TVドラマ「冒険・活劇・ファンタジー」

「ドラマの視点」です!

西遊記 第三話 夢の国 香取慎吾 内村光良

2006-07-02 | 西遊記
夢を食べる動物といえば「バク」という空想世界の動物を思い出しますが、ドラマの中での説明によれば「バク」にも、「悪夢を食べその恐怖を取り除くバク」と「現実の世界を食い尽くすバク」の二種類あって、なるほど後者はコンピューター社会の「ウイルス」のようなものかと納得していたら、「投資家の夢を食い」「現実の世界を破壊した男」が、この番組の放送時間とリンクするように逮捕されました。

西遊記 第3巻「夢の国」
三蔵法師/深津絵里 孫悟空/香取慎吾 沙悟浄/内村光良 猪八戒/伊藤淳史
フジテレビ「西遊記」公式ページへ

ドラマの中の「妖怪」は、三蔵法師らを自らの宮殿に誘い込むと、三蔵には「母の夢」を、八戒には「食べ物の夢」、悟浄には「美女の夢」を見せ、それぞれの欲望や願望のすきまにするりと入り込み、甘い蜜の中へと引きずり込みます。

しかし昼寝をたっぷりとりすぎた孫悟空が「なかなか寝付けない」ことから、夢の中をさまよいまんまと妖怪の術にはまった三蔵らを説得しようとしますが、夢と現実が区別できなくなった三蔵は「死んだはずの母親」を生きているといいはりこの場を動こうとしません。

そして今週も孫悟空の説法が小気味良く決まります。「夢を断ち切ってこそ明日が生まれる」と。孫悟空の叫びに反応した三蔵は夢から脱出し、現実の旅へと戻ります。

ドラマでは必ずしも夢の世界が「悪である」と突き放さないところがおしゃれであり、そのことが「原作が持つ底知れぬ包容力」を感じさせます。

一方、現実世界で投資家の夢をくい、社会システムの再構築をもくろんだ「妖怪H」は、このドラマ(夢を食う妖怪が退治されたというハナシ)の「内容」を知ることもなく逮捕され、退治された時間(逮捕の時間)と放送時間がほぼ重なるという、怪奇現象を引き起こしています。

夢を食うことが「悪であるか」「善意であるか」どちらにしても消えた夢は現実とは異質な世界に存在する「いっときの輝き」であることを教えています。(ドラマの視点)


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