
最近はお産シーズン真っ只中。次々に可愛い仔が生まれてくる反面、残念な結果になってしまう事もしばしば。
さて、私はお産厩舎と呼ばれる厩舎の2番手、副厩舎長?を勤めています。
現在の厩舎メンバーは、
厩舎長(ボス)、ウサミ(私)、3年目の若い子(ピョン太)、定年過ぎたおじいちゃん(ジジさん)6年目の年上男性(チョビン)
そして愉快なパートさん達です。
先日昼昼前に放牧地を見回りしていたピョン太が破水したと連れてきた繁殖牝馬。とっても安産でしたが一つ問題が。
鼻曲がりの奇形でした。もちろん多少の鼻曲がり程度なら問題ないのですが、生きて行くのに支障が出るほどの曲がり具合。その場で安楽死が決定しました。
子供をなくした母馬には2日前に生まれた別の仔をあてがう事に。乳母付けです。
生まれた仔は、すぐさま母馬が見えない所に隠して母馬に鎮静剤を投了、両目を隠します。
連れてきた仔にも鎮静をかけて母馬の羊水を仔になすりつけ羊膜を身体に巻きつけて、母馬にあたかも自分が今しがた産んだ仔だと錯覚させます。
スピードある行動と、しっかりと自分の匂いのついた新しい仔に乳母付けは大成功でした。
この仔の本当の母馬は、産後体調を崩し芳しく無い状態でした。産後の育児は体力を消耗するのは馬も人も同じこと。仔と離れた母馬には治療に専念してもらう事になります。
一方で奇形で生まれて来た仔は、静かに施しが行われました。誕生して来たはずなのに。10年間決して少なくない頭数生後ままない仔を見送りました。もう、涙は出ません。悲しんではいけないと思うからです。ただやはり辛い気持ちは込み上げて来ますが、表には出さない様に気を付けてます。
だからここでは言わせて下さい。
生まれてきてくれてありがとう。お母さんの愛情をあげられなくてごめんなさい。
お母さんのお腹から狭い産道を通って破きにくい筈の胎盤を自ら破りお母さんと共に頑張って誕生して来てくれたね。
私にはお空の上でのびのび走りまわってね、なんて言葉は出てこないけど、
君が卵の頃から成長を見守って、せめて君の顔が見れて良かったです。ありがとう。お疲れ様でした。
いつも奇形を施すときに思います。
どうして奇形になってしまうのか?
管理方法がいけなかったのか?
少しでも奇形を減らす事は出来ないのか?
組織の平社員の一員でしかない私が出来ることは今を生きている馬達にこれから生まれてくる馬達を出来る限り世話して行くしかない事は、重々承知しています。
☆見出しの写真はすっかり親子関係を築いた母馬と仔
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