以前勤めていた会社の上司に「部下の評価は仕事でしなさい」とよく言われてい
ました。
部下の人間性、人柄は信じてもいいけれど、仕事は信じてはいけない、というこ
とからです。部下は仕事をさぼる、いい加減、手抜きをする、一人前には仕事は
できない、ということをきちんと知っておかないといけないからです。
このときは、上司に対して嫌な上司だな、と反発心を持った覚えがあります。
「部下の人間性と仕事は別。仕事で評価すること。部下を好き嫌いで見ないで仕
事でしっかり評価が出来ることが、上に立つ人間の基本」というのがその上司の
考えでした。
上司も人間なので、当然好き・嫌い、得意・苦手、という人がいても不思議はあ
りません。
現に、生意気で自分の苦手な部下を遠ざけようとする管理者が多い、多い。
が、上司は部下を育てるだけではありません。上司も部下を通して成長している
はずです。
私が以前の仕事をしていたとき、クライアント先でも、多く目にしてきました。
当時、求人関連の仕事に関わっていたので、求人コンサルのプロとして世の中の
企業を見渡すと、くだらない小さなことなのですが本当に多いです。
それが企業の人間関係の問題となっている事実もあります。その人間関係で会社
を辞めるケースもかなりの率です。
とすると、その上司に気に入られないと会社に居づらくなる、居られなくなる…
実際そんなこともあるのです。
よく考えると、その人間の気持ちひとつで、会社にとってなくてはならない社員
として成長するかもしれない人間がいなくなる…なんてこともあり得るのですよ
ね。その逆もありますが。こわいですね。
上に立つ人間には、それだけの責任も伴って上に立つのですから、自分も磨いて
見本にならないといけない。常日頃からそう思うのでした。
こんなご時世だからかわかりませんが、日本労働組合総連合会が開設した
「全日本ご不満放出選手権」がサイトを開設して2ヶ月で書き込まれた「ご不満コメン
ト」の数が、10万件を突破したそうです。
不満のカテゴリーは「仕事」という内容が4割も占めているそうです。
サイトのコンセプトはご不満コメント(50字以内)を入力すると、ブタのキャラ
「トブ太くん」に「不満注入」。不満でふくらんだトブ太くんをクリックでかっ
飛ばし、その距離をランキング表示する。「あなたの不満を少しだけ解消します」
というものですが、読んでみると思い当たることがあるかもしれないですね。
部下や、若い世代の人たちがどんな不満を持っているのかを知りたい、というこ
とであれば少しは参考になるかもしれません。
とはいえ、毎日部下と接していれば内容はともかく、不満を持っていることはわ
かると思います。
それも正当な理由なのか、単なる愚痴なのか、気づかせてあげることも上司とし
て必要なことなのかもしれません。
ちなみに私が今まで出会った素晴らしい上司はA社のIさんでした(もちろんその
周囲には素敵な先輩がたくさんいました)。
このIさんと一緒に仕事をさせていただいたのは研修期間のたったの2ヶ月でし
たが、徹底的にしごかれ、私はどこに行っても通用する自分作りができたと思い
ます。その後その会社での4年間はその2ヶ月が基礎となり、素敵な先輩と小憎ら
しいけど私を成長させてくれた部下や後輩から色々なことを学んだ気がします。
そして今の私が在るのも、Iさんのおかげだと思っていたりするのです。