今日は月曜日。
僕が職場へ着くと,多くの従業員が散髪されていた。僕以外のヒトは日曜休みだから,もちろん散髪はたいてい日曜日だろう。しかし,なぜこのタイミングでみんな散髪したのか。この偶然を説明したいが,現代の自然科学理論では不可能である。
僕が髪を切るのは休みである水曜日だ。以前は隣町の美容院へ行っていたが,近所でいい床屋を発見したので,今はそこへ通っている。近場でコトが済めば,時間も体力も節約できる。社会に出て働くと,とにかく時間がほしい。その捻出した時間で,例えば僕の場合は,書店へ行ったり,ストイックなヒトカラをやったり,数学を勉強したり,布団でうずくまったりするのである。
髪を切ると,やはり目立つものだ。だから普通の職場では「お,髪切ったね」などと声をかけられ,コミュニケーションを図るものだが,うちの職場はそういう軽い声掛けの出来る人がおらず,みんな黙っている。しかし,僕が髪を切ると別だ。僕は3か月に1回しか切らないから,目立つ。すると,「お,ゆみ床屋行ったね」という挨拶が発生する。床屋に行ったのは確かに事実だが,その描写は事実を述べただけで,本人の考察や感想,発見などがない。英語なら「You get a haircut. It's cool」となり,「It's cool」の部分が発言者の考えに相当する。「お,ゆみ床屋行ったね」で挨拶として成立するのは日本語ならではの面白い現象だ。