TVドラマ「冒険・活劇・ファンタジー」

「ドラマの視点」です!

西遊記 第9話 花の国

2006-07-02 | 西遊記

ドラマは終盤に向かい次々と強敵が浮上。今週は、かって悟浄がつかえ、五万の軍隊を自在にあやつるという筋肉質な妖怪。混世魔王。弟分のカタキでもある三蔵らを狙い、自らの野望を実現しようとします。

西遊記 第9巻「花の国」
三蔵法師/深津絵里 孫悟空/香取慎吾 沙悟浄/内村光良 猪八戒/伊藤淳史
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悟浄がむかし世話になっていたその妖怪は不敵な面構え。その名前を聞いただけで、五浄が震え上がるほどの荒くれた妖力を持ち、「闇の魔王」になる野心を抱きます。三蔵らに近づき、なんとかその「不思議な観音力」を手に入れたいと考えた魔王は、「闇の国のあるじ(妖怪の親玉)」と「三蔵」の仲介をするから「美人の華」を飲めという。

そのクスリ、心に憎しみがなければ、災いがなく、もし心に憎しみがあればたちまち体を痛めつけることになるそうな。「みんなのために……」と三蔵はそれを服しますが、じつはそれはワナ。

魔王は、三蔵の母親を殺戮するという過去があり、そのことを告げると、三蔵の心の中にはみるみる「憎しみの芽」が吹き出しました。日頃から、「人を憎んではいけない」と説く三蔵の心にも一抹の「迷い」が生じ、「美人の華」によって体が締め付けられます。

憎しみはこえらえればこらえるほど、つらくなり、しかし、憎しみはまた憎しみを生み、その繰り返しが永遠の痛みにつながることになります。「憎しみは永遠なものか」それとも「ひとときの迷いか」ドラマは視聴者に問いかけます。

しかしどうやら迷ったのは「魔王」のほうでした。「妖怪と人間とは違うところに住み、その考え方や行動倫理は違うはずである」というのが、魔王の信念でしたが、三蔵は、吾浄や八戒、孫悟空などの妖怪を救うために(それでお供のものが助かるならと)、「美人の華」を飲んで自らのイノチを「法意」にゆだね、そのことを聞いた魔王は「人間にも妖怪を思いやる気持ちがある」と悟ります。

またも悟空の活躍によって「妖怪」は消え去りますが、「敗れ去った妖怪は、なにか宝物を抱えて再生の道をたどる」という原作の面影がちょっぴり表に出たがっているような作品でした。(ドラマの視点)


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