千恵子抄 2014-08-03 12:40:10 | 千恵子抄 二つに裂けて傾く磐梯山の裏山は 険しく八月の頭上の空に目をみはり 裾野とほく靡いて波うち 芒ぼうぼうと人をうづめる 半ば狂へる妻は草を藉いて坐し わたくしの手に重くもたれて 泣きやまぬ童女のやうに慟哭する ――わたしもうぢき駄目になる 意識を襲ふ宿命の鬼にさらはれて のがれる途無き魂との別離 その不可抗の予感 ――わたしもうぢき駄目になる 涙にぬれた手に山風が冷たく触れる わたくしは黙つて妻の姿に見入る 意識の境から最後にふり返つて わたくしに縋る この妻をとりもどすすべが今は世に無い わたくしの心はこの時二つに裂けて脱落し 闃として二人をつつむこの天地と一つになつた。 検索用・片山千恵子 #ニュースキャスター « 140803のおはようわくまゆ | トップ | ゆりかるゆりかる~ »
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