自宅の格子戸をガラガラと開け放ち、
「遊びに行ってくるねー」と母に告げる。
「遅うならんのんよ」と母。
「うん、わかっとる。5時までには帰るけぇ」
10mも走れば三原の町が眼下に広がる石段の休憩所。
何をして遊ぼうかと迷ってる僕。
ふと気が付く。
長い髪のお嬢さん。
じっと僕を見ている。
ふたりの距離は、3メートル余り。
長い髪とひとことで表現したものの、実は髪が濡れている。
お嬢さんとは言え、目は漆黒で何を見つめているかわからない。
背丈も高いのか低いのか。
おばけ(亡霊)だ。。
小学4年の僕は早急に判断した。
騒がしい蝉時雨がこの時ばかりは「しーん」としていた。
下の中央公園へ行けば誰かが遊んでいる。
そう考えた僕はただひたすら中央公園に向けて走った。
中央公園までは約100mしかないのに、それはとても長く感じられた。
息を切らせて僕は立っていた。
中央公園では仲間たちがソフトボールをして遊んでいる。
何ごともなかったかのように時が過ぎていた。
47年も前の不思議な出来事。
彼女は一体。。