群馬県桐生市黒保根町上田沢・田沢下の観音堂
田沢下集落の道端に建つお堂の名称を知りたくて、近くの農家を訪ねるとお堂の鍵を管理している家でした。そして、ご親切にご亭主がお堂を開けてくれました。
このお堂に詳しいおばあさんにも来ていただいて、お堂は観音堂、かつては念仏の数珠繰りもおこなわれて、本尊の観音様は行方知れずになったが、平成6年に聖観音を購入して開眼供養をした、などのお話をききました。
お堂内祭壇には話にあった聖観音が鎮座し、それを囲むように手作りの大きな数珠がかかっていました。
お堂の境内には石の観音仏堂も建てられています。屋根は寄棟造りで正面は火燈窓風に切られた、黒保根の仏堂としては珍しい形です。堂内に鎮座しているのは十一面観音。
上田沢には集落ごとに木造のお堂が建てられていますが、境内に石のお堂も残っています。いずれも江戸時代初期の仏堂で、木造のお堂を建てる前はこの石造仏堂が本堂の役目をしていたのだと思います。田沢下の観音堂には聖観音が祀られましたが、かつては十一面観音が本尊だったのかもしれません。