向う岸

そうはいくか。

小説 ジェフリー・ディーヴァー 『007 白紙委任状』

2012-11-07 22:53:29 | 本・漫画
007 白紙委任状
池田 真紀子
文藝春秋



イギリス政府通信本部が傍受したEメール――それは大規模な攻撃計画が進行していることを
告げていた。金曜まで6日。それまでに敵組織を特定し、計画を阻止しなくてはならない。

緊急指令が発せられた。それを受けた男の名はジェームズ・ボンド、暗号名007。
ミッション達成のためにはいかなる手段も容認する白紙委任状が彼に渡された。

攻撃計画の鍵を握る謎の男アイリッシュマンを追ってボンドはセルビアに飛ぶが、
精緻な計画と臨機応変の才を持つアイリッシュマンはボンドの手を逃れ続ける……

セルビアからロンドン、ドバイ、南アフリカへ。決死の追撃の果てに明らかになる
大胆不敵な陰謀の全貌とは?



<ここからネタバレ!>

セヴェラン・ハイトがリサイクル事業を行う目的は、
シュレッダーに高性能スキャナを取り付けて機密情報を
読み取ったり、破壊する前のHDDからデータを抜き取って、
それを売買しようと企んだから。

情報を盗むことに加えて、製薬会社の社長からの依頼でガン治療の新薬研究を
行なっているヨーク大学を爆破することがゲヘナ計画。

ヨーク大学爆破は、警備を素通りできるジェシカのハンドバッグに
衛星電話を忍ばせたボンドからの警告で死者を出さずに済んだ。

ゲヘナ計画とインシデント20は別の案件。

インシデント20とは、食糧支援を取引材料にして
自分たちに都合の良い政権を作り出すこと。
今回はスーダン東部で侵攻が始まり、イギリスに行くはずの石油が
中国へと行くことになる。

黒幕はフェリシティ・ウィリング。ナイアル・ダンをハイトの元に
送り込み、ゲヘナ計画を遂行させた。

スパイだったのは父親ではなく、母親。


<ここまで!>



ボンドが南アフリカに渡ってからが俄然面白くなる。

映画版のようにアクションや爆発シーンの連続というわけではなく、
潜入や大規模な囮捜査がメインとなっており、行動がよりスパイらしくなっている。

とはいえ、女にモテモテで良い車に乗り高級なワインを楽しみ、
敵の罠もすべてお見通しというのは、流石は007といったところか。
ムカツクけど。

ただ、一人の犠牲で大勢を救うか、その一人を助けるかの選択の場面で
迷わず後者を選ぶのはカッコ良かった。


一番活躍するスパイ道具がiPhoneのアプリだった。
取材にかこつけて、作者は高級ホテルや料理を楽しんだのだろうなあ。




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