偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏878富士山・須走道(静岡)二十六夜塔

2019年10月18日 | 登山

富士山・須走道(すばしりみち) 二十六夜塔(にじゅうろくやとう)

【データ】 富士山3776メートル▼最寄駅 JR御殿場線・御殿場駅▼登山口 静岡県小山市須走口5合目(ふじあざみライン駐車場)▼石仏 須走道6合上部標高7000メートルあたり、地図の赤丸印。▼地図は国土地理院ホームページより

【案内】 須走登山道の6合目と7合目の中程に「廿六夜」の石塔が立つ。石塔の上部が欠け、下部に「神田 福知辰治翁霊 大滝又吉翁霊 野村勘治翁霊」銘がある高さ70センチの二十六夜塔だ。神田の富士講が建てた石塔と思われる。それも廿六夜とあるから藍染関係の組織が建てたものであろう。このブログの丹沢大山では、神田周辺の藍染業者が建てた「愛」印がある道標を案内したように、江戸の神田は藍染業者の街だった。藍染行者が信仰したのが愛染明王。藍染業者は明王が座す瓶を藍染の瓶と見立てて御本尊とした。愛染明王はほかにも恋愛の仏、染物・織物業者の本尊ともなった。愛染明王の縁日は二十六日。二十六夜の月の出を待つ行事が行われ、その証として二十六夜塔が立てられた。

 ところで須走道の二十六夜塔にある福知、大滝、野村などの銘だが、いずれも「翁霊」となっている。富士信仰の石碑にみられる名前は「〇〇行」の行名が一般的である。行名については、このブログの富士山(山梨)富士講で次のように紹介した。=岩科小一郎氏の『富士講の歴史』(昭和58年、名著出版)には「行名は講に入って、〝読み講〟(法会)に参加し信心の道にはげむ者ならば、先達の推挙で〝御師〟が行名許しを与える。また先達の資格も、御師が認定して許し状を出す。資格といっても認定試験があるわけではない。講からの申し入れと登山回数(七回以上)、それと人柄がものをいう」=。したがって、二十六夜塔にある3人は、藍染業者の旦那衆であるが、翁霊とあるので、行名をもらうには至らなかった人物だったのではと解釈した。



【独り言】 富士山も9月になると登山口が閉められます。それでもキノコ採りや閑散期を狙った入山者はあるようで、須走口5合目から登った10月7日の7合目大陽館は、10月15日まで営業という看板が出ていました。ここまでの登りで私を追い越した登山者は4人。そのうち3人(単独と2人組)が外国人でした。3人とも大きな男性で、走るような勢いで登って行きました。心肺機能と足の筋力低下が気になる私にはうらやましい脚力で、見とれてしまいました。この時期に富士山に登る外国人はどのような情報を得て登山しているのでしょうか。ここだけの話ですが、私的には登山者がほとんどいない秋こそ、富士山は日帰り登山に最適な季節だと思っています。ただし体力があればの話です。
 須走口は下山専用の砂走り道があり、7合目からこの道を下りました。足を前に出すとズルズル滑り降りる富士山名物の歩きやすい道です。その途中でも1人に追い越されました。聞くと毎週休日に登っているという60半ばの、お鉢巡りもしてきたという元気な男でした。しばらく下るとこの男が立小便をしていました。ところがどうしたことかなかなか終わらないのです。知らんふりして脇を通り過ぎようとしましたら男いわく、「前立腺肥大で小便がでないんだよ」。70近くなると、元気そうに見えてもどこか弱ったところがあるんですね……。

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