バンコクに来ています。日本よりずっと涼しくて、歩いてもほとんど汗をかきません。特に朝夕は風がさわやかで、どっちの方が南なんだか、という感じです。
出る直前は「インド映画完全ガイド」の仕事で睡眠時間3時間とかが続き、頭がボーッとした状態で荷物を詰めたら、もう忘れ物続出。いつもなら使い捨てのを3、4足放り込んでくるスリッパはコロッと忘れてるは、イタタの腰痛用のびのびサ●ン湿布は入れ忘れるは(仕方ないから成田でサ●ンパス購入)、メガネの予備やパソコンシールド用メガネも置いてくるは、とまあ、忘れ物リストを書いたらメモ帳全部埋まりそうです。もう30年ぐらい前になりますが、徹夜明けで成田に向かったら、現金を入れた胴巻き(そういうものをしてるんです、アジアの旅では)を身につけてくるのを忘れ、仕方がないので香港でカード会社から借金をしたことがありますが、それ以来のドジぶりです。
それにしても、タイのホテルって使い捨てスリッパを提供してくれないんですね。今回は20年ぶりぐらいにアンバサダーに泊まっているのですが、ここもネット接続状態が悪く、メール受信はできても、送付ができません。ここも、というのは、以前泊まったスイス・パークやマンハッタンでもトラブったからですが、今回アンバサダーが1泊7千円と安かったため、「アンバサダーぐらい大きければ大丈夫だろう」と思ってこちらにしたものの、この手の「昔からあるホテル」はダメなのだと痛感しました。メールを送ろうとすると、プロバイダーから「通信中にエラー発生」というメッセージが来て、送信を拒否されるのです。確かに、Wifiの5本アンテナが4本しか立っていないので、これは十全な状態とは言えません。というわけで、たくさんの皆様にご迷惑をおかけしています。「メールを出したのに返事が来ないぞ」と思っておられる方、このあと数日してシンガポールへ移動したらお返事しますので、しばらくの間ご容赦下さいね。
上は、アンバサダーホテルのロビーにある水槽で泳ぐ金魚か鯉かわからないお魚たちですが、今回泊まってわかったのは、ここはインド亜大陸からの旅行客御用達になっていること。インド人、パキスタン人、バングラデシュ人の多いこと、多いこと。ヒンディー語、タミル語、ベンガル語などが飛び交っています。子供たちは上の水槽を見て大喜び。かわいいです、子供たちもお魚も。でも、隣の水槽にいるお魚はぬしみたいで、ちょっと不気味です。
バンコクは昨年や一昨年もご報告したように、今やインド映画、特にボリウッド映画のヒット作品が漏れなく公開される地となったようです。今も、『Drishyam[光景]』と『Bajrangi Bhaijaan[バジュランギー兄貴]』が公開中。とはいえ、どちらもメジャー・シネプレックス・スクンビットという、エカマイ駅からすぐの所にあるシネコンでやっているのですが、『バジュランギー兄貴』の方は公開当初はもっと多くの劇場でやっていたのでは、と思われます。この2本を見てきましたので、ちょっとご紹介しましょう。
『Drishyam[光景]』
以前このブログでもご紹介したマラヤーラム語映画『Drishyam[光景]』のリメイクです。場所はゴアに移されましたが、ほぼ忠実なリメイクとなっています。ストーリーは上の記事をご覧になって下さいね。マラヤーラム語映画ではモーハンラールが演じた主人公はアジャイ・デーウガン、その妻役はシュリヤー・サラン、そして、息子の行方を追う女性警察長官をタッブーが演じます。アジャイ・デーウガンはモーハンラールには貫禄で負けているものの、名演技を見せてくれます。そしてすごいのがタッブー。情け容赦のない追求ぶりは、その鋭い眼差しと相まって、もう「怖い」の一言。これは演技賞候補ですね-。
マラヤーラム語版を見た時は字幕もなかったため、細部がわからないところがあったのですが、今回はいろんな証拠が出てきて二転三転する様子がよくわかり、確かに「容疑者Xの献身」からいただいているところはあるにせよ、別物と言ってもいいのでは、と思いました。もし日本でどこかが買って下さるとすれば...う~ん、マラヤーラム語版とヒンディー語版、どちらがいいでしょうね~。迷います。予告編はこちらです。
Drishyam - Official Trailer | Starring Ajay Devgn, Tabu & Shriya Saran
『Bajrangi Bhaijaan[バジュランギー兄貴]』
こちらは毎年恒例の、イード(イスラーム教の断食明けの祭り)を記念して公開されるサルマーン・カーン主演作2015年版です。監督は『タイガー 伝説のスパイ』(2012)のカビール・カーン。
物語はパキスタンから始まり、アーザード・カシミールに住む女の子シャヒーダーの誕生から5歳までの物語が語られます。シャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラー)はまったく口をきくことができず、心配した両親や村の人々は、インドのデリーにある霊験あらたかな聖者廟にお参りさせることにします。母と一緒にデリーに出かけたシャヒーダーでしたが、帰途国境近くで停まっている列車から降りたばっかりに、母と離ればなれになってインドに残ることに。シャヒーダーが「この人なら助けてくれる」と直感したのは、パワン・チャトゥルヴェーディー(サルマーン・カーン)という青年でした。パワンは学校は落第続き、父親が指導者だったレスリングはくすぐったがり屋のためにものにならず、というダメ男でしたが、バジュラングバリー(ハヌマーン)を信仰する根っからの正直者でした。
シャヒーダーにつきまとわれ困ったパワンは、やっかいになっているデリーの知人の家に連れて行き、両親が見つかるまで預かることにします。その家の娘ラシカー(カリーナー・カプール・カーン)とパワンは愛し合っているのですが、ラシカーの父がパワンの自立を願って条件を付け、パワンは結婚資金をせっせと貯めている最中でした。女の子をムンニーと名付けてかわいがっていた一家の人々は、ある時偶然ムンニーがパキスタン人だった事がわかり、驚きます。ブラフマンのカーストである一家は、異教徒を預かるなんて、と困惑気味。一方パワンは何としてもムンニーをパキスタンの自宅に帰そうといろいろ試みますが、いずれも失敗。最後にパワンは、自分がパキスタンに連れて行き、ムンニーを親の元に返すしかない、と決心します....。
前半はちょっと平板ですが、後半パキスタンに入り、彼らを助ける存在としてTVジャーナリストのチャーンド・ナワーブ(ナワーズッディーン・シッディーキー)が登場してから俄然面白くなります。今回のナワちゃんは、ハートも頭もあるすばしこいジャーナリストとして大活躍。パワンとムンニーと彼とのトリオがとてもいい味を出しています。
後半には感動場面もいくつかあって、思わずホロリ。子役がかわいすぎるのが、感動を倍にしています。それと、毎回インド・パキスタン問題を入れ込むカビール・カーン監督の腕の冴えもあり、なかなか見応えのある作品になりました。なお、共同脚本のK.V.ヴィジャエーンドラ・プラサードは『ラーンジャナー』(2011)の監督であり、目下大ヒット中の歴史活劇『Bahubali[バーフバリー]』の脚本も担当している人です。今回タイでは一足違いで『バーフバリー』が見られなかったのですが、こちらはシンガポールに期待しましょう。
予告編はこちらです。
Bajrangi Bhaijaan | Official Trailer with English Subtitles | Salman Khan, Kareena Kapoor
では、旅の報告の続きはまたのちほど。