Yuumi Sounds and Stories

シンギング・リン®️セラピスト「藍ゆうみ」のブログ。日々の覚え書き、童話も時々書いています💝

お話妖精ルーモと風さんドイツ⑮

2020-05-05 14:17:43 | 童話 ルーモと風さんのお話
8月15日(月)宵月の夜 ドイツ

ドイツにはハーメルンという町があります。
とても有名な町で多くの旅人がここを訪れます。
それはこの町には、子供が大好きなお話「ハーメルンの笛吹男」という物語があるからです。ルーモもこのお話を知っていました。どこかのおうちでお母さんがこの絵本を子供に読んでいたのを聞いたことがあったからです。

お話のあらすじは、
~ハーメルンと言う豊かな町にネズミがたくさん増えて人々を困らせます。するとハーメルンという男がやってきてネズミ退治をしてあげようといいます。街の人は喜んで頼みました。ハーメルンが笛を吹くとたくさんのねずみがハーメルンについていき、ハーメルンはネズミたちを海に入れて溺れさせました。街からネズミが全くいなくなりました。ところが、町の人はハーメルンにご褒美の金貨をあげるのをやめてしまったのです。怒ったハーメルンは町中の子供たち全員をネズミにやったのと同じ方法でどこかに連れて行ってしまいました。~

ルーモはこのお話がよくわかりませんでした。
ハーメルンはどこからやってきた何者だったのか?
ご褒美の金貨をあげなかったのはなぜでしょう?
そして、130人もの子供は一晩でどこに行ってしまったのでしょう?

ルーモは【死】や【怖さ】を知らず、ましてや【疑う】ことを知らなかったのです。

風さんは、
「本当に130人もの子供が一晩でいなくなったことがあったんだ」
と話します。

そしてルーモをハーメルンの銅像の所に連れて行きました。
ルーモはハーメルンの銅像に話しかけました。
「あなたは何者なの?なぜ、子どもたちをどこかへ連れて行ってしまったの?」

ハーメルンの銅像は、大きく伸びをして
「おやおや、これはこれは、お話妖精のルーモ嬢。おうわさはかねがね!」
と大げさな挨拶をしました。
「わたしのような銅像に話しかけてくれて光栄に存じます。今いただいたご質問は、世界中の多くの人が聞きたいところでしょうな。ご想像にお任せします、と言っておきましょう」
ルーモは、
「街の人はなぜご褒美をくれなかったの?」

「おや?人間の醜さをまだ学んでないようだね。私がしたことは、お嬢さん。人間たちに教訓を与えたんですよ。人々が誠実に約束を守る大切さを教えた…というところ。お話には、そんな力もあるんだよ。たくさんの人間が自分のことばかり、金のことばかり、欲のことばかり、にならないようにね。この話が世界中の人に知られて、この世界はそれまでよりも平和な場所になったとは思いませんかい?」

風さんも言いました。
「お話とは、幸せで楽しい物語ばかりじゃない。そうじゃないお話が、聞く人を最後には幸せにすることがよくある」

幸せで楽しくて暖かくてホッとするお話をたくさん聞いてきたルーモでした。そう思ってハーメルンの銅像を見上げると、銅像は元あったように口をきくことはない硬いブロンズに戻っていました。

人間の醜さ・・・。その言葉がルーモを少しこわばらせました。
私も人間になったらその【醜さ】を持つのかな?

しんみりしているルーモを、風さんは良いところに連れて行ってくれました。ハーメルンのパン屋さんです。そこにはネズミ型のパンがたくさん売られていました。大きさは1匹10~12センチくらいです。これは飾りで食べることはできません。でもとても可愛いのでルーモは大喜びです。他にもハーメルンの街中にはねずみの飾りがたくさんあります。

ハーメルンの街の川にかかっている橋の上にも金色のねずみの像がありました。街中のお店の2階から下を見ている大きなねずみのぬいぐるみもいました。お店の看板にもねずみの像が立っていました。ルーモはすっかり元気になってネズミ探しに大喜びでした。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿