十無用の用抄

第七 思慮を専らにすべき事

千恵子抄

2014-07-06 13:24:27 | 千恵子抄
































































――私は口をむすんで粘土をいぢる。
――千恵子はトンカラ機を織る。
――鼠は床にこぼれた南京豆を取りに来る。
――それを雀が横取りする。
――カマキリは物干し綱に鎌を研ぐ。
――蠅とり蜘蛛は三段飛。
――かけた手拭はひとりでじやれる。
――郵便物ががちやりと落ちる。
――時計はひるね。
――鉄瓶もひるね。
――芙蓉の葉は舌を垂らす。
――づしんと小さな地震。
油蝉を伴奏にして
この一群の同棲同類の頭の上から
子午線上の大火団がまつさかさまにがつと照らす。


検索用・片山千恵子


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