チェルノブイリ子ども基金・事務局だより

チェルノブイリ子ども基金スタッフが綴る事務局の日々。

ウクライナの甲状腺の患者 

2022-06-08 16:40:19 | Weblog
スウェーデンのNGO「star of hope」を通して子ども基金が支援をしたウクライナの家族のうち、
Tさん(41歳・男性)が亡くなりました。

Tさんは1980年にウクライナのボリスポリ市(ボリスピリ。キエフ国際空港のある町)で生まれ、
チェルノブイリ事故の時もボリスポリに住んでいました。

「star of hope」の保養プロジェクト(甲状腺がんの手術を受けた子どもたちを保養に招待した)に、
1994年と1995年に参加していました。

1996年からキエフに移り住み、2003年に結婚、家族と共にキエフに住んでいました。 

また、「star of hope」が数年前にウクライナのカルパチアで開催したチェルノブリ家族のための保養に、
息子と一緒に参加したそうです。


■「star of hope」担当者ジャマルさんからの手紙(5月6日)■
「悲しい報告をしなくてはなりません。
4月27日、キエフ(キーウ)市のTさんが、ガンの転移のために亡くなりました。
Tさんとは2週間前に連絡を取り、私たち両団体からの支援金を受け取った、という短いメッセージをもらっていました。
彼の妻と15歳の息子と話をすることできました。必要なうちは今後もこの家族への支援を続けます」

■Tさんの妻からの手紙(6月2日)■
「私たち家族へのご支援に感謝します。
夫は4月27日に亡くなりました。
彼は11歳で甲状腺がんの手術を受け、5年後に再度手術を受けました。
肺に転移があり2002年まで放射性ヨウ素治療を受けました。
その後小康状態が続きましたが、2014年に腫瘍マーカーの数値が増加し、
断層撮影で左肺に結節がみえるようになったため、放射性ヨウ素治療を受けました。
治療後、数値も正常に戻り、結節も小さくなり、1年間治療は受けませんでした。
しかしこの間に結節は大きくなり、複数のがん細胞が左肺、胸腹内リンパ節に転移しました。
そのため、2020年からキエフの腫瘍病院で治療が始まりました。
しかしその後ガンは骨にも転移し、亡くなりました」


「311子ども甲状腺がん裁判」弁護団長 井戸謙一弁護士は、4月23日の講演の中で、
次のように語っています。
「甲状腺がんというのは非常に軽く見られることがありますが、
決してそうではない、非常に重篤であるということはご理解いただきたいと思います」

この講演はこちらよりご覧いただけます。
4/23(土)オンライン講演 「福島・甲状腺がんを発症した若者たちの訴え」井戸謙一弁護士講演会




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