三浦三郎山(みうらさぶろうやま) 大日如来(だいにちにょらい)・馬頭観音(ばとうかんのん)
【データ】三浦三郎山 280メートル▼国土地理院25000地図 金束(地図に山名なし。保田見の北東の281標高点北東の小ピーク▼最寄駅 JR内房線・保田駅▼登山口 千葉県鋸南町市井原の瀬高集落▼石仏 三浦三郎山北東の小ピーク(地図の赤丸)
【独り言】ここに案内する小ピークの名は三浦三郎山。山の雑誌『新ハイキング』№659に「房総の山の権威・内田栄一氏が古文書から探し、同定して一般に知らせた山」と、井相田又市氏が書いていました。その井相田氏の三浦三郎山のガイドに「大日如来碑と馬頭尊の石碑が安置されている」とあり、その石仏を見に行きました。
かつての上総と安房の国境にある三浦三郎山に一番近い集落は保田見。ここに車で入るには富津市の相川から梨沢経由の道が主道なのでしょうが、道が悪く狭いトンネルがいくつかあり、保田見の人は東の志駒川の方からの道を進めてくれました。歩く場合は鋸南町市井原の瀬高集落からがお勧めです。
保田見の東にある保田見峠が三浦三郎山の入口と見当をつけて、志駒川の田島と下沢 集落の中程から車で入りました。尾根上の狭い道です。とにかく山深いところで、房総特有の現地と地図がなかなか一致しない場所でした。このあたりが峠に違いない、と車を止めたところに幸運にも地元の軽トラックが登ってきました。聞くとこの地が保田見峠でした。
目的の小ピークには大日如来と二基の文字塔がありました。大日は27 センチほどの小さな坐像で、新しく置かれたような石仏でした。文字塔の一つは「大日如来」銘の「明治十八年」に立てたもの。もう一つは「明治十四年」に立てた「大日如来 馬頭観音」の銘があるものでした。ここで大日と馬頭を一石に並列する、つまりセットで祀った石塔に初めて出合いました。これまで豊岡・木之根、豊岡・愛宕山、細尾横根の大日ピークなどで見た大日と馬頭はそれぞれ単体で立てられたものでしたから、たまたま二つの石仏が同居している可能性もあったわけです。しかしこの三浦三郎山の大日と馬頭を並列した石塔は、この二尊を同時に祀ったものであることを証明してくれました。房総の山で大日如来と馬頭観音が一緒に並んでいる場合は、同じ目的で造立されたものといえそうです。