ケーブル日和【オーディオケーブルの超マニアックなお話】

オーディオケーブルに関する超マニアックなお話を中心に、大好きでたまらないオーディオへの思いなどを書いていきます。

特注品のご紹介 Y分岐XLRケーブル

2023年11月13日 | 特注品ケーブルのご紹介

新商品(電源ケーブル)の開発のため、ブログの更新がしばらく止まっておりました。

この商品の発売日も決定しましたので、ブログをまた書いていきたいと思います。

 

ケーブル工房TSUKASAでは、お客様からのご依頼により特注品のケーブルも製作しています。

工房のオリジナルケーブルをベースに、ご依頼に合わせたケーブルを1本づつ製作しています。

この特注品について、順次ご紹介していきたいと思います。

 

さて、今回ご紹介するのは「Y分岐XLRケーブル」です。

そんなケーブルがあるのか?と不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れません。

まずは、ケーブルの写真をご紹介します。

 

<特注 Y分岐XLRケーブルの写真>

CDプレーヤー等の出力側に接続するXLRプラグ(メス)が1つで、ケーブル本体が途中で分岐しアンプ等の入力側に接続するXLRプラグ(オス)が2つになっています。

このY分岐XLRケーブルは、数は少ないですが市販品があります。

但し、安価な製品ばかりで音質に拘ったのは見当たりません。

 

工房では音質に拘ったY分岐RCAケーブル「WTS-R5200Y」を発売しており、これをご覧になったお客様から「Y分岐XLRケーブルを製作して欲しい」とのご依頼でした。

お客様のY分岐XLRケーブルの使用目的は、バイアンプでの使用です。

バイアンプの構成イメージは以下の通りです。

ケーブルを接続するプリアンプはBenchmarkのHPA4です。

また、パワーアンプは同じBenchmarkのAHB2です。

両アンプともに、HiVi誌等で「ベストバイ」に選ばれた非常に高性能なアンプです。

このプリアンプにはXLRの出力が1系統しかなく、パワーアンプの入力はXLRのみとなっています。

この2つを使いバイアンプを構成しようとすると、上記の図のようにY分岐XLRケーブルが必要となります。

 

<工房のY分岐方式>

さて、Y分岐ケーブルで重要になるのは、バランスケーブルとしての電気特性を維持しつつ、分岐による音質低下を極力抑えることです。

特注品では、工房で発売しているXLRケーブル「WTS-X5300」をベースに、音質の劣化を最小限に抑えた独自の分岐方式としました。

 

バランス伝送の特性を維持するため複雑な分岐方式になっており、分かりにくい部分があるかも知れません。

図の印の部分が接続点(ハンダ付け部分)です。

この分岐方式の一番の特徴は、Y分岐箇所に接続点が無く、XLRプラグ部分のみでハンダ付けを行なっていることです。

これにより、信号のロスが発生しやすい接続点の増加を防ぐことができます。

また、ケーブル本体部分や分岐先の部分も、通常のXLRケーブル「WTS-X5300」と同一構造(十字型セパレーターと銅単線4芯構造)となっています。

これらのことにより、Y分岐ケーブルでありますが、通常のXLRケーブル「WTS-X5300」と同等の音質を実現することができました。

 

<分岐箇所の加工について>

下記の写真は、芯線の分岐部分です。

ハンダ付けなどによる接続がなく、本体部分(1本の部分)と分岐部分が同一構造(十字型セパレーターと銅単線4芯を撚った構造)であることが分かります。

 

下記の写真は、上記の芯線にテフロンPTFEチューブを被せ、その上に錫メッキ平編導線によるシールドをかけたものです。

尚、分岐箇所にはシールドの隙間ができますので、導電性粘着剤付きの銅箔テープを使い隙間を塞いで、ノイズが混入するのを防いでいます。

この後、テフロン粘着テープを銅箔部分に複数回強く巻きつけ、分岐部分の強度を確保しています。

そして、ケーブル全体に黒のメッシュチューブを被せ、さらに分岐部分には熱収縮チューブを被せて仕上げています。

 

<XLRプラグの方向調整について>

Y分岐XLRケーブルでは、機器にケーブルをスムーズに接続するため、XLRプラグの方向調整が必ず必要となります。

これは、XLR端子の方向(端子の3つのピンの方向)が統一されておらず、機器によって区々になっているためです。

また、接続する機器の設置関係によっても、ケーブルのXLRプラグの方向は変わります。

工房では、ケーブルを接続する機器のXLR端子の方向や設置関係をお客様にヒアリングした上で、XLRプラグの方向を機器に合わせて製作しています。

 

最後に、この特注品を納入したお客様からは、「バイアンプ接続しても分岐による劣化は感じられず、満足のいく商品でした。何より、高品質でXLR端子のY分岐ケーブルはとても希少だと思います。」とのコメントをいただきました。

 

今回ご紹介したY分岐XLRケーブル「WTS-X5300Y」は商品化は行なっていませんが、ご希望がありましたら特注品として製作いたします。

尚、今回の写真のケーブルで使用したXLRプラグ「Switchcraft製 A3MBAU、A3FBAU」はメーカー側の製造問題により入手ができなくなりました。

代わりに「FURUTECH製 FP-701M(G)、FP-702F(G)」にグレードアップして製作いたします。

無料でお見積りいたしますので、ケーブル工房TSUKASAまで気軽にお問い合わせください。

 



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