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聴刻堂日乗

「役小角絵巻-神変」を読んで

「役小角絵巻-神変」を読んだ。
山本兼一の小説だ。

三つの点で珍しい小説だと思った。

一つには、役小角を主役とする点。
実在の人物だが7-8世紀と古く、
謎が多くて描きにくい人なのだろう。
主役にした本を初めて読んだ。

二つ目は、ファンタジックな内容。
妖術の描写がいっぱい。
「利休にたずねよ」と同じ作者とは
にわかに信じがたい。

三つ目は、天皇の描き方。
持統天皇の不安や怯えなどの感情。
一人称的な描き方が珍しかった。

山の民の朝廷に対するレジスタンス。
縄文対弥生と言って良いかもしれない。
熊谷達也「荒蝦夷」も良かったが。

読んでいて、自分の性向が判った。
弱者に対する強者の圧迫が許せないのだ。
どちらが正しいかは二の次なのだな。

後半に役小角が朝廷の船を襲う場面。
加太の友ヶ島で船を待ち受けるのだ。

旅行に行ったばかりの友ヶ島!
なんか不思議な縁を感じてしまうわ。

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