8月16日(火)十三夜の夜 イタリア
ルーモはイタリアに来るのが楽しみでした。
日本でよくお話を聞きに行ったおうちの女の子が、お父さんのお仕事でイタリアに引っ越したからです。イタリアに行くならその女の子のおうちにお邪魔しようと思っていました。風さんにそうお願いしました。
「きみがお話を聞いている時、ぼくはドゥオーモでも探検するとしよう!イタリアの芸術は大好きさ。では、良いお話を~」
と言って風さんは飛んでいきました。
女の子のおうちはフィレンツェにありました。フィレンツェは古い芸術の町です。その日の夜、久しぶりの再会にワクワクしていました。女の子に会った時ルーモは驚きました。なぜって、おかっぱ頭の女の子はもう女の子ではなく大人の女性だったからです。素敵な長い髪をえんじ色のリボンでしばっていました。ルーモは歳を取らないのですが、人間の子はすぐに大きくなってしまうのです。そして、前にお話を聞かせてくれたお母さんはもう白髪のおばあさんで、大きくなってしまった女の子は結婚をして小さな男の子のお母さんでした。お友達はその男の子におやすみ前のお話をしていたので、ルーモは不思議な気持ちでそのお話を聞きました。それはフィレンツェのちょっとおかしな小話でした。
~フィレンツェにはドゥオーモがたくさんあるでしょう?
ドゥオーモは教会の建物のこと。何度か見に行ったね。一つ一つデザインがユニークで美しいでしょ。鉄骨やコンクリートがなかった時代に、木の梁とレンガを積み上げて作ったのよ。すごいわね。
「今風さんが見に行ってるドゥオーモのことだ」
と、ルーモは興味津々でした。
昔むかし、ドゥオーモ広場のあたりはたくさん人が住んでいました。国が決めた大きなドゥオーモの建設が始まって、その周りの人々の家は壊され、土地の値段がとても上がりました。ビスケリ家はたくさんの大きな家を持つ大貴族だったので、土地の値段をつり上げる為になかなか立ち退きしようと頑張っていました。
ところが、誰かの意地悪でしょうか?ビスケリ家は火事になり、焼けてしまいました。その頃、火事を起こしてしまうとその人の土地はフィレンツェ共和国に没収される決まりがあったんだって。ビスケリ家は欲張ったために、家もなくなり、結局、一文無しになっちゃったの。それ以来、「まぬけな人」の事を「ビスケリ」と言うの。
女の子は、「ビスケリさん、可愛そう。私、欲張りしないよ」
ママは、女の子を「けちけち、ビスケリ、けちけち、ビスケリ」と言ってくすぐりました。
キャッキャッとした2人の笑い声は部屋の空気を明るくし、ルーモの心を楽しくさせました。
すると、お母さんは思いついたことを言いました。
「今、ママが子供の頃に聞いたお話を思い出したわ!ルーモっていうお話妖精が出てくるお話よ!まだ、あなたにしてあげたことなかったわね」
「お話妖精?わ~、楽しそう。してして!」
「これは、ママのママが私にしてくれた作り話。むかしむかし…」
ルーモがママのそばにいたので、ママは小さい頃のお話を思い出したのです。ルーモは嬉しくなりました。そして、ママのするお話の中に入って行きました。今夜のお話は一段と面白いお話になることでしょう。
ルーモは昔のお友達が可愛い息子に、寝る前のお話をしていることが嬉しくて嬉しくてなりませんでした。
そして、ルーモは今日聞いたお話を風さんにしてあげようと思いました。
ルーモはイタリアに来るのが楽しみでした。
日本でよくお話を聞きに行ったおうちの女の子が、お父さんのお仕事でイタリアに引っ越したからです。イタリアに行くならその女の子のおうちにお邪魔しようと思っていました。風さんにそうお願いしました。
「きみがお話を聞いている時、ぼくはドゥオーモでも探検するとしよう!イタリアの芸術は大好きさ。では、良いお話を~」
と言って風さんは飛んでいきました。
女の子のおうちはフィレンツェにありました。フィレンツェは古い芸術の町です。その日の夜、久しぶりの再会にワクワクしていました。女の子に会った時ルーモは驚きました。なぜって、おかっぱ頭の女の子はもう女の子ではなく大人の女性だったからです。素敵な長い髪をえんじ色のリボンでしばっていました。ルーモは歳を取らないのですが、人間の子はすぐに大きくなってしまうのです。そして、前にお話を聞かせてくれたお母さんはもう白髪のおばあさんで、大きくなってしまった女の子は結婚をして小さな男の子のお母さんでした。お友達はその男の子におやすみ前のお話をしていたので、ルーモは不思議な気持ちでそのお話を聞きました。それはフィレンツェのちょっとおかしな小話でした。
~フィレンツェにはドゥオーモがたくさんあるでしょう?
ドゥオーモは教会の建物のこと。何度か見に行ったね。一つ一つデザインがユニークで美しいでしょ。鉄骨やコンクリートがなかった時代に、木の梁とレンガを積み上げて作ったのよ。すごいわね。
「今風さんが見に行ってるドゥオーモのことだ」
と、ルーモは興味津々でした。
昔むかし、ドゥオーモ広場のあたりはたくさん人が住んでいました。国が決めた大きなドゥオーモの建設が始まって、その周りの人々の家は壊され、土地の値段がとても上がりました。ビスケリ家はたくさんの大きな家を持つ大貴族だったので、土地の値段をつり上げる為になかなか立ち退きしようと頑張っていました。
ところが、誰かの意地悪でしょうか?ビスケリ家は火事になり、焼けてしまいました。その頃、火事を起こしてしまうとその人の土地はフィレンツェ共和国に没収される決まりがあったんだって。ビスケリ家は欲張ったために、家もなくなり、結局、一文無しになっちゃったの。それ以来、「まぬけな人」の事を「ビスケリ」と言うの。
女の子は、「ビスケリさん、可愛そう。私、欲張りしないよ」
ママは、女の子を「けちけち、ビスケリ、けちけち、ビスケリ」と言ってくすぐりました。
キャッキャッとした2人の笑い声は部屋の空気を明るくし、ルーモの心を楽しくさせました。
すると、お母さんは思いついたことを言いました。
「今、ママが子供の頃に聞いたお話を思い出したわ!ルーモっていうお話妖精が出てくるお話よ!まだ、あなたにしてあげたことなかったわね」
「お話妖精?わ~、楽しそう。してして!」
「これは、ママのママが私にしてくれた作り話。むかしむかし…」
ルーモがママのそばにいたので、ママは小さい頃のお話を思い出したのです。ルーモは嬉しくなりました。そして、ママのするお話の中に入って行きました。今夜のお話は一段と面白いお話になることでしょう。
ルーモは昔のお友達が可愛い息子に、寝る前のお話をしていることが嬉しくて嬉しくてなりませんでした。
そして、ルーモは今日聞いたお話を風さんにしてあげようと思いました。
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