増田カイロプラクティック【読書三昧】

増田カイロプラクティックセンターのスタッフ全員による読書三昧。
ダントツで院長増田裕DCの読書量が多いです…。

スローカーブをもう一球

2005-05-01 12:28:48 | 小田桐修二(三協カイロプラクティック)
スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))
山際 淳司
角川書店

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本書は山際淳司の作品集で、 表題作を含めて8篇収められている。 その内、表題作の「スローカーブをもう一球」は群馬県の高崎高校を、「八月のカクテル光線」は夏の甲子園大会の歴史に残る昭和54年の和歌山・箕島高校対石川・星陵高校の延長18回の戦いを、と共に高校野球を描いている。
他に、 昭和54年の広島-近鉄の日本シリーズ第7戦、つまり最終戦の最終回での江夏の全投球にまつわる両チームの心理を描いた「江夏の21球」も収められている。 スポーツ雑誌に掲載され、その後NHKテレビで映像化もされている。 両チームのベンチと選手達の、 場面場面での心理状態の変化のさまを丹念に描いたその切り口に、それまでのスポーツ番組にはなかった斬新さを感じた記憶がある。

その後山際淳司の作品を何冊か読んだ。 本書の作品達も含めて、 対象を普通の生身の存在として接し、 程よい距離から柔かい視線で見つめ、 人物の心の内を丹念にかつ淡々と描いているところがどれも共通している。 その点を個人的には好ましく思っている。

後にNHKのスポーツ番組のキャスターも務めるようになって初めて顔を拝見したが、 顔といい語り口といい、 作品から想像していた通りだった。柔らかな口調であるが鋭く的確な解説が魅力的だった。 早世が惜しまれる。
氏と共に番組のキャスターを務められていた草野満代さんが、氏が亡くなったのを同番組で涙ながらに伝えていたのを記憶している。
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