
ある夜、実家から電話が。
嫌な予感……、的中。
きーちゃんがお外に出てしまったと。
探し回ったけど見つからないと。
真っ暗なのに。木々の沢山ある田舎なのに。
でも近くに車の多い県道もあって、静かな場所ばかりじゃなくて。
そしてきーちゃんは飛ぶのが速い。
パニックを起こしたオカメは一瞬で遠くまで行って、迷子になる。
よく聞く話。
実際、きーちゃんも迷って家に来た。
夜だし、新幹線で片道3時間半だし、
飼い主さんは退院したけど日常生活がまだ一人では無理で、
私は動けない。探しに行けない。
取りあえず家族に電話でいろいろアドバイスして、
チラシを作って、夜明けから探すと。
一晩寝れず、ただ祈るしかできず、もどかしい、長い長い夜(泣)。
朝5時半過ぎ、電話が。
「見つけた!!」って。
明るくなりかけてすぐ、飛んで行った方に向かって
「きーちゃん」
て呼んだら、違う方角のすぐ近くから、
「ピーッ!」って。
お向かいさん家の木に止まっていたらしい。
夜中に移動したんだろうか。
でも高い木で、手の届かない枝で、臆病だから、呼んでも飛び降りられない。
近くまで行ってそっと手を出さないと、いつもダメ。
だからお向かいさんがハシゴを出してくれたのに、
立てかけようとしたらそれに怯えてまた飛んで行ってしまったと。
あのスピードで。一直線に。
それを聞いて、今度こそダメかと思った。
祈って祈って。
どれくらい過ぎただろう。次の電話。
「つかまえたー!!」
一直線に飛んで行ったきーちゃんは、また一直線に戻ってきたらしい。
カラスに追われて。
「カラス、ダメ、あっち行け」
カラスは柿の木に止まり、手を振ったら飛んで行った。
でもきーちゃんはどこかわからない。
名前を呼んだら、女性の小さな声で「いましたー」と聞こえて。
「どこ、きーちゃん、どこ」
お向かいさんのお庭の中を覗いたら、奥さんの肩にいた。
「じっとしてるから少し手を出したら、肩に乗ってきて」
また逃げたらいけないと、奥さんは腰をかがめた状態でじっとしてくださっていた。
急いでチオビタの箱(きーちゃんのお気に入りの箱)を持って行って、
保護できた。とのこと。
よく無事で、近くにいてくれて、保護できて良かった(泣)。
最後はもしかしたら、カラスのお陰もあったかな。

帰った日は一日中爆睡だったそうです。
一晩暗い、知らない場所で、どんなに不安で怖かったでしょう(泣)。
きーちゃんの脱走は、実は3度目です。
はじめの1度目は、家に飛んできた日です。
そして2度目は8年か9年程前の1月2日、忘れもしない(泣)。
(あれっ、きーちゃんうちに来てもう9年近くなるんだぁ、
改めてびっくり(汗)。)
高層マンションや団地が多い中、8階の窓から誤って飛び出てしまった。
その時のきーちゃんの後姿は、飛び出した瞬間わけが分からず、
ビックリしながらも勢いで飛んで止まらないって感じで、
私は心臓が止まりそうで……、
あの瞬間、あの後姿、今でもトラウマになっています。
降りていった方向へ慌てて行ったら、逆方向からあの鳴き声が!
「ピーッ!!」
500メートルほど離れた団地の5階の窓に止まってて、
大きな大きな鳴き声で呼んでくれて、
運よく風もない日中で、その声で5分程で見つけられました。
見つけて下から呼ぶと、私達を見下ろして、
鳴くのは止めたけど、その時も降りて来れなかった(泣)。
そしてその時も直ぐにチオビタの箱を持って、5階のお部屋に入れてもらい、
窓からすぐ保護できました。
本当に心臓が止まる思いでした。
もうこんな思い、二度と嫌です。
家族が脱走してしまって探してる記事や、チラシを見ると辛いです。
探し続ける飼い主さんの気持ち、迷子になった子の気持ち、辛いです。
どの子も早く飼い主さんの元へ戻ることができますように。