Tough Young Tenors (Various Artists) [Alone Together] (Antilles/1991) アメリカ盤 100円 星4つ
~当時若手だったジェームス・カーターら5人のテナーマンに、マーカス・ロバーツのピアノトリオが共演するテナーマン集合作品。以前から、プレスコンファレンスだのスーパーテナーなどのテナー奏者共演という企画アルバムも少なからず存在したが、本作は正にその路線を踏襲するテナーブロー合戦が楽しめる。90年初頭に売り出し中だったテナーマン5人中、知っているのがカーター位しかいないが、いずれも実力ある新鋭だった様子。収録作品が、ほぼ全曲スタンダードジャズでエリントン、モンク、B.スタレイホーンに、マッコイ・タイナーやH.モブレイの作品もあって楽曲の安定度において文句なしのマテリアル揃い。鼻っ柱の強きテナーマンばかりだろうが、いずれも先達へのリスペクトあり、テナーコンファレンスものに通じるせめぎ合いも見せつつ、真面目なプレイに徹する。普通は、フリーキーでノイジーな傾向も見せるJ.カーターにあっても、基本線から逸脱する行いは見せないので、単純に楽しめるテナーバトルがある作品だ。
James Carter Quartet [Jurassic Classic] (Diw/1994) 日本盤 100円 星3つ
~『ジュラシック・クラシック』とは少々ひねったタイトルだが、収録曲すべてジャズの大文字定番または巨匠たちが残した名演で有名な曲ばかり。アイロニックなタイトルには、彼の先輩たちへのリスペクトと同時に自分なり新たなジャズの地平を作るという意気込みも感じられる。その証拠に、殊勝にもまじめでジャズの本道を行くテナープレイを披露するかと思えば、一転してスゴイ雰囲気で崩しまくったり、ノイジーかつフリーキーなトーンをわざと挟んだアドリブを多用するなど、一筋縄ではいかない自身の血のたぎりみたいなものをぶつけるのだった。そのパッションたるや時代を駆け抜ける意気込みが感じられる出来ではある。彼のアーティストとしての活動を俯瞰する時(今の時点では)、それなりに理解できなくもないが、本作の出来としては少々生煮えのジャズテイストと未熟なジャズマインドを感じさせる若きあやまち過ちみたいなものが大いに漂うジャズクラシックに対するオマージュ作品である。
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