アオバズクの不妊治療日記

不妊治療を始めて数年、体外受精でようやく第一子を授かりました。心配性の妊婦です。

着床前スクリーニング

2018-01-25 09:57:33 | 目次
NHKの朝のニュースで
「新しい不妊治療」として
着床前スクリーニングが取りあげられていました。
何度か体外受精を行っても妊娠に至らない場合、
染色体に何らかの異常があると考えて検査をし、
体内に戻す前に受精卵をスクリーニング(=選別)することで
妊娠する確立を高めるための治療です。

NHKでは、
それを「男女の産み分けを可能にする新しい治療」として説明していました。
男女を決定するX・Y染色体もチェックされるので、
結果として男女どちらなのかがわかるからです。

ひっかかったのは、
説明の一部として、
着床前スクリーニングや出生前診断が
「子供は授かりもの」という考え方の対極にあるような言い方をしていたことです。

着床前スクリーニングや出生前診断に至るまで、
つまり、体内に戻せるレベルの受精卵を得るまでがどんなに大変か。
受精する能力のある精子と卵子がそろうか、
それらがうまく受精するか、
体内に戻せる段階まで分裂するか、
そういったステップがたくさんあり、
体外受精であっても人工授精であっても
「子供は授かりもの」であることに変わりはありません。

考え方のひとつとして
特に体に異常がなくても不妊治療を行い、
自分の希望・好みに合った子供を得るために
着床前スクリーニングや出生前診断を受ける人もいると思います。
そして、そういった考え方が「命の選別」につながるとして、
議論を重ねる必要があることは承知しています。

ですが、日本では不妊治療に多額のお金がかかり、
学会も着床前スクリーニング等を認めていない現在、
そういった恣意的な理由で受ける人たちはごくわずかであって、
体外受精を行ってもどうしても妊娠に至らず、
心身的・経済的な負担をすでに経験していて
他に選択肢がない、という段階にある方々が
どうしても必要な治療として行う、という場合が大半なのではないでしょうか。

NHKにも、そういった背景をふまえたうえでの紹介という形で
着床前スクリーニングを取りあげてほしかったです。
体外受精を行っても妊娠に至っていないご夫婦を紹介する一方で、
このように「命を選別する手段」という印象を与えるような報道の仕方に
悲しさを覚えました。

出産予定日が近づき、
胎動を感じるとき、エコーで人間らしい姿になっているのを見るとき、
不妊治療の病院でたった1個だけ受精に成功して
「これを体内に戻します」と言われて見せられた
7細胞に分裂した受精卵の写真が、今でも目のまえにちらつきます。
あの7つに分かれた、たった1個の受精卵が
ここまで育ってくれたことは奇跡だと感じます。

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