よくわかりません。

このテンプレート気に入った。

JIS を著作権で保護? 国が定める規格を著作権で頒布を制限?

2008-08-25 01:00:34 | 気になった話題
ITmediaの記事を読んでJISの原文を見ようと思ったら、

本サイトでは、JISの閲覧は可能ですが、印刷・購入はできません。
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(そのまましばらくお待ちください。)
2008年3月27日よりJIS規格の著作権保護のためPDF閲覧のセキュリティを強化しておりますので、
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(日本工業規格 JISX0201)

だそうです。

"JIS"は、日本国が定める工業標準(=規格:Standards)だそうです。日本国が定めた規格を、著作権によって、印刷したりパソコンの中にファイルとして保存してはいけないと主張しているんですよね。
国が定める規格が著作権によって「頒布を禁止」しているのが信じられません。「頒布を制限することの禁止」したり、ソースの表示を義務付けるのならばわかるのですが。

1 コメント

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Unknown (とおりすがり)
2010-07-18 21:02:39
JIS本文には著作権がありません。日本工業標準調査会のQ&Aコーナーで、「JISは、著作権法によって保護対象となっている著作物」(http://www.jisc.go.jp/qa/index.html#A601)と回答しているのは、誤りです。

JISの原案は国よりも民間企業・団体が作成することが多いのですが、著作権法第13条第2号という規定では、大臣が制定し規格票で公表されたJISのような告示、通達等に準じるものは、著作権法で保護されないと規定されています。JIS原案を作成した企業等の権利は、その原案を採用した国に対しては主張できますが、JISを利用する国民に対して主張することはできません。

次の文献、ウェブ情報が参考になると思います。

①鳥澤孝之「国家規格の著作権保護に関する考察 ―民間団体が関与した日本工業規格の制定を中心に―」知財管理 Vol.59 No.7 [2009.7]793-805頁
http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/syoroku/59/7_793.html

②ピリ辛著作権相談室 Q45:JIS規格に著作権を認めないと、国際標準化戦略に乗り遅れると思うのですが…
http://urheberrecht.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/45jis-be6d.html

③Wikipedia 日本工業規格:著作権
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E...

なお、JISには著作権がないという見解に対しては、経済産業省は以下のような反論を行っています(産業技術環境局基準認証ユニット(一橋大学イノベーション研究センター 江藤学編)『標準化実務入門(試作版)』(平成22年7月)184頁〔長谷亮輔執筆〕http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text/text_7syou.pdf)。

1. 「著作権法第13条第2項(原文ママ。正しくは「第2号」。以下同様。)でいう告示とは、立法行為、司法行為、行政行為として権限のある者が作成し、その内容を公表することによって国民に知らしめ、また国民が自由に知るべきものであると性格づけることをいうものである。これに対して、JIS規格の官報への公示は規格の名称及び番号のみで、内容についてまで掲載されているわけではない。」
2. 「JIS規格の原文は、原案作成者や利害関係人などの民間団体において作成されているものである。著作権法第13条第2項の対象となるのは、官公庁自身が創作し国民に知らしめることが目的であるような場合に限定されるものであり、JIS規格のように利害関係者が原案を作成して申し出たり、原案を委託によって作成した者がいる場合には、著作権法第13条第2項を適用するのは不適当である」

しかしこの反論に対しては次のような点が指摘され、批判は当たらないものと考えられます。

1.については、同号の告示等は官報の掲載内容に限定されるものではなく、また主務大臣が制定した工業標準の内容は本来国民に広く知らしめるべきものである。この点、経済産業省基準認証ユニット(日本工業標準調査会事務局)は制定又は改正されるJISの原稿を財団法人日本規格協会に回付し、同協会がその原稿に基づいてJIS規格票を印刷・発行し、同協会の窓口を通じて同規格票を販売・配布しているところである。このようにJISは経済産業省基準認証ユニットの監督の下に財団法人日本規格協会が発行する規格票を通じて公表され(日本規格協会編『JISハンドブック2008 56 標準化』(日本規格協会、2008年)1038頁)、JISの内容は官報に代わって規格票に掲載されていることから、官報で規格内容が省略されたことを著作権発生の根拠にすることはできない。また「現在有効な法令約7,400 件の中で、JIS規格を引用した法令は約360件(5%)もあ」るなど、「単なる技術標準としてだけでなく、行政制度とのつながりも深いものとなってい」るとの指摘がなされ(山中豊「事業仕分けと標準化」情報処理学会 情報規格調査会 NEWSLETTER No.85 (2010-03) 2-3頁:http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/nl85_yamanaka.html)、 著作権が否定される法令(著作権法第13条第1号参照)と同様に、JISの著作権も否定されると考えることができる。

2.については、法令、通達等の著作権が否定されるのは「公益的な見地から、国民に広く知らせ、かつ、自由に利用させるべき性質の著作物には、権利を認める結果としてその円滑な利用を阻害することとなるのを防ぐという観点から」であるところ(加戸守行『著作権法逐条講義 五訂新版』(著作権情報センター、平成18年)136頁)、JISの原案作成者が官公庁以外の者であることを理由に著作権の発生を認めれば、JISを利用する国民の生活や企業活動等に支障をきたし、国内に広く知らしめることを主要な機能とするJIS の役割を損なうことになる。なお原案作成者に著作権が認められない場合でも、原案を採用した主務大臣から補償金等を得て経済的利益を確保することは可能である。