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トランペットのアンブシュアについて

2023年07月20日 | ドレミノート

<トランペットのアンブシュアについて>

 アンブシュアは、管楽器を吹くときの演奏者の口の形のこと。もともとフランスではマウスピース(吹き口の部分)のことをアンブシュアと呼んでいたが、日本でアンブシュアといえば演奏の際に息を吹き込むマウスピースに接する口の形を指す。

 ところで管楽器は金管楽器と木管楽器に大別され、それぞれでマウスピースの仕組みが違うためアンブシュア自体が異なっている。木管楽器はマウスピースに固定したリード(薄い板)を振動させて音を出し(ただし吹き口の穴に息を当て音を出すフルートを除く)、金管楽器は金属のマウスピースに接する唇を振動させて音を出す。唇の振動に頼らずリードの振動によって音を出す木管楽器の方が比較的容易に音を出すことができるが、楽器吹奏の技術まで容易であることを意味するものではない。ここで採りあげるトランペットは金管楽器なので、金属のマウスピースに息を吹き込み唇を振動させて音を出す仕組みについて書く。

 金管楽器の音の出し方のみにスポットを当てると、マウスピースが小さい楽器(トランペットやホルン)の方が音は出しづらい。トロンボーンやユーフォニアムはマウスピースのサイズが人の唇にちょうど当てはまり、唇の振動を無駄なく楽器に伝えられる点で音は出しやすい。またマウスピースのサイズが大きいチューバは音を出すことができても、唇をしっかりと振動させ息をたっぷりと吹き込なければ低音の響きを得ることはできない。金管楽器は唇の振動と唇から吹き込む息の出し方で音が鳴る。

 実は多くのトランペット奏者は、アンブシュアに迷い悩んできた経験があるはずだ。自分などは、音が出しづらいだけでなく、長い時間吹くことができる唇の耐久性、低音からハイトーンへ柔軟に吹奏する対応、音の強弱やリップスラーなどのコントロール、楽器を構えた時の見た目など、何年も悩みその結果ついにどうでも良くなり気持ちよく吹ければそれでいいと開き直って現在に至っている。だがそんな気分だけで整理してしまうのも何なので、トランペットとアンブシュアに関係する内容を手元にある冊子から抜粋しここに記載することにした。気に入ったものがあればぜひ手にとって読んでいただきたい。

 わざわざ抜粋を読むまでもないとお考えの方のために、ポイントのみ挙げておくと<唇にマウスピースを押し付けすぎない><上唇の振動は必要だが下唇は振動していない><マウスピースが唇の左右にずれていてもそれでいい音が出ていれば構わない><これが良いというお手本のようなアンブシュアはない>ということです。ではどうぞ。

 

「Amazing Phrasing TRUMPET (インプロヴィゼイション・スキルが向上する50の方法)」

株式会社エー・ティー・エヌ

著者:Dennis Taylor & Steve Herman 

翻訳:佐藤研司 

2003年発行

(引用)

…歯並びや唇の厚さは人それぞれで、各自が目標とするゴールも人によって異なります。何が自分に必要なのか探すためには、経験を積んでいかなければなりません。…ウォーミング・アップをするときに、このエクササイズも時どき試してみましょう。毎回できる範囲でレンジを広げていき、最終的にはあなたの演奏に必要なレンジすべてでできるようにしましょう。…

 

「超絶トランペット(サックス&ブラス・マガジン)」

リットーミュージック・ムック

著者:佐久間勲

2008年発行

(引用)

アンブシュアの極意はスイカの種を捨てる口の形

…「スイカを食べつつ、種を選り分けながらペッと捨てる」ニュアンスが望ましい。その時の口の形を考えてみると、無理矢理すぼめてもいないし、両側に引っ張っているわけでもない。…(ここからがポイントか?!)バズィング中に上唇だけを指で押さえると振動が止まるのだが、下唇だけを指で押さえても振動が続く。おそらく「下唇を支えとして上唇が振動している」という状態だろう。…唇の形や歯並び、骨格などは十人十色なので、基本的な条件を満たしていれば「このアンブシュアが絶対」ということはない。…

 

「金管ハンドブック」奏法のツボとコツ /ESSENTIALS OF BRASS PLAYING

パイパーズ

著者:フレッド・フォックス

翻訳:滝沢比佐子

1978年発行

「超絶トランペット」の佐久間氏同様以下の内容が示されている。

(引用) 

…マウスピースを用いず唇だけでバズィングし、バズィングで音を出しながら下唇に触れてみる。この時、バズィングは止まることなく続いていることに注目していただきたい。もう一度やってみよう。ただし今度は下唇ではなく、上唇の振動部分に指を触れる。バズィングは止まったであろう。結 論:上唇はヴァイブレイションのもとである。下唇と舌は入れ替えても結構まともな音で吹ける――もっとも広い音域を吹きこなすというわけにはいかないが、冗談に私は時々そうやって吹いてみせることがある。

(引用)

初心者にまずやらせるべきことは、マウスピースを用いずに唇だけでバズィングすることである。初心者は楽器で音を出そうとする時、頬をふくらませがちである。アムブシュアをかたちづくるのに、マウスピースを支えにしがちなのである。つまり、口の両端の筋肉よりもマウスピースの圧力に頼ってしまうわけである。なるほどたしかにマウスピースの圧力はある。しかし、その程度は最小限に留めなければならない。なぜならば、高音域に上がるにつれていよいよ圧力を加える必要があり、簡単に出る中音域の音ですでに過度の圧力をかけてしまうと、ほんとうに必要な時に、十分な圧力の貯えはなくなってしまうからである。

 

「エリック・ミヤシロのBRASSテクニック・ガイド」

パイパーズ

発行者:杉田道夫

2008年発行

エリック宮城氏がアンブシュアについて応えたインタビューから

(引用)

…悪いアンブシュアを考えてそれを避けるようにすればいい。…その人にとって気持ちのいいアンブシュアであればそれでいいんだと思います。いろいろなプレイヤーがいて、いろいろなアンブシュアがある。悪いアンブシュア、いいアンブシュアではなくて、音が良ければ何でもいいと思いますよ、僕は。…「いい音」というのは、本人の頭の中にある「イメージ」の問題だと思いますよ。よく、新しい楽器に替えたときに、替えた瞬間はすごく音が変わっているんだけれど、何週間か経ってみると結局は前と同じ音だった、なんていうことはよくあるじゃないですか。周りの人たちも、その人が楽器やマウスピースを替えたことなど気がつかない場合が多い。結局、自分が持っているイメージ以上の音は、奏法や楽器を変えても出ないと思う。だから、生徒にいい音を吹かせたいときは、実際にいい音を聴くように薦めて、「自分はこんな感じで吹きたい」というイメージを彼らに探させるようにして、それを真似させるようにするんです。

 

「初級脱却トランペット練習術」

リットーミュージック

著者:中山浩佑

2013年発行

(引用)

…ベストなアンブシュアは十人十色…アンブシュアは見た目の綺麗さよりも体の使い方や、舌の使い方、息の使い方などがより大切だと思います。そもそも一般的に言われる奇麗なアンブシュアの定義自体、なぜそれが正しいと言われているのか怪しいと思っています。…例えば10人いたら、外観、声、背丈などが違うように、歯ならび、アゴの噛み合わせ、舌の長さなどの条件も違いますよね。アンブシュアも自分にとってベストのものが人と違っていても、良い結果が出ていればそれでOKと考えています。



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