偏平足

里山の石神・石仏探訪

奥津町の石仏

2019年03月04日 | 


 岡山の福原氏から『奥津町の石仏』(平成16年)をいただきました。「苫田ダム水没地域民俗調査報告書」とう副題がついたこの本は、岡山県奥津町の苫田に建設されるダムにより水没する地域の石仏調査がきっかけで、全町の調査に発展したものです。その数1266基。
 石仏でとりわけ多いのが大日如来です。文字塔228基、刻増塔50基、合わせて278基の大日は石仏全体の22パーセントになる多さです。造立の目的は牛馬の供養で、江戸時代末期から造立が始まり、明治の中期が最盛期と分析しています。造立の背景には、津山市美作の牛の守護とされた中山神社奥宮、鳥取・大山の畜牛守護のお札を配った大日堂などが考えられているようです。
 大日が集中的に造立されている地域は各地にあります。茨城県の取手周辺にみられる大日は『常総・寛永の大日石仏』にまとめられました。この偏平足でも、千葉県の安房の山に馬頭観音と一緒に祀られた大日如来をたびたび案内してきました。静岡県伊豆の河津町の山でも大日が目立ちます。造立の背景は江戸時代初期には修験者、中期からは寺社がかかわっていったと考えていますが、安房・伊豆とも具体的にはわかっていません。

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