セミナー2日目(6月23日)は、Glass Global ConsultingのHeymanが“数学モデルの最初のステップとしての熱収支計算”を話したが、シミュレーション、シミュレーションと言う前にやるべき事があると言う辛口の発表。⇒確かに現場をしっかり見て、熱収支計算をきちんとやることが先ず大切だとの主張は傾聴に値する。 TNOのHaburakenの発表“U-フレーム炉における電気ブースティングの最適化”は面白い。 色々な計算をし、電気ブースティング率22%を超えると、ショートパスの流れが増え、品質はむしろ下がるとの指摘。考えさせられる発表。 ついで、SORGのLindigによる“ドッグハウス周辺の数学モデルによる改善”。 同社は最近、バッチ/カレットの予熱、ドッグハウスデザインの最適化、新型バッチチャージャーの3点セットによる省エネ技術を推進している。 特にこのプレゼンではドッグハウスのサイズを大きくし、投入したバッチの表面を素早くガラス化しキャリーオーバーが起こり難い仕組みを強調している。
<新型のバッチチャージャー>

コヒーブレークの後の最初の発表は、GS社の元気ボーイJosef Mullerのバッチ山の画像解析とアドバンスド制御システム(ESⅢ)を組み合わせた溶解炉制御。 トルコSicecam社のフロート炉で実証。 4%ほどの省エネを達成したという。 この考えは日本でも旭硝子が同社京浜工場での実績を1996年のICGで発表している。
<バッチ山の写真>

ついで、ベルギーカソリック大学のBeeumenが、GS社Erikの協力を得て、エジプトで発掘された2500年前の硝子溶解炉のシミュレーションによりその生産能力を推定している。 次はネメック研究室の美人学生Vadislavaによる遠心力による溶融硝子中の泡を清澄するプロセスのシミュレーション計算。 実際、彼女はRapidoxに備えてあるルツボの回転台を利用して、その実証を試みている。
午後は釉薬用の低床溶解炉、コークス炉用の数学モデルなど、通常のガラス炉とは異なる炉のシミュレーションであったので省略。
夕方16時には終了し、19時から恒例のお別れpartyが開催された。 多くの参加者は明け方まで、音楽、ダンスに興じたようであるが、老兵は翌早朝の帰国を考え、早めに就寝。
タイトルにあるように、こうしたセミナー、学会に出席し、色々な人と交流しながら新しい技術を学ぶことは私の唯一の趣味。 さらに、本セミナーのように、ふんだんにチェコビールを楽しむ事は、さらなる喜びである。
現在、こうした硝子関係のセミナーは、以下のものがある。 何とか、全てに出席したいと密かに野望を燃やしている。
下記のように、2013年は、プラハでのICGと本セミナーが同時期に開催されるので、ダブルの参加を予定している。
毎年開催;
【Glass Trend】 オランダTNOが主催している硝子溶解技術一般に関するセミナー
【Glass Problem】 米のイリノイ工科大学で開催される実務的な硝子技術のセミナー
【AFGM】 アジア硝子製造者連合会の技術会合。東南アジア地区の主要国が毎年順番に開催している。硝子技術のセミナーあり。
2年に1回:
【GS Seminar】 今回のセミナー、主に硝子溶解技術のコンピューターシミュレーションに特化。次回は2013年で、ICGに協賛。
3年に1回:
【ICG】 2004年京都、 2007年ストラスブルグ、2010年ブラジルだったが、2013年はチェコのプラハに決まったとのこと。