今年のルマン24時間レースも、TGRを応援していた自分にとっては厳しい内容になりました。
昨年の残り3分での悲劇的なストップから、1年で素晴らしいマシンに仕上げたトヨタチーム。ルマン前のテストデーでもワンツー、そして予選でもワンツーと絶好調、そのうえ3台目も投入し、数的にも有利だった今回のルマン。
結果としては、スタートから10時間でトヨタ7号車、9号車が相次いでマシントラブルと接触に起因するトラブルでリタイア。8号車もスタートから8時間ほどでトラブルによって長いピットインを強いられ、ほぼ最後尾まで転落しました。
ポルシェの2台もトラブルフリーではなく、優勝した2号車も序盤にトラブルで1時間ほどピットインしていましたし、7号車のストップ後長い間レースを独走していた1号車も、突然のスローダウンからストップ、リタイアとなりました。
結果的にLMP1クラス5台全車にトラブルが発生。波乱の24時間となりました。トヨタ8号車は徐々に挽回し、最終的に9位でした。
脇阪寿一TGRアンバサダーがブログでつづられていたのは、
ハイブリッド技術によるルマン、ポルシェとトヨタの戦いは、
とてつもないレベル、想像を超える技術競争へと突入し、
その戦いのレベルの高さ故に
今の技術では、このスピード領域で24時間の走行が不可能なのかな?!
そう思わされる現実があります。
ですが、
例えそうだとしても、この戦いが
未来に向け、ハイブリッド技術の進歩を更に加速させるに違いないと思える僕は、
このレース、この戦いもまた、自動車産業におけるルマンの存在意義なのかなと思います。
ルマンの戦いは、その歴史に敬意を持ち
今の技術を存分に発揮しながら歴史を継承するために戦い
そして、未来を創造します。
今年のルマンもまた、そうであり、意味があったと思います。
ということ。技術戦争の過熱化が進み、確かに今の異次元のスピードで24時間走るということは、かなり難しいことのように思えますし、それを今回のルマンは示したように思います。しかし寿一さんもおっしゃっている通り、この戦いは間違いなく技術の進歩を加速することにつながります。
そして、初めて現地に赴いたという豊田章男社長はコメントを発表。
以下原文のまま掲載します。
「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン…。」
本来であれば、応援いただいたファンの皆さまへの感謝の言葉が
先ず最初に発せられるべきですが、 今回のル・マンだけは、どうしても…
この言葉を私からドライバー達に一番に掛けてあげなければいけないと思っています。
ドライバー達は、初めてル・マンに来る私に、
「一緒に表彰台の真ん中に上ってほしい…」「そのために絶対に負けたくない…」
「だから共に戦ってくれ…」と言ってくれました。
だからこそ、私からは、
「思いっきり走れ。メカのつくったクルマを信じて、ル・マンを楽しんで。」
という言葉を返していました。
それなのに、思いっきり走らせてあげることが出来なかったことが本当に悔しい…
私たちのクルマを信じて走ってくれていたのに…本当に申し訳ない…。
その気持ちでいっぱいです。
おそらく、この気持ちは、この戦いに向けクルマをつくってきた
トヨタのエンジニア、メカニック、
そしてパーツサプライヤーの方々、
皆、同じ想いなのだと思っています。
なので、そのみんなの気持ちも背負い、代表して、ドライバー達へ
もう一度、改めて言います。
「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン…。」
そして、その9人のドライバー達も含めて、
トヨタチームに関わった全ての人の想いを二つ、私から述べさせてください。
ひとつは、ファンの皆さまへ。
トヨタの勝利を信じて応援してくださったファンの皆さま、
期待に応えられず本当に申し訳ありませんでした。
そして、24時間、最後まで我々を信じ、熱く応援いただけたことに
心から感謝申し上げます。本当に、ありがとうございました。
再び、皆様と共に笑顔になれる日を目指してまいります。
ひとつは、ポルシェチームへ。
昨年の戦いの後、ポルシェの皆さまから
我々をライバルと認めて頂けるような嬉しい言葉を数々いただきました。
“ライバル”と言っていただけたことに応えるためには
今年また、ファンの皆さまを魅了するような素晴らしい戦いをさせていただくことだと
考えていました。
だからこそ、チームは新しい技術・技能を生み出すことにも
果敢にチャレンジして来ることができました。
ポルシェチームの皆さま、おめでとうございます。
そして、ありがとうございました。
しかし、昨年のようにファンの皆さまを魅了させるような戦いを
実現することが出来ませんでした。
今回、ポルシェも、我々トヨタも…
ル・マンの道に挑んだハイブリッドカーは
24時間を無事に走り切れませんでした。
優勝した2号車でさえも、完走した我々の8号車も
トラブルにより時間のかかる修理を余儀なくされて、ようやく辿りついたゴールでした。
世界耐久選手権を通じて高めてきたハイブリッド技術は、
6時間レースでは、その能力を発揮しきれても、
ル・マン24時間の道のりでは、まだまだ歯がたたないということかもしれません。
電気の力は、クルマがもっとエモーショナルな存在になるために絶対に必要な技術です。
ル・マンは、その技術に挑戦し続け、極限の環境で試すことの出来る貴重な実験場です。
これからも、この場を、大切にしていきたいと思います。
もっともっと技術に磨きをかけ、熟成させ、
お客様に本当に笑顔になっていただける技術を…
そしてもっといいクルマづくりを続けるために、
これからも我々トヨタは、努力を重ねてまいります。
皆さま、ご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。
2017年6月18日
トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 豊田 章男
今回のルマンは、いかにルマンで勝利することが難しいかということを改めて感じさせられたものだったと思います。ネット上では、「やっぱりトヨタは勝てない」などと厳しい意見もありました。しかし、スピードでは互角かそれ以上でした。でも中嶋一貴選手のコメントにもありましたが、勝てなかったということは、「まだ、何かが足りなかった」ということ。チームには「足りない何か」を見つけて、来年こそ悲願達成を見せてもらいと思います。悲願達成のその日が訪れるまで、いつまでも応援し続けたいです!
素晴らしい戦いをありがとうございました!TGRが大好きです。