンの奥さん役チャン・ヨンナムも、その妹役ユナ(少女時代)も、これまたハマリ役で、少々定型化が過ぎるところも。それだけに、キム・ジュヒョクのワルぶりが光ることになったのでしょうか。韓国ではヒットしていて、おそらく2017年の興行成績ベスト10に入るのでは、と思われます。予告編はこちらです。

共助ティーザー日本語訳


もう1本見たのは、香港映画のキョンシーもの『救彊清道夫(Vampaire Cleanup Department)』。監督は趙善恆と甄栢榮、出演は蔡瀚憶(ベビージョン・チョイ)、 林明禎(ミンチェン・リン)、 錢小豪(チン・シウホウ)、 吳耀漢(リチャード・ン)、邵音音(スーザン・ショウ)らです。


物語は、両親を亡くして祖母(スーザン・ショウ)の面倒を見ている阿天こと張春天(ベビージョン・チョイ)は、ある晩道でキョンシーに襲われます。気がついてみると祖母の家におり、なぜか食卓に威厳のありそうな2人の男が座っていました。聰叔(リチャード・ン)と阿秋(チン・シウホウ)というその2人は、阿天にある場所に来るよう言います。そこは政府がこっそり作ったキョンシー掃除部署で、実は阿天の父と母もこの部署で働く公務員だったのでした。キョンシーに襲われ、臨月の母は阿天を産み落として亡くなり、父もまたキョンシーになりかけた自分を自分で火葬にするという、筋金入りのキョンシー掃除人だったのでした。そんな母から生まれた阿天はキョンシーに対して免疫力が備わっており、だからあの夜キョンシーに襲われても無事だったのでした。後継者がいないことに悩んでいた聰叔らは、阿天こそ後継者だとして育て始めますが、阿天は何と100年前にキョンシーとなった小夏(ミンチェン・リン)に恋をしてしまい、聰叔らには黙ったまま彼女をかくまうことになってしまいます...。

Vampire Cleanup Department (首发 殭尸2救殭清道夫, 2017) horror action trailer

予告編を付けておきましたが、チン・シウホウにリチャード・ンといえば、キョンシー映画の復活として話題になった2013年の『リゴル・モルテス/死後硬直(原題:彊屍)』でも印象的な演技を見せてくれたコンピですし、1980年代のキョンシー映画にも顔を出していた面々です。その2人だからこそ成り立つストーリーと言え、加えてイノセントなベビージョン・チョイが核となって、ちょっと面白い作品が出来上がりました。このベビージョン君、アジアフォーカス・福岡国際映画祭で以前上映された『狂舞派』にも出ていたそうで、見逃していて残念、とこの映画を見ながら思ってしまいました。ちょうど向井理と星野源を足して2で割ったようなチャーミングな顔で、背の高さなど身体的にも恵まれています。一方、キョンシーの女の子は釈由美子似で、無言の演技がこれまた面白くて、つい引き込まれてしまいました。おじさん好きにも若者好きにもウケる作品ですね。奇想天外な「キョンシー清掃局」という発想も面白かったのですが、最後の方はちょいパワーが落ちていて残念。でも、久々に香港映画らしい作品を見た思いがしました。

今日は「アジアン・フィルム・アワード」も覗いてきたのですが、そのご報告はまたのちほど。


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