小説「三体」を読んだ。
作者は中華人民共和国の劉慈欣。
訳は大森望、光吉さくら、
ワン・チャイ。
スケールの大きなSF小説だ。
いったいどうなるんだ? という
サスペンスの側面もあるので粗筋
は割愛しよう。
物語よりも特筆すべきは、各局面
の場面設定だ。文字を読むだけで
映像が想像できて、そのスケール
の大きさと迫力に息を飲む。例え
ば、三千万人の兵士の手旗信号に
よる人間コンピュータとか、ナノ
マテリアルのワイヤーで巨大タン
カーを50cm幅でスライスする
とか。
SFの仕掛けの凄さに、人物造形
が追従できてないような残念さは
あるが、そこに目をつぶっても
楽しめる小説だった。
題名の「三体」についてだけ。
古典力学で「三体問題」というの
があるらしい。2つの星が互いに
重量を及ぼし合って運動する時の
軌道は予測が可能だが、3つの星
の場合には超複雑で予測が不可能
なのだそうだ。
普段使わない頭の部分を酷使した
ような感じで、疲れてしもた。
心地良い疲れではあるけどなぁ。